【大人のピアノ】中高年になったピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、どうですか?
昨日書いた記事:https://note.com/piano248/n/nad6f6dbeb224
に関連する内容です👇
近年、
「中高年になったら絶対音感が半音~全音ズレた」という経験談が、ネットに増えてきましたね。
私が「絶対音感は50歳ぐらいからズレ始めて、60歳頃に完全に失われるという説がある」という話を聞いたのは、コロナ前の2010年代後半でした。
当時スタートして間もないRick Beato氏の音楽チャンネルの動画でした。
当時のネット上には「絶対音感ビジネス」を謳うピアノ教師や音楽レッスンサイトが鈴なりに有りました。
「絶対音感が無い者は人にあらず!」みたいな風潮が、あからさまに音楽教育業界にありました。
私は、
「もしBeato氏が紹介する説が本当なら、60歳以上のピアニストやピアノ教師は「人にあらず!」になってしまうなぁ。 それにしても、「絶対音感ビジネス」って一体何なんだろうなぁ?
と思って、私は、当時から書いていたはてなブログに、この説について書きました。
その後、「絶対音感ビジネス」は、急速になりをひそめていきました。
ところで、
中高年のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、どうですか?
40歳以降のピアノの先生方、あなたの絶対音感、ズレはじめていませんか?
50歳以降のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、半音くらいズレてしまっていませんか?
そして、
60歳以降のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、完全に無くなってしまっていませんか?
そして、暗譜で弾こうとすると、鍵盤の音と脳内に記憶した音のつながりが全く無くなってしまっていて、鍵盤を見ても頭の中が真っ白になってしまって、どの鍵盤を叩けば正しい音が出るのかわからなくなって、弾くのが怖くなっていませんか?
仮にそうなら、
中高年のお客様に対して、
聴音の訓練をさせたり、
暗譜を奨励したりなんて、
絶対にできませんよね。
だって、ピアノ教師の自分ができないものを、教えられるはずが無いよね!
もしそうなら、
自分がすでに出来ないことを、人さまからお金をもらって教えちゃいけませんよぉ。 アコギな稼業になっちゃいますよぉ。
それよりも、
もしそうなら、
絶対音感がズレたり完全に失われたご自分自身が
譜面を間違えずに完璧にピアノを弾くために、
ミスタッチ無く完璧に暗譜で弾くために、
どのような日々のたゆまぬ努力や工夫研鑽を積んでいるか?
を、お伝え差し上げるべきだと思います。
それこそが、
中高年のお客様に最も必要な内容ではありませんか?
根拠の無い精神論よりも、
中高年のピアノ愛好家たちの根幹に関わる内容を、
お伝え差し上げてはいかがでしょうか?
一方、
中高年でピアノを習っているピアノ愛好家さんたちは、
いくら聴音ドリルをやっても全然聞き取れない!
どんなに頑張って暗譜しても、ついちがう音を弾いてしまってミスタッチしまくる!
ソルフェージュをやっても、一向に音感がつかない!
のは、
貴方に音楽の才能が無いのではなくて、
単にあなたが齢をとったから!
かもしれません。
私が50代でピアノを再開したのは今から10年ほど前ですが、
その時に、私が小学校の頃に内心自慢していた(←苦笑)半音刻みの粗い絶対音感(=つまりマイクロトーナルは認識できない絶対音感)が、半音~全音ズレてしまっていることに気がつきました。
当初は、どこかの音大がアップしている「絶対音感ドリル」をやってみたりしましたが、もう笑っちゃうぐらい、できませんでした!
それから、パソコンに入れている自分の好きな曲を次から次へと、キーを当てる練習をしました。でも、一向に当たりませんでした。
私はとても絶望しました。
その頃に、Rick Beato氏の動画を視て、「絶対音感は50歳ぐらいからズレ始めて、60歳頃に完全に失われるという説がある」ということを知りました。
そして、
ストラヴィンスキーやコルトレーンは相対音感しか持っていなかったというBeato氏の動画を視て、心が救われました。
で、私はあっさり絶対音感を捨てて、相対音感の世界を目指しました。
実は、
2010年代の半ば頃に参加していたピアノ会で、
40代ぐらいの女性から、私と全く同じことを聞いていました。
彼女も、中年になってピアノを再開した時に、子どもの頃に持っていた絶対音感が半音ズレてしまっていたそうです。
松任谷正隆さんもインタビューで、齢をとってきたら絶対音感がズレてきたと話しています(ネット上にあります)。
これらを読んで、いかがですか?
「どうせ素人のピアノ愛好家の話でしょ?
それに松任谷正隆はポップスの人。
我々クラシック音楽家は絶対音感がズレることなんて、絶対に有りえない!」
とおっしゃいますかね?
ところで、
リヒテルって人、クラシックピアニストですか?
リヒテルっていうピアニストが、加齢によって絶対音感が半音ズレてしまって、実際に楽譜どおりにピアノを弾いても、自分の脳内では半音下のキーに聞こえてしまっていたことが、Beato氏の以下の動画で引用されているんですけどね(英語の字幕有り)👇
この動画の中で、
リヒテルと同様に加齢によって絶対音感がズレてしまったと語っているアメリカ人のピアニストはこの人でしょうね👇ウィキペディア
👆リヒテルって、二流のピアニストなんですか?
他にも、当時54歳のオスカーピーターソンが、「E♭」の音を「E」と答えてしまってからお茶を濁すようなことを言っている場面もありましたね。
それから、
ジャズのビブラフォンの神ゲイリー・バートンが、病から回復した後のライブのリハーサルで、共演者のチック・コリアに「なんでD♭のキーで弾くんだ?」と何度も問いただした(が、チック・コリアは実際にはFのキーで弾いていた!)という逸話も紹介されています。
ピーターソンもバートンも、ジャズの神様ですよ。
なのに、齢をとったら絶対音感がズレてしまった!
音楽の現人神たちが絶対音感がズレたのに、
市井のピアノ教師がズレないことが、あるんでしょうかね?
「絶対音感がズレる」とは、自分の頭の中で認識している音と、実際の鍵盤から鳴る音が、違ってしまうということです。
これが、頭を混乱させて、ミスタッチを量産する原因になる。
👆ということだと、私は単なる素人のピアノ好きですが、個人的にそう実感しています。
上記の動画の中で、Beato氏の個人的な経験も語られています。
「50歳を過ぎた、ある時に、チューナーを使わずにギターのチューニングをした後で音を確認したら、完璧な「E♭」のチューニングになっていた!」そうです。
ギターの弦は、最低音の「E」から基本的に完全4度でチューニング(GB間だけメイジャーサード)するので、「E A D G B E」の音が鳴るはずです。
ところが、自分が「E」にチューニングしたと思っていた最低音の弦が、実際には「E♭」に調弦されていて、それをベースに高音の弦をチューニングしていって、開放弦で鳴らしたら「E♭, A♭, D♭, G♭, B♭, E♭」の音が出た!ということです。
超一流のプロミュージシャンをして、
彼らが50歳を過ぎると音感が狂ってくるのに、
ピアノを弾いたことのない中高年に「ピアノは脳トレになります!」と宣伝するピアノ教育界は、彼らに一体何の脳トレをさせて差しあげるんでしょうかね?
中高年に「ピアノは楽しいですよ!」って宣伝するけど、たぶん初心者だから絶対音感が無い、または、あったとしても既に狂ったり完全に失ってしまっている可能性が非常に高い中高年に、ピアノを一体どう楽しませて差しあげようと思っているんでしょうかね?
そもそも、
大人の中高年にやたらとピアノレッスンを売り込むあなたがたは、いったい何歳ですか?
👇それから、この動画。
私は動画の最初で流れるベートーベンの第九のキーを反射的に手近のキーボードで押さえたら、見事にD♭でした\(^o^)/!
そして、
この動画の最後にBeato氏が想像していることが、もし本当だとしたら、
すでに耳が聞こえない上に50代だったベートーベンが脳内で奏でていた第九のキーと、私の脳内のキーは合っているということになりますね!👇
👇以下は、今から7年ぐらい前にBeato氏がアップした動画です。
Beato氏の「大人になってから絶対音感を獲得することは不可能だ」との説への反論と、それに対するBeato氏の再反論の動画です。
Beato氏本人は、もともと相対音感だけの人ですが、自分の子どもが赤ちゃんのころから音楽に触れさせることで、その子がどんな不協和音も瞬時に答えられる子に成長した、その動画が当時バズりました。👇
👆ネット上には、Beato氏の説に反論する人たちの動画も有ります。
私は、大人になってから訓練しても絶対音感を獲得できるかどうかについては、よくわかりません。
「絶対音感を獲得した!」と思っていても、実際には自分の脳内に、自分にとっての音叉(おんさ)として使う「reference tone = 参照用の音」が出来て、音楽を聴いたら自分の脳内の「音叉(おんさ)」に照らし合わせて音を判断しているのかもしれません。
50代以降の私は、そうです。
私が自分の経験から実感しているのは、
「ピアノ教育によって子どもの頃に絶対音感を獲得した人は、中高年になると、絶対音感がズレ始めて、還暦前後になると、ズレるどころではない! 完全なフリーダム状態になってしまって、全く当てにならなくなる。つまり、絶対音感は全く使い物にならなくなる!」
ということです。
その結果、脳内で認識している音と、実際にケンバンから鳴る音が違ってしまうために、若い時には考えられなかったような、本人にとって理解不能のミスタッチが増えはじめる、ということです。
つまり、
中高年のピアノは、ミスタッチ在りき。
中高年はミスタッチするのがデフォルトなんだと、思います。
ミスタッチ無く弾くことは、限りなく不可能か、あるいは、
本人にとって無駄な努力になるばかりか、老化という自然の摂理に抗(あらが)う不条理な負担を無理に強いることになる、と思います。
だから、
中高年にとっての「完璧な演奏」とは、「一曲の中で何度もミスタッチする演奏」なんだと思います。
じゃぁ、どうすればいいのか?
かんたんです。
そういう、加齢による、本人がどんなに努力しても防ぎようのないミスタッチは、
聴くほうの人が、それを聴かなかったことにすれば良いのだと思います。
中高年のミスタッチに、いちいち目くじらを立てない!
あなたがただって、中高年になったら、絶対音感がズレたらどんなに恐しいことになるか絶対に分かりますよ。
「このキーを弾いたら、思った音が出るだろうか?」って、
鍵盤を叩く前に、ためらうようになっちゃうんだよ!
幸いにも、私は早々に絶対音感に見切りをつけて相対音感を育てたので、相対音感がとても頼もしい支えになってくれているけど、
絶対音感しか持っていない人が、加齢によって絶対音感を失ったときの恐怖がどんなものなのか、想像もつきませんよ。
ああそうだ!
中高年のミスタッチは、
加齢による「アドリブ演奏」だと思えばよいのですよ。
いやむしろ、
これが、正真正銘の、神業のアドリブ演奏でしょ!
だって、本人の意志とは全く関係無しに音を外していくんだから。
もはや人間業(わざ)を超えた、神の所業ですよ。
この世に居ながら神業(かみわざ)を鑑賞できるなんて、もう有難いに尽きますよ!
って思ったら、ほら、もうぜーんぜん気にならないし、
ミスタッチしながら弾く中高年の方々が神々しく見えてくる!
それに、
「ミスタッチの無い完璧な演奏!」なんて、そもそも人間ができるはずがないのに、それを人に目指させるって、あなた、もしかすると、自分が神になろうとしているんじゃありませんか?
いや、すでに、神のつもりでいるんじゃないんですか?
それ、ヤバいと思います、あなたにとって。
中高年のピアノ愛好家にとって、いちばん参考になるのは、
絶対音感が使い物にならなくなった中高年のピアノ教師たちが実際に演奏する姿だと思います。
それが、中高年にとって、いろいろな意味で参考になると思います。
絶対音感を失う前の若いピアニストや若いピアノ教師の実演は、
中高年にとってフラストレーションと絶望感を増すばかりだと思います。
年寄りは、同年代の年寄りの一流演奏家の演奏を参考にするのが、いちばん無理が無くて、自然だと思います。
若い人は、絶対音感を失ってしまった中高年がピアノを弾く際に直面する大変さを、生物的に実感できない。
私がそうだったから。
失って、はじめてわかる、ものがあったよ!
だから、
若い人たちがピアノに関して中高年に言うことは、話半分で聞き流すぐらいでちょうどいいだろう、と思います。
~ピアノ方丈記~
