ハワイ編 第7話 「午後の太陽ーハレクラニで再会した日」
Mrs.パーマーと再び会ったのは、ハレクラニの午後だった。
プールサイドには、午後の太陽がまっすぐ降り注いでいた。
空は高く、風は穏やかで、時間はゆっくりと流れていた。
Mrs.パーマーは白いデッキチェアに身体を預け、静かに太陽を見ていた。
泳ぐわけでもなく、本を読むわけでもない。
ただ太陽を浴びていた。
観光客のような慌ただしさは、そこにはなかった。
彼女は午後の太陽の中に独りいた。
僕は少し離れた場所から、その姿を見ていた。
すると彼女は、ふと僕の視線に気づいた。
サングラス越しに、こちらを見た。
僕たちの視線が重なった。
しばらくして、Mrs.パーマーはゆっくりとサングラスを外し、額にかけた。
そしてデッキチェアから身体を起こすと、長い脚を組んだ。
足元は裸足だった。
白いデッキチェアの上で、その足は太陽の光を静かに受けていた。
僕は一瞬、目を奪われていた。
それは若い女性の美しさとは少し違う
時間を知っている人間が持つ、落ち着いた魅力だった。
彼女は僕を見て、静かに言った。
「またこの場所で会えたわね」
So… we meet again in this place.
ウェイターがやって来た。
「何を飲む?」
彼女はそう言って、軽く手を挙げた。
「私はマイタイ。あなたは?」
僕も同じものを頼んだ。
やがてグラスが運ばれてきた。
氷が静かに音を立てた。
Mrs.パーマーはマイタイをゆっくり口にした。
それから再び太陽を見上げた。
午後の太陽は、まだ高く、まっすぐに輝いていた。
彼女はしばらく何も言わなかった。
ただ静かに、太陽を見ていた。
僕もまた、同じ太陽を見ていた。
不思議なことに、その時、
僕はMrs.パーマーではなく、太陽を見ていた。
「やあ、戻ってきたのかい」
それはどこかで聞いた言葉だった。
ハワイ編第8話へ続く

