与論島の旅・番外編 | 島を想う | 〜刻の宿suzukaze〜インタビュー
はじめて与論島を訪れた時に、KANAに案内してもらったお宿、刻の宿suzukazeさん。
その時は併設しているカフェ「LITTLE BEACH 3540」のマンゴーパフェが驚くほど美味しく、お部屋も少しのぞかせていただき、次回来た時はぜひ宿泊したい!と思い、今回は念願の宿泊。
その時のエピソードはこちら▼
実際に宿泊することで感じた
お宿とオーナーATSUSHIさんの魅力。

ぜひお話しを伺いたいと思い、お仕事の合間にインタビューをさせていただきました。家族で与論島に移住。これまでのこと、お宿のこと。そして、島への想いを伺いました。
現在、お宿は開業から4年目とのこと。
誕生ストーリーを教えてください。
実はこのお宿の前にも、山梨県の山中湖で、客室数も15室ほどのオーベルジュスタイルのペンションを約8年を経営していました。そこをクローズして今まで足繁く通っていた、石垣島や宮古島で新しい宿を考えていました。
そんな時、山梨の宿を経営していた時にお世話になっていた会計事務所さんが、「ちょっと待って!与論島で、物件を作ったんだけど、管理するのがものすごく大変で、一度見てもらえないかな?」というお話をいただいたんです。
そこから実際見てみて、お宿として「こうした方がいい、あぁしいたほうがいい」というイメージが広がり、リフォームしオープンすることに。
最初は建物の周りは本当に更地で。自分と妻で植栽も全部植えて、3、4年経ちはじめてようやく緑が育って今の形になってきました。
グリーンもとても素敵と思っていましたが、最初はなかったのですね。

はい。南の島特有の台風の怖さも理解していたので、石垣などを組んでいる建物ではなかったから、今から植栽をすれば、お客様同士の目隠しにもなりプライベートな空間ができるななど、10年先をイメージして植栽しました。
開業当時は、コロナ禍。どんな状況でしたか?
旅行を敬遠していて、接触を極力なくしていた時期。今までの山梨の宿はオーベルジュスタイルで自分がシェフとして全部を振る舞っていたので、スタイルを変える必要がありました。そこで、完全素泊まりのファミリーさんが1棟使えるようなコテージのスタイルに。ある意味コロナ禍というのがこのスタイルをつくり出しました。
そのおかげで当初は、冠婚葬祭で島に帰ってくる人たちとの接触を避ける宿泊の場所としても提供することができました。
1棟貸しのコテージで、プライベートな時間を心地よく過ごせました。
星空や百合ヶ浜、夕日のおすすめスポットまで教えてもらえて嬉しかったです。

やっぱり、旅行で来られる方ほど「時間の使い方」が大切だと思うんです。
その“限られた時間の大切さ”というのを、僕はすごくよく分かっています。
僕らのように島に住んでいれば「また今度にしよう」と後回しにできることも、旅行で短い期間しか滞在できない方にとっては、その時間がすべてです。だからこそ、できる限りその時間を満足して過ごしてもらえるようにしたい。
本来それは宿の仕事ではないのかもしれません。でも僕は、旅行で来られた方に少しでも深く島を感じてもらえるよう、島の人以上に与論のことを知り尽くしておきたいと思っています。
併設してカフェも。
さきほども島の方が楽しそうにお話しに来てましたね。

はい。素泊まりでも、朝ごはんは食べたいという方が多く、カフェを併設しました。
自分たちのように移住してきた者は、例えば朝、夜と食事も提供して、宿だけで完結させてしまうと、実態が見えず「何をやっているんだろう?」と島の人に思わせてしまうことも。それが一番やってはいけないことで、やっぱり島の人も出入りできる場所を作りたいと思ったんです。
通常は宿泊の方限定ですが、宿泊の方が落ち着く秋冬の時だけ、島の方にもきていただけるようにしています。島のカフェの数も多くはないので、ラフにちょっとした話をしにきてくれたりご近所さんが遊びにきてくれています。
カフェで販売している商品もご自身でセレクトされているんですか?

島ではアイテムを見つけることもありますが、どちらかというと「与論でお店を持ちたい」「本業としてお客様に見せられる場所をつくりたい」という方に、まずは“おきなよ”と背中を押す機会のほうが多いです。
実際に“見せる場”があることで、「もっとこうした方がいいな」「このパッケージじゃないと売れないんだ」といった気づきが生まれます。商品は、人に見られて初めて評価されるもの。自分では良いと思っていても、置いてみて初めてわかることがたくさんあります。
そこから一緒に工夫を重ねたり、「どうすればより良くなるか」といった相談にも乗りながら、表現の場としても育っていく場所になっています。
これからやりたいことはありますか?

近々でやりたいことは、ランチですかね。まだまだ島でランチができるところが限られるので。
最近は畑を始めました。地元の方が貸してくださっているんです。
土をいじっていると、ご近所さんが声をかけてくれたり、「何を育ててるの?」と話しかけてくれたりする。
野菜を見て、僕が「こうやってリメイクすると美味しいですよ」と教えることもありますし、野菜をおすそ分けしたり、交換したり触れ合う方や時間が増えたのも嬉しいです。
島で大切なのは「人」とのつながり。だからこそ、自分からいろんな人と触れ合える環境をつくるようにしています。
そんな風に、畑を通してまた新しいつながりが生まれて、関わる人たちの輪がどんどん広がっていると感じますね。
はい。あとは島に住まわせてもらっているというのが移住している者としては一番大事なところで、最終的には島にどういう風に還元できるか、島をどういうふうによくできるかが一番最後の目標です。そういう意味では、やりたいことはまだ1/3もできていないです(笑)
移住してきている人間ほど、その島にあるもの、ないものがすごく理解できるので、あれがないな、これをやったら喜んでもらえるかなという旅行者目線で還元できる方法もあるのではと思っています。

やりたいことはたくさんありますが、たぶん僕の代では終わらないと思っています。
子どもたちは、高校卒業後専門学校や大学、就職などで一度外に出てしまうことが多く、意図的に戻ってくる子はほとんどいません。
もちろん、自営業だったり、何か事情を抱えていれば戻ってくることもありますが、働く場所など帰る場所が少ないというのが現状でもあります。
だからこそ、「戻る場所」をつくることが大事だと思っています。
与論に帰ってきたときに、ちゃんとした仕事があり、島の一員としてまた自分たちが島を支えられる、そんな場所をつくりたい。
それは宿だけに限りません。もしホテルが増えていくのなら、クリーニングなどの事業所を建てるのも一つの形かもしれません。
そうした形で、島の子どもたちが「戻れる場所」を少しずつ増やしていきたいと思っています。
約1時間のインタビューを終え、ここに載せられていないビジネス論にも、ふむふむと終始うなずきっぱなしのふたり。
「これから二人はきっと何度も通うことになるよ」
「まだ本気の与論を味わっていないしね」
という、ATSUSHIさんの言葉にもドキドキ、ワクワク。
ご縁に感謝です。また会いに与論にいきます!(すっかりファン笑)
ATSUSHIさん、お忙しい中、突然のお願いにも関わらず、インタビューを快くお引き受けいただきありがとうございました。
はじめて与論島に行く方も、どんなことをしたいかを伝えると、その方にあったおすすめを教えてくださいます。自然にも、人のあたたかさにも触れられる特別で忘れられない旅に。ぜひ足を運んでみてください。

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【インタビューを終えて】
▼mica
与論島での時間をよりよいものにという思いから提供いただく、まさに痒いところに手が届く情報や、お心遣いに感動しました。
また、島を想う気持ちから生まれる、ずっと先を見据えた構想、そのスケールの大きさに胸を打たれました。
これからの活動に大きな刺激をいただきました。
わたしも喜びや笑顔の循環の中にいて、まわりの方々と楽しんで活動していきたいとおもっています。
ありがとうございます!
▼sayaka
お話を伺いながら、「宿に泊まる」ということは、ただ休む場所を求めるのではなく、ATSUSHIさんという人に会いに行くことでもあるのだと感じました。ぜひ多くの方に知っていただきたいと思う反面、自分だけの隠れ家のようで、秘密にしておきたくなるような場所でもあります(笑)。そう思わせるのもまた魅力のひとつ。
ご自身の経験や学びを惜しみなく、これから頑張る人や困っている方たちに伝えていらっしゃる姿も、とても印象的でした。そして、同じ年齢だと知って驚きました。目の前のことばかりにとらわれていた自分が、少し恥ずかしくなるほど。
わたしもそんな存在になれたらいいな、焦らず一歩ずつ。
たくさんの刺激と温かなおもてなしを本当にありがとうございました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
旅の楽しみは、
人との出会いによって幾重にも深まる。
そのことをあらためて感じさせてくれたのが、
この与論の旅でした。
このインタビューは2025年の5月の終わりで
今から約5ヶ月前の出来事。
実はここから次の展開が…
この時は想像もできていなかったふたり。
次回からは創作編です。
毎週水曜更新中です
ぜひまた覗きにきていただければ嬉しいです。
▼旅するふたり
