映画『アレクサンドリア』—4世紀に生きた、知性と美貌の女性天文学者ヒュパティア
はじめに:レイチェル·ワイズって、あのダニエル·クレイグの奥様!
驚き!主演のレイチェル・ワイズはあのダニエル・クレイグの奥様!
って、実はこの作品を視聴する前から存じ上げておりましたが😁
いや、ダニエル・クレイグがカッコ良すぎて、一体どんな奥様なんだろうと思ったらこれまた素敵すぎちゃって💕
俳優さん同士のご夫婦ってのはどうやっても絵になりますわよね🥰
お二人は2011年に結婚されていて、
もう10年以上連れ添っていらっしゃいます。
そんなレイチェル・ワイズが演じるのは、
4世紀のエジプトに実在した女性天文学者ヒュパティア。
今日はこの壮絶な人生を歩んだ女性について、
たっぷり語りたいと思います。
映画の概要—スペイン製作、ゴヤ賞7部門独占の大作
2009年製作・スペイン映画。
原題は「Ágora」(アゴラ=古代ギリシャの公共広場の意)。
「海を飛ぶ夢」でアカデミー外国語映画賞を
受賞したアレハンドロ・アメナーバル監督・脚本作品で、
日本では2011年に「アレクサンドリア」
というタイトルで公開されました。
スペイン本国では
ゴヤ賞(スペインのアカデミー賞)7部門を独占する
大ヒットを記録しています。
舞台はローマ帝国末期、4世紀のエジプト・アレクサンドリア。
卓越した知性と美貌を持つ女性天文学者ヒュパティアが、
アレクサンドリア図書館を擁する学術都市で
多くの弟子に講義を行っていました。
しかしキリスト教が急速に勢力を拡大し、
異教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒の対立が激化する中、
ヒュパティアもその渦に巻き込まれていく—という物語です。
弟子オレステス役にオスカー・アイザック、
奴隷ダオス役にマックス・ミンゲラ。
リドリー・スコット作品かと思うほどの
古代アレクサンドリアの街並みの再現度、
図書館の内部装飾の美しさも見どころです。
西暦4世紀に女性が学問できた驚き—でも、やっぱり「女性」だった
西暦4世紀って、そんな大昔に女性がお勉強できたってのがまず驚き✨
なんて進歩的だったんでしょう!と思ったのも束の間。
まぁそうですよね。
はいはい、いつものように女性は虐げられる感じで💦
ヒュパティアが学問を修められたのは、
父テオン(アレクサンドリア図書館長・数学者・天文学者)が
娘に英才教育を施したからでした。
女性が人間以下と考えられることもしばしばだった時代に、
テオンは娘の才能を信じて育て上げた。
つまり「進歩的な父」がいたから可能だった、
極めて稀な好条件だったわけです。
それでも、周りが敬意を払ってくれたのは
彼女の人柄や頭の良さと品性があったからなんでしょう。
ローマ帝国の長官クラスの人物までもが
ヒュパティアのもとへ教えを請いに来ていた
という記録もあります。
またレイチェル・ワイズだからめちゃくちゃ説得力あるし😊
知性と気品を兼ね備えた女性を演じさせたら本当に天下一品ですよね。
地動説—なぜいつも歴史的に「大問題」だったのか
映画でヒュパティアは天動説に疑問を抱き、地動説(地球が太陽の周りを回っているという説)の可能性を模索し続けます。
地動説が歴史的にいつも「問題」だったのは言うまでもなく、
聖書の記述(地球が宇宙の中心であるという世界観)
と矛盾するとされたからです。
教会の権威が
「神が作った世界の中心は地球であり人間である」
という秩序観に基づいていたため、
それを揺るがす地動説は単なる科学理論ではなく
「神への冒涜」と見なされた。
うーん、それも随分と勝手だなと思っちゃう。
ワタクシ現代人なもので💦
1600年代にケプラーが地球の楕円軌道を定理化し、
ガリレオが地動説を主張して宗教裁判にかけられたのは有名な話ですが、
驚くべきことにヒュパティアはそれより1200年以上も前の4世紀に、
すでに地動説的な仮説に到達していたとされているのです✨
映画ではこの先見性が丁寧に描かれていて、
彼女がいかに時代を先取りした天才だったかが伝わってきます。
映画ではどう描かれたか—史実より「救い」のある最期に
映画ではこの後、
ヒュパティアは魔女として民衆に追い詰められていきます😢
具体的には、暴徒たちに石打ちで殺されそうになるのですが—
その寸前に、ヒュパティアを密かに愛し続けていた奴隷の弟子ダオスが、
彼女が苦しまないよう先に窒息させてあげる、
という展開になっています。
これは映画オリジナルの改変で、
史実とは異なります(詳しくは次の項で)。
ある意味「せめてもの優しさ」を描いた演出だったのだと思います。
最後まで彼女を想い続けた人物の手によって、
苦しみの少ない最期を迎えさせる—
監督なりのヒュパティアへの敬意の表し方だったのかもしれません。
史実のヒュパティアの最期—「本当かよ!」という凄惨さでした
歴史的資料では本当かよ!っていう刑だったはず—
その記憶、合っていました😭
415年3月、総司教キュリロスの部下と見られる暴徒たちが、
馬車で学園に向かっていたヒュパティアを引きずりおろし、
教会に連れ込みました。
そして彼女を裸にし、
牡蠣の貝殻で生きたまま肉を骨から削ぎ落として殺害したと
歴史家エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』に記録されています。
貝殻で肉を削ぐとか💦やめてほしい……。
当時のギリシャでは牡蠣の貝殻が建築用のタイルとして
一般的に使われていたそうで、それが凶器として使われたという説です。
あまりにも残虐な殺害方法だったため、
映画ではさすがに映像化できず、
石打ち+窒息という形に変えたのも納得です。
なんて酷い、なんて横暴な……。
進歩的と見えて、まだまだ未熟な人類だったのは間違いない。
しかも恐ろしいことに、主犯格とされる総司教キュリロスは、
その後カトリック教会から聖人に列せられているんです💦
「異教徒を追放した功績者」として称えられた、
というのですから……言葉が出てきませんわ。
ヒュパティアの肖像—伝承でしかないのに、なぜか美しい
ヒュパティアを描いた絵とかあるけど、
今見ても美しい✨
きっと本当に美しい人だったんだと思う😊
実は、ヒュパティアの肖像は
ラファエロの有名な絵画「アテネの学堂」にも
描かれているとされています(諸説あり)。
当時の同時代資料には
「美貌と知性を兼ね備えた女性」という記述が複数残っていますが、
実際の容姿を正確に伝える肖像画は現存していません。
それでも後世に描かれた絵がどれも美しく気高い姿で表現されているのは、伝承でしかないその風貌が、
それでもやっぱり彼女の功績を讃えたくてそうなったのかもしれない🌹
知性に対する敬意が、
美しさという形で語り継がれてきたんだと思うと、
なんだか胸が熱くなります🥺
まとめ—古代科学の最後の光、そして暗黒時代の始まり
ヒュパティアの死後、アレクサンドリアの知的活動は急速に衰退し、
その後1000年もの間、天文学や数学はほとんど進歩のない時代が
続いたとされています。
彼女は「古代科学の輝きの最後の光」として、
今も語り継がれている存在です✨
宗教対立、知の弾圧、女性であることの困難—
4世紀の物語でありながら、
現代にも通じるテーマがぎっしり詰まった映画でした。
進歩的に見えて、まだまだ未熟だった人類。
それは1600年経った今も、形を変えながら続いているのかもしれません。
ヒュパティアが見上げた星空は、
今もワタクシたちの頭上に変わらずあるというのに🌹🥺
【著者より】
西洋史好き・海外ドラマ好きによる、史実とフィクションの比較考察マガジン。第1回「映画トロイ」〜第19回「アマデウス」、番外編①「ベルサイユのばら深掘り」もぜひ。史実とフィクションの間で身悶えする同志、募集中です。
