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ことの真相 | 創作大賞感想

 最初に、バーネット作「小公女」の「ことの真相」という序文の冒頭パラグラフを引用してみます*。

(*改行は、読みやすさを考慮して、私が適宜おこないました。)


 物語には書かれていないことが常に含まれているものです。このことに多くの方がお気づきかどうか、私にはわかりません。どれほどの多くのことが語られないままになるか。書かれた以上のことがどれほど物語に含まれていて——みなさんが手にとってじっくり読む本に収められているよりも実際にはどれほどたくさんのことが起きていたのか。

 物語は手紙に似ているところがあります。手紙を一通書き上げると、書かなかったことをいろいろと思い起こして「あれれ、どうしてあのことを伝えなかったのだろう」と思うことがよくあります。

 本を書いているときは、思い出せる範囲のことを語ります。すべての出来事を語りつくそうとすれば、本はいつまでも書き上がらないかもしれません。

 あらゆる物語の行間に別の物語が含まれています。そちらは決して語られず、勘のいい人たちが推測してみるのがせいぜいです。書き手が物語の全容を知らずに終わる場合もあります。後になってわかる場合もあり、そうなると作家は一から書き直したいと思うものです。

( フランシス・ホジソン・バーネット(作)  [ 畔柳和代 (訳) ] 『小公女』、新潮文庫、pp.5-6より )


THE WHOLE OF THE STORY

I do not know whether many people realize how much more than is ever written there really is in a story—how many parts of it are never told—how much more really happened than there is in the book one holds in one's hand and pores over.

Stories are something like letters. When a letter is written, how often one remembers things omitted and says, "Ah, why did I not tell them that?"

In writing a book one relates all that one remembers at the time, and if one told all that really happened perhaps the book would never end.

Between the lines of every story there is another story, and that is one that is never heard and can only be guessed at by the people who are good at guessing. The person who writes the story may never know all of it, but sometimes he does and wishes he had the chances to begin again. 

Quote : 
Frances Hodgson Burnett, A Little Princess (Penguin Classics p3)


 この前、「俳句達人伝」という「ギャグ小説」を書いたのですが、書き終えた時に、この「小公女」の「序文」を思い出しました。

 第1話を書く時は、けっこう時間がかかったのですが、だんだん書き進めていくうちに、主人公・小町の性格が見えてきたような気がしました。

 自作だから、自分の頭に思い浮かんだことを書いているはずに、最初には予期していなかった小町の側面が分かってきて。

 書き終えてから、これだけの女の子じゃないのになぁ、と初めから書き直したい気持ちもあり。

 いや、書き直してもいいのですが、「書き出したら、収拾がつかないだろうな」と。

 短い物語でしたが、小説を書いていると、バーネットの気持ちが実感としてわかるような気がしました。

 たぶん、他の方も同じような経験をされているんでしょうね。



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