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「天才の80%はみずがめ座」は本当なのか調査:42 一旦のまとめ

 占い業界で言われているとされる「天才の80%はみずがめ座である」との主張は本当かを調査する。それが「『天才の80%はみずがめ座』は本当なのか調査」でございます。

 調査全体に関する説明は以下の記事をご覧ください。

 ここまで、42の賞と分野を通じて天才をかき集め、片っ端から星座をチェックして参りました。現段階で星座が判明した天才だけでも4981人になりました。個人が調べた割には、それなりの量になったと思います。もちろん、賞に関しては毎年のように受賞者が増えますし、新しい分野の天才をチェックする可能性がございますので、今後もボチボチ調査はしていくつもりではございますけれども、ここらで一旦、「天才の80%はみずがめ座である」が成り立つ結果なのかどうか、確認してみようと思います。

 まずは単純に現段階で判明した各星座の天才を一覧にしてみます。

おひつじ座:417人
おうし座:423人
ふたご座:440人
かに座:387人
しし座:391人
おとめ座:409人
てんびん座:451人
さそり座:418人
いて座:404人
やぎ座:405人
みずがめ座:403人
うお座:432人

合計:4980人

 この数値から平均値と中央値、それからみずがめ座率を計算すると以下の通りとなります。

平均値:415.0人
中央値:413.0人
みずがめ座率:403 / 4980×100 = 8.1%

 というわけで、今回の結果では、みずがめ座は天才の8.1%を占めていることになります。ちなみに、1/12で大体8.3%なので、まあまあ1/12の辺りとなっています。結構綺麗にばらけたからこそ出てきた数値に見えます。平均値と中央値の差がほとんどないことからもそれがうかがえます。

 ただし、各星座に所属する人類が同じであればそれがすんなり成り立つんです。母数が同じだからですね。実際はそんなことないと思うんです。実際、人口学の本によると子供が生まれる月には季節によってある程度は決まった変化が確認できまして、具体的には1~3月が少なく、7~10月が多い傾向にあるようです(「自然災害と人口」原書房、2021年)。

 それを踏まえて星座ごとの人数を見ると、次の通りとなります。

てんびん座(9/23~10/23):451人 ※出生数が多いと思われる星座
ふたご座(5/21~6/21):440人
うお座(2/19~3/20):432人 ※出生数が少ないと思われる星座
おうし座(4/20~5/20):423人
おひつじ座(3/21~4/19):417人
さそり座(10/24~11/22):418人
おとめ座(8/23~9/22):409人 ※出生数が多いと思われる星座
やぎ座(12/22~1/19):405人 ※出生数が少ないと思われる星座
いて座(11/23~12/21):404人
みずがめ座(1/20~2/18):403人 ※出生数が少ないと思われる星座
しし座(7/23~8/22):391人 ※出生数が多いと思われる星座
かに座(6/22~7/22):387人 ※出生数が多いと思われる星座

 同じ7~10月の「てんびん座」と「かに座」が両脇を抱えたり、1~3月でも「うお座」が上位、「みずがめ座」が下位だったりと、あまり傾向が出ていないように見えます。もちろん、今後も天才の数は変化するのですが、今のところはあまり生まれた人の多さが傾向に出ていません。全人類に比べて天才の数が圧倒的に少ないので、傾向が出にくいのかもしれません。

 ところで、最も多いてんびん座と最も少ないかに座には64人の差が出ています。これは極端な差なんでしょうか、それとも天才と星座に何の関係がなくてもこれくらい差がつくものなんでしょうか。もう少し詳しく調べてみることにしました。

 こう言ったデータをまとめて、どういう性質があるのかを調べる学問は「統計学」と言います。そして、統計学には「外れ値」というものがございます。

 データをまとめていたら、やたら外れた数値が少しあった。その外れた数値を文字通り「外れ値」と呼んでるわけです。

 外れ値はグラフにすると明らかに外れており、「これなんか調査ミスったんじゃね?」と思いそうになりますが、「ちゃんとした調査で得た数値だしなあ」とも思うんです。だから、「これはミスだ」と安易に外すのは危険との見方もあるようです。

 とは言え、外れ値が他の数値に比べて異様に見えますから、「調査から外してもいいんじゃないかな」と思うことは多いようです。なので、外れ値かどうか調べてみました。

 とりあえず、簡単な計算でできるものとして「四分位範囲」を使う方法がございます。やり方はネットで検索するとたくさん出てきます。

 このやり方だと「この範囲は絶対に外れ値じゃない」というのが分かるようになっています。ちなみに、今回の天才みずがめ座調査における「絶対に外れ値じゃない範囲」は以下の通りとなっています。

371.5人~457.5人

[参考]
かに座(最小):387人
てんびん座(最大):451人

 最小の「かに座」も最大の「てんびん座」も外れ値じゃないことが分かるかと存じます。つまり、どちらも極端な数値ではないわけです。完全ランダムで天才を選んでも、星座ごとにこれくらいは差がついておかしくないよと暗に言われている感じです。

 データのバラつきについてもう少し調べます。データのバラつきを調べるのに「チェビシェフの不等式」というものを使う場合がございます。

 細かな計算は置いとくとして、これを使うと次のようなことが分かったりします。

・全データの少なくとも3/4(75%)が含まれる範囲
・全データの少なくとも8/9(89%)が含まれる範囲
・全データの少なくとも15/16(94%)が含まれる範囲

 なんかややこしい表現ですが、一番上の75%範囲に収まれば「このデータなんかまとまってんな」くらいは思っていいようです。というわけで、天才みずがめ座調査のデータで範囲を計算してみました。

75%範囲:378.3人~451.7人
89%範囲:359.9人~470.1人
94%範囲:341.5人~488.5人

[参考]
かに座(最小):387人
てんびん座(最大):451人

 当然、パーセンテージがデカくなるほど範囲もデカくなるわけですが、今回の調査では75%範囲で全星座が収まってしまいました。つまり、今回の調査は「なんかまとまってんな」だったんです。不自然に天才の多い、または少ない星座は存在せず、どの星座も同じくらい天才がいたことになります。逆を言うと、同じくらい天才がいてもこれくらい差がつくことは普通にあると考えられます。

参考文献

 さて、最後にもうひとつ気になる調査をします。今回、学問や芸術の天才では、その手の歴史を扱った本2冊を調査に使いました。では、調査に使った本が違うと、天才の人数がどれだけ違うのでしょう。試しにひとつのジャンルでやってみました。そのジャンルとはスペイン文学史です。

 スペイン文学史の本は数が限られ、最初はかなり昔の書籍2点で調査していました。調査を終えても「さすがに古すぎるよなあ」と思っていたところ、割と最近にもスペイン文学史の本が2冊出ていることを知り、調査し直した経緯があります。つまり、スペイン文学史の天才一覧はふたつ存在しているわけです。ちなみに、調査した本は以下の通りです。

旧調査で使用
スペイン文学史(白水社、1956)
スペイン文学史(白水社、1976)
現調査で使用
概説 スペイン文学史(研究社、2009)
スペイン文学案内(岩波書店、2013)

 では、一覧はどれくらい違っているのでしょうか。ふたつの結果を比べてみます。

旧調査
おひつじ座(3月21日~4月19日):12人
おうし座(4月20日~5月20日):16人
ふたご座(5月21日~6月21日):3人
かに座(6月22日~7月22日):10人
しし座(7月23日~8月22日):10人
おとめ座(8月23日~9月22日):10人
てんびん座(9月23日~10月23日):21人
さそり座(10月24日~11月22日):6人
いて座(11月23日~12月21日):7人
やぎ座(12月22日~1月19日):13人
みずがめ座(1月20日~2月18日):9人
うお座(2月19日~3月20日):14人
不明:39人
合計:170人

現調査
おひつじ座(3月21日~4月19日):19人
おうし座(4月20日~5月20日):15人
ふたご座(5月21日~6月21日):7人
かに座(6月22日~7月22日):8人
しし座(7月23日~8月22日):11人
おとめ座(8月23日~9月22日):10人
てんびん座(9月23日~10月23日):23人
さそり座(10月24日~11月22日):9人
いて座(11月23日~12月21日):10人
やぎ座(12月22日~1月19日):15人
みずがめ座(1月20日~2月18日):8人
うお座(2月19日~3月20日):16人
不明:39人
合計:191人

 上記一覧から各星座の増減を比べてみました。旧調査から現調査でどのくらい変化したのでしょうか。

旧調査から現調査になった際の人数変化
おひつじ座:12人→19人(+7)
おうし座:16人→15人(-1)
ふたご座:3人→7人(+4)
かに座:8人→10人(-2)
しし座:10人→11人(+1)
おとめ座:10人→10人(±0)
てんびん座:21人→23人(+2)
さそり座:6人→9人(+3)
いて座:7人→10人(+3)
やぎ座:13人→15人(+2)
みずがめ座:9人→8人(-1)
うお座:14人→16人(+2)
不明:39人→39人(±0)
合計:170人→191人(+21)

 まず合計人数は21人増加しています。これは旧調査の本が出版されてから世に出た作家がいたからだと思われます。

 続いて各星座の変化ですけれども、基本的には増加傾向にあります。全体で21人増えたのだから当然です。中でもおひつじ座が8人増えておりますけれども、基本は-1~+4の変化に収まっており、多い星座は多く、少ない星座は少ないままであることが多いです。

 この結果はある種当然で、特定の歴史で登場する人物がかなり決まっているからだと思います。日本史なら卑弥呼や家康が外せないのと同様に、スペイン文学史でもドン・キホーテでお馴染みのセルバンテスは外せなかったりと、歴史で必ず出てくる人物が存在している。逆に本で取り上げるかどうかの瀬戸際にいる、言い換えればギリギリ天才かどうか判断に迷う人物が本によって選出されたりされなかったりするわけです。当然ながらそんなギリギリ天才の数は限られます。そのため、調査に使う書籍が違うと、天才の数に多少の変化はあるでしょうけれども、大まかな傾向に変化は出にくいのかもしれません。「家康は架空の人間だった」みたいな偏った歴史本を選ばない限りは。

 以上をもちまして、天才みずがめ座調査は一区切りとさせていただきます。ただし、今後も各賞の受賞者を更新したり、気が向いたら新たな天才を調査したりするかもしれません。その際はよろしくお願いいたします。

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