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舞台感想 ほんものの魔法使 配信

宝塚歌劇雪組バウホール公演、ほんものの魔法使の配信がありました。
バウホール公演を配信で観られるっていうのは本当にありがたいです。
ほんっとに、チケット取れませんからねー。
私、友の会でバウホール取れたことが一度もなかったので、夢千鳥が当選した時には、本当に夢かと思いました。
そしたら、本当に夢だったっていう、オチまでついちゃって……
ディレイ配信っていう愛ある配信で救われましたから、
本当に配信ありがたいです。

さて、この公演は、ポール ギャリコ原作のほんものの魔法使を舞台化したものです。原作を読んだ感想は、こちら。
https://note.com/otobokedansyaku/n/n319bd322f35b

舞台が魔術師の街ですから、手品あり、ユニークな衣装ありの楽しいミュージカルになる要素は満載の作品なんですよ。
加えて、肩書や権威に対する皮肉、女の子だからダメみたいな差別、人間の欲望、「ほんもの」とは何か? という、児童向けの小説のわりには、なかなか深いものがありまして、どんな作品になっているかワクワクして観たのですがね……

多分以前の私なら、あー楽しかったと言ってたような気がするのですが、脚本や小説を勉強してから、作品そのものへの要求が強くなったようで、なかなか満足することができません。

とはいえ、先日、桜嵐記で、大感動しましたし、何でもあら捜しするわけではないんです。良い作品、感動する作品に出逢えば素直に感動できるはず。

一幕は、マジェイアの街にアダムとモプシーが現れて、ジェインと出会い、ほんものの魔法を使ったアダムに、皆がびっくりする。そして、魔術の仕掛けを聞こうと、ジェインを問いただし、答えられないジェインはお仕置きされてしまう。教えてくれないアダムに嫌いだといってしまうジェイン。

二幕は、自分の実力で手品が成功したわけではないことに苦悩するニニアンにアダムの監視を命じるマルヴォーリオ達と、この作品のポイント、ピクニックの場面でジェインに自信を取り戻させるアダム。そして最終審査、蝶を自由にあやつって捕まりそうになったアダムは皆の欲しがる金貨を降らせていなくなる。数年後、アダムを探しに旅立つニニアン。そして、自分だけの魔法の箱のなかに、アダムを見つけることができることに気づいたジェインの姿で終わりです。

原作のストーリーをかなり忠実に追って作ったな、って感じなんですけれど、そこまで忠実にする必要があったのか? 二時間五分の上演時間にストーリーを全部詰め込みすぎて、説明臭くなった気がします。

中国やインドや色々な扮装をした登場人物が歌い踊るだけでも楽しいでしょう。身づくろいロボットたちも可愛くて面白いし、ミツバチ達のダンスや、蝶を操るダンスなんかも宝塚らしくて、とても良いわけです。
いっそ、子供向けミュージカルみたいに、教訓めいたことは子供レベルにおさえてめちゃくちゃ楽しく作ってしまうという方法もあったと思うのです。

あるいは、「ほんもの」とは? 「人間」とは? 「自然」とは?
「新しい物」とは? 「古い物」とは? 「欲望」とは?
原作にちりばめられていた風刺や皮肉を、観客に問いかけ、考えさせる大人の作品にすることもできたと思うのです。

でも、教訓めいたものを言葉で語り、間に楽しいミュージカルシーンを挟んだ、どこか中途半端な作品に見えました。

小説でも、舞台でも、そうなんですけれど、教訓めいたことを言葉で伝えてしまうと、案外伝わらないんですよね。
お勉強じゃないんだから「○○は○○だから素晴らしいのだ」よりも、登場人物の行動を通して、観客が「○○は○○だから素晴らしいよなあ!」と感じられる物語運びの方が、断然面白いんですよね。
上手く説明できないけれど……

ただ、演者の巧みさで、空気は変わりますよね。
モプシーの可愛さと、シニカルな言葉、アダムとのバディ感。
犬を演じるなんてなかなかないでしょうけれど、好演でしたね。
そして、ニニアン、上手かったなあ。
華世京さん、106期ですか、もう驚くばかり。
自信なさせげで頼りないニニアン、本当のことを言えず苦悩するニニアン、自分を守るための嘘をつくニニアン、少し大人びて新たな旅立ちするニニアン。全部演じ分けていて、なんか、もうすごい。
実は、キャストちゃんと確認してなくて、誰?って終わってから確認して、びっくりした。本当に、若いのに上手いなあ。

もう、あーさの美しさや、伸びやかなお歌にうっとりしているだけでもご馳走様で、それに加えて巧みな演者に目を奪われて、満足なのですけどね。
ただ、栗田先生や上田先生など女性演出家の作品に感動することが多いので、男性演出家さんにも、もっと頑張って欲しいなあと感じます。
すいませんねえ、単なる素人の観客のくせに……
ただ、単純に男女の違いってだけではないとは思うのですけれど……

でも、まあ、宝塚作品の素晴らしいところは、美しいタカラジェンヌがどんどん進化していくところにありますから。
華世京さんのような楽しみな若手もいれば、あがちんみたいに若手だと思っていたのに、なんとも大人びた黒燕尾を見せてくれて、ぎゃお!っとなっちゃったし、かりあんの妖しい魅力にくらっときたりしました。
そういう楽しみも満載ですから、もうそれはそれで、ヨダレ、ヨダレ……ってのがヅカオタの幅広い楽しみ方というところでしょうか。

それに、このご時世。無事に幕が開いて、無観客じゃなくて劇場での拍手の音を聞きながら観る配信は、やはりいいなあと思うのです。

無観客は、本当に切なかったから……

だから、まあ、作品がねえ……とか、演出がねえ……とか、ぶつくさ書いてること自体が楽しいので、宝塚歌劇からは色んな意味で、色んな元気を頂いていて、それは感謝です。なので、一句。

配信を 買って後悔 それはない

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