出身を 聞かれ馴れ初め 話さねば ならず調査に 頬を染めしか|特別養子縁組|家庭訪問調査②
家庭訪問調査は、その名の通り自分達の家に来ていただくのだが、それなのに緊張するのは何故なのだろう。アウェイでなくホームなのに、ドキドキソワソワするのは何故なのか。
どんな家庭なのか、この家に本当に子どもを預けることはできるのかなど、色々なことを調査しに来られるが、どこを見られて何を調べられるのか、大体の雰囲気は事前に見当がついていても、やはりソワソワしてしまう。
前々から片付けては、前日には一通りの掃除。そして寝る前、当日朝食後…と、特に前日当日は都度都度こまめに掃除していた。そこまでしなくても大丈夫だろう…と言われるほど、几帳面すぎるくらいきれいにしていたが、それを、1日坊主とならずに今も続けていたのなら、どれだけ部屋が毎日きれいなことだろう。
その時、一緒に暮らしていた義父に、児童相談所(児相)の方が家庭訪問調査に来られることを伝えては、少し前まで不妊治療をしていたことや、特別養子縁組でこれから子どもを迎えようとしていることなどを、細かく話すこととなった。
数ヶ月前まで、私達が毎週のように朝早く出かけていたことを、少し気にかけていたようで、その話を聞いて納得したのか、少し笑顔を見せながら頷いてくれた。
部屋にこもりきりで、必要なこと以外はあまり話さない、昔気質の寡黙な義父なので、血の繋がりのない子どもを迎えることに、もしかして反対されるかとも思っていたが、反対もせず穏やかに頷いては、「お前たちの好きなようにしたらよい…」とのことを言ってくれて、安堵したのを今でも覚えている。
「どうなるかは分からないけどね…審査が通ってもすぐに子どもが来るかは、本当に全然分からないんだけどね…」そんなことを言い会話を交わすと、「来てくれるといいな、お前たちの望むように 」と、そんなことを言ってくれていた。
本当はずっと気にかけていて、孫はまだかと思っていても、なかなか言わなかったのだろう。義父に打ち明けた後、私も主人もお互いそう感じていたが、義父が本当に本当に喜んで、見たこともないくらいの満面の笑みを浮かべて喜ぶなんて、私も主人もその時はまだ想像もしていなかった。
さて、当日の家庭訪問調査はというと、1階のリビングダイニングからキッチン、洗面所にお風呂…と、一通り見て周り、ダイニングに戻り椅子に腰掛けていただいては、児相の方から色々な質問をされ、面接のようなことが始まった。
以前に送っていた書類の内容を話され、確認しながら色々と細かく聞かれるので、その都度ひとつひとつ答えていたが、出身地を聞かれては、どのような出会いだったのかも聞かれ、結婚して15年近く経つのに、こんなことで馴れ初めを話すなんて思ってもいなかった。
馴れ初めを聞かれては、話がそこからまた展開して色々なことを聞かれたが、主人もざっくばらんに上手く話してくれるので、それまでの緊張もほぐれ、部屋を見られることが終わったと思い、少し気が楽になっていた。
けど、この数分後…思い出したくないくらいの、とんでもないことが起こる。緊張したり焦ったり、いつもと違う状況になると、肝心なことが抜けてしまうものだとつくづく思った時間だった。
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