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神話物語 | 霧の女⑥



前話はこちら(↓)


夢だったのだろうか?
幻だったのだろうか?
いや、夢でも幻でもない。
私の視線の先は、今も青く輝いているではないか?

今も脳裏には、「霧の女」の艶やかな姿がハッキリと見える。

やはり、霧の女はいたのだ。

さっきまでいた霧の女は、霧の女をサンタクロースのようなものだと言ったが、サンタクロースならサンタクロースでいい。

霧の女を信じたからこそ、私は霧の女に出会えたのだ。

き、、り、の、、お、ん、、な、、。

私の意識は遠のいていった。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんでしたか?」

手に冷たい温もりを感じた。
ゆっくり目を開くと、霧の女が私を抱えていることに気がついた。

「あ、あなたはさっき、青い虚空を残して、消えたはずでは?」
私には状況がつかめなかった。霧の女は冷たく笑いながら言った。

「なにをおっしゃっているんのですか?あなたが路上で倒れていらっしゃったから、私はずっとあなたに声をかけつづけていたのです。意識を回復されて本当によかった。御気分はいかがですか?」

「私は夢を見ていたのでしょうか?幻を見ていたのでしょうか?」

「さぁ、それは私にもわかりません。物の怪に取り憑かれていたのでしょう」

 女の言葉を聞いているうちに、手に感じる女の温もりが、徐々に熱を帯びてくるようであった。

「あなたが無事立ち上がり、家路につくところを見届けたら、私もお暇しますが。、。」

私は歩こうと思えば歩けるような気がしたが、このまま霧の女といっしょに、この瞬間を過ごしたいと願っていた。

「もし、私がこのまま立ち上がることができなかったら、あなたはどうするおつもりですか?」

「さぁ、どうでしょう。ずっとあなたに寄り添っているだろうと思います」

「じゃあ、私はあなたの言葉に甘えます。このまま、ここで眠りたい」

その瞬間、手のひらに感じていた温もりが消えて、その代わりに私の心臓が青く輝き出した。

「私はいつもあなたの心の中にとどまることにしました。あなたが元気を取り戻すまで、あなたの心臓になります」

とても妙な感覚に陥った。

私は立ち上がり、宿に向かって歩き出した。



…つづく

#第7話はこちら (↓)


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山根あきら | 哲学者 記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします