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神話物語 | 霧の女④


前話はこちら(↓)


図書館の閉館の時間が近づいた。
結局私は、館長の忠告にも関わらず、資料室に入り浸っていた。

しかし、今日は史料を読むというより、また閉館間近に「霧の女」が現れるのではないか?、という気持ちに支配されてた。だから、字面を追っていても、その内容は頭にはほとんど入って来なかった。

今日は霧の女は、私の目の前に現れることはなかった。誰から言われたわけでもないが、部屋を出て、図書館の玄関から外へ出た。

つい最近まであれほど暑かったのに、図書館から一歩外へ出ると、若干冷気を帯びた一陣の風が私に吹き付けた。

霧の女は私の目の前に姿を現すだろうか?
館長の話を聞いた私は、霧の女に会えるという六分の期待と死への四分の恐れを抱えながら、歩き出した。

交差点を横切ろうとしたとき、青い光の塊が突如訪れた。霧の女が現れたんだなと、思っていたら、次の瞬間にはトラックのヘッドライトが私の目を襲った。 
「こういうことか!」と思い、死を覚悟してその場に立ちすくんだ。

「てめぇ、危ないじゃないか!!」
私を襲ったのは、死ではなく、トラックドライバーの怒号だった。

「すみません」

「すみませんで済むか、ドアホ。危うく引き殺すところだったじゃねぇか!」

私は軽く会釈して、その場から立ち去った。

気を取り直して、一歩踏み出したとき、背後から声が聞こえた。

「たいへん、だったわね」

振り向くとそこに立っていたのは、昨日閉館間際に私に話しかけた女だった。


…つづく


第5話はこちら(↓)


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山根あきら | 哲学者 記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします