「たったひとつの唐揚げ弁当が私の運命を変えた」~アスリートとの出会いが紡いだ1862日の軌跡~
1本の電話から始まったカフェ店主とアスリートの物語。気づけばどっぷりとアスリートご飯作りの沼にはまってしまった私の毎日。
2020年。1月頃には対岸の火事だと思っていたコロナによって日本全体が変わり始めたあの頃。
私が住む地域も、あれよあれよと店内営業自粛の流れになってスタッフを全員休みにして一旦お弁当販売に切り替えた初日。
【2020年4月10日】
初めてのお弁当注文の電話。
1本の電話がなりお弁当お願いしますと若い男性から。
あいにく前日までの予約で、当日はご用意が出来かねますとお返事をして電話を終えた。
しばらくするとまた掛かってきて
じゃあ明日の弁当予約します!
自分アスリートなんで量多めでお願いします!
そう言われて迎えた翌日。4月11日。
アスリートって何?
スポーツとは無縁に生きてきた私。
よく分からなかったのでとりあえずご飯と唐揚げ増やしとけばいっか。
そんな感じで玄米ごはん140gを200gに増量し、
唐揚げはたしか1切れ増やした。
そして出来上がった弁当がこれ。

ドヤ顔で渡した記憶。
この日のメニュー
・かまどさんで炊いた佐賀県産さがびより発芽玄米ご飯
・自家製豆腐
・煮卵
・大葉を巻いた鶏バーグ
・鶏むね唐揚げ
・トマト
・茄子のポン酢マリネ
・こんにゃく煮
・クリームチーズピック
・ゴボウフライ
・オクラとアイスプラントのナムル
・いちご
うん。今振り返ってみるとやっちゃってる。震える。
だけど当時は
量を増やせばいいのよね!
唐揚げ増やしたから喜ぶでしょ。
くらいにしか思ってなかった。
女性のお客様が9割のお店だったから
お弁当箱も小さいクラフトBOXタイプ。
そして受け取りに来たのはキリっと爽やかな青年。
この時点で正直まだ誰かわかっていない。
こんにちは!松岡大起です!と名乗られた。
もちろんまだわからない。
ご飯と唐揚げ増量しておきましたー!とドヤ顔で渡す。
するとその日の15時くらいになってまた電話。
なんと感想を伝えるためにわざわざ掛けてくれた。
玄米ご飯は良かったですね。
唐揚げはダメです。というか揚げ物がダメです。
自分アスリートなんで。
でもゆで卵はよかったです。
豆腐もおいしかったです。
じゃあまた明日もくるんでよろしくお願いします。
なんだかよくわからないまま翌日もまた作った。
お弁当の中身は日替わり。
しばらくは一般のお客様とほぼ同じお弁当で量と調理法を変えた。
12時ごろ取りに来ては15時ごろフィードバックの電話。
この流れを数日間繰り返し、1週間もしないうちに仲間を連れてきた。
その時連れてこられた仲間たちが
大畑歩夢選手・本田風智選手・林大地選手・森下龍矢選手。
もちろん全員誰かわかっていない。
店から10分くらいのところに朝日山公園というところがあってそこでみんなで自主練をした帰りにお弁当を取りにきてるんだと言ってた。


とにかくみんな爽やかだったのを覚えている。
アスリートのお弁当も6人分くらいまで増えてきて(途中で湯澤洋介選手も仲間入り)一般のお弁当も60個近くなってきたところで一人では手が回らなくなってきて休んでもらっていたスタッフも勤務再開。
お弁当の内容も少しずつパワーアップしてきてサラダも別で作ってとリクエストされ弁当箱もサイズアップ。







当時はまだまだアスリート用の栄養アップごはんというよりは、リクエストの内容に沿うだけで精一杯。
揚げ物をいれないとか砂糖控えてとか、添加物できるだけ避けてとか。
【2020年5月14日】
営業再開。アスリートたちとの関りが深まる。
そんなこんなで2020年5月14日にお店の営業が再開となりアスリートも自主練からチーム練習に戻ってお弁当から店内飲食になっていった。

ちょうどこの日から記録をつけ始めている。
もうノートは10冊以上となった。
お店の営業も同時進行でやっているので、毎日が本当にドラマのよう。
簡単に終わる日なんてなく、うまくいかない日の方が多かった。
師匠に電話して泣きながら作った日も両手じゃ収まらないほどある。

優しく指導してくださった料理研究家の渡邉まみさんと。
選手のお母さまからの紹介で日々のごはん作りを全面的に
バックアップしてくださった師匠でもある。
師匠との写真で
ガチガチに緊張している私。



2025シーズンのごはん。初期の頃とは使っている食材の数が
全く違う。60〜80種類の食材をバランスよく使用。
アビスパ福岡出張ごはんも今シーズンから開始。
松岡大起選手から始まったアスリートご飯。
最初はお昼ご飯から始まり現在は夜ご飯の方をメインで作っています。
気づけばたくさんの選手にごはんを提供してきました。
2020年~現在まで
(メインで担当した選手と時々お作りした選手)
・松岡大起選手(2020~2021・2025~)
・本田風智選手(2020~)
・大畑歩夢選手(2020~2021)
・林大地選手・森下龍矢選手
・湯澤洋介選手(2020~2022)
・朴一圭選手(2020~2024)
・中野伸哉選手(2022)
・梁勇基選手
・中野嘉大選手
・宮代大聖選手(2022~)
・西川潤選手(2022~2023・2025~)
・原田亘選手(2023~)
・手塚康平選手
・大里皇馬選手
・渡邉綾平選手
・河原創選手(2024~)
・菊地泰智選手
・ヴィキンタス スリヴカ選手(2024~)
・西矢健人選手(2024~)
・櫻井辰徳選手(2025~)
・山田寛人選手(2025〜)
・豊田歩選手(2026~)
・塩浜遼選手(2026~)
・松岡響祈選手(2026~)
・玄理吾選手(2026~)
振り返るとたくさん。アスリートご飯ではなく一般のお客様としてランチに通ってくださった選手も名前は挙げていないけど何人も。
たった一人の選手とのご縁で、サッカーを観たこともないような私がアスリートにご飯を作るようになるなんて思ってもみなかったな。
今では選手本人からだけでなく、通訳の方やスタッフの方から連絡をいただきごはん作りを依頼されるようになったり怪我で離脱している選手から怪我食の依頼が来たり。
あの時の唐揚げ弁当からこんなにも道が広がるなんて。
考えてみるとものすごいご縁だ。
でも今も変わらないのは
誰かのために真剣に作るということ。
私に何ができるのだろう。
「何か」ができると思うこと自体おこがましいのかもしれないけど。
真剣に、時に必死に取り組む人を応援したい。
何かしらの役に立ちたい。
選手と毎日のように顔を合わせ、時に生活の中に入り込むような食事作りをしていてより強く思うようになった。
ご本人たちが健やかに、より長く自分の納得するところまでやりきるために
これからもじんわりと優しく温かく、食の部分からサポートしていきたいと思っている。
明日も栄養満点のごはん。届けよう。
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