AKB48 20周年 ―― 時間を積み重ねた先にある輝き|あのころを振り返る #17
12月8日、AKB48が劇場デビューから20年を迎えた。
「あの頃、青春でした。これから青春です」というサブタイトルの下、20周年を記念した武道館公演が4日間にわたり開催された。
このサブタイトルのとおり、青春時代、あの頃の僕はAKBに夢中だった。
冠番組「AKBINGO!」や「オールナイトニッポン」を楽しみに見ていたし、ガラケーでメンバーのブログを読むのが習慣だった。
大学生になってからは、念願の握手会にも足を運んだ。
たった10秒弱だが、初めてメンバーと握手した時のことは今も忘れられない。
ドラッグストアでは曲が流れ、テレビ、CM、雑誌では見ない日はなく、文化祭で踊り、カラオケで盛り上がる――AKBは街中に溢れていた。
ファンのみならず、当時を過ごした多くの人の”青春”にAKBが存在していたはずだ。
まさに平成後期を代表する国民的アイドルといえるだろう。
武道館公演には、前田敦子、大島優子、高橋みなみ、板野友美...とあの頃の僕らが夢中になったOGメンバーが数多く出演し、20周年の祝福するメモリアルな公演となった。
チケットは入手できず配信で見ていたが、あの頃も輝いていたメンバーが再集合し新たな輝きを放っていた。
そんな武道館公演を振り返っていきたいと思う。
*AKBと僕の青春についてはこちらの記事をご覧頂きたい。
歴代OGメンバーの登場
何といっても話題になったのは豪華歴代OGの集合だろう。
活動初期からグループを支えた前田敦子、大島優子、高橋みなみ、板野友美、篠田麻里子、小嶋陽菜。
長きにわたってグループを支えた柏木由紀、指原莉乃、北原里英、横山由依、島崎遥香。
支店グループの兼任メンバーで表題曲の選抜常連だった山本彩、渡辺美優紀、松井珠理奈。
現在のエースの小栗有以、総監督の倉野尾成美を輩出したチーム8のメンバー。
20年の歴史を彩る多くのメンバーが集結した。
AKBの歴史は長い。いわゆる”全盛期”のみならず、それぞれのタイミングでAKBに出会い、推していたタイミングがあるはずだ。
それぞれの”あのころ”に思いを馳せることができる、歴史を網羅するようなメンバーの集合だった。
現在はLE SSERAFIMとして活動する宮脇咲良、女優として今期も主演ドラマが放送中の川栄李奈はVTRメッセージでの出演となった。
それだけ活躍しているOGメンバーがいるのも、20年におよぶAKBの活動の誇りと言えるだろう。
20年の歴史を網羅するセットリスト
20年の歴史を網羅するように、シングル曲はもちろん、各チームの代表曲、ユニット曲、派生ユニットの楽曲、兼任メンバーのいた支店グループの楽曲まで幅広く選曲された。
セットリストはたかみな自身が選定したと話していた。
さすがは我らは初代総監督。AKBへの愛と歴史を存分に感じられる、ファンも大満足のセットリストだった。
各日のセットリストは以下を参照にして欲しい。
最終日の1曲目「桜の木になろう」は、原曲通りあっちゃんが歌い出しを務め、この曲の選抜メンバーだった1期生の6名が歌い継いでいった。
それぞれが映し出される度に悲鳴にも似た歓声が響き渡る。
エモい、エモすぎる…。
あっちゃんの歌声が印象的なこの曲を1曲目に選ぶだなんて…たかみなもさすがすぎる。
まさに「桜の木」のごとくデビュー時からグループを支えた1期生が歌い継ぐ姿を見て、あの頃のAKBを思い出し、この日のライブの成功を確信した。
最終日の終盤では、当時のシングル曲をオリジナルメンバーで披露。あのころの選抜メンバーがそろってのパフォーマンスは圧巻。
「ポニーテールとシュシュ」「Everyday,カチューシャ」「言い訳Maybe」「大声ダイヤモンド」「ヘビーローテーション」
ファンでなくとも知名度のある代表曲が続く。
多くのメンバーが10代だった頃の名曲を、30代になった彼女たちが披露する。
時間を巻き戻したのではなく、時間を積み重ねた先にある輝きだった。
AKBとしての輝きは変わらない。むしろ何倍にも増している。
どこかあのころと今がシンクロしているようで、僕の感情も、メンバーの姿も時空を超えたような気がした。
僕はOGメンバーと同世代だが、これだけの曲をアイドルを卒業し方々が披露するのは本当に凄いと思う。
アイドル経験者とはいえ、あっちゃんは卒業してから13年。
10代の時の楽曲を30代になり連続で歌い踊るのは並大抵のことではないだろう。
それでも、あのころと変わらず、いや、あのころ以上に輝く笑顔でのパフォーマンスに絶対センター前田敦子の凄みをみた。
何よりもあっちゃんが笑顔でセンターにいることが嬉しかった。
*5日間で630万回以上再生されていることからも、注目度の高さがうかがわれる(2025/12/13 現在)
根も葉もRumor――青春は終わらない
もっとも個人的に1番のハイライトは2日目の終盤。
現役メンバーと共にOGメンバーが披露した「根も葉もRumor」だ。
2021年、コロナ禍で握手会が出来ない状況からシングル発売が滞っていた中で久々にリリースされた勝負曲。
ロックダンスがふんだんに詰め込まれ、AKB最高難易度の振付と言われている。
まさかこの曲を披露するなんて。しかも多くのOGメンバーが参加する形で。
素人目に見ても高難度のダンス。
アイドル経験者とはいえブランクもある30代のOGが、新たに振付を覚え、現役メンバーと共に披露する…どれだけ過酷な挑戦なのかは想像に容易い。
以下のポストからも並々ならぬ思いで取り組んだことが垣間見える。
現役の曲をリスペクトを込めてやりませんか?という提案をさせていただいたんだけど、その瞬間にたかみなの目が「ギラッ」としたのがエモすぎて忘れられない…
— 指原 莉乃 (@345__chan) December 7, 2025
あの提案はまじ痺れた
— 高橋みなみ (@taka4848mina) December 7, 2025
絶対やった方がいいね、、、
やるなら根も葉も、、、で、、できるか、、?
まだ時間あるしーー(6月
(根も葉ものなぁちゃんの歌い出し大好きだからやりたいなー言っていいかなー、、、
「私センターやっていいですか?!」ww
さしP最高✌️ https://t.co/rttG2SJkGh
自らセンターを志願するたかみな。やっぱりさすがだ。
小嶋さんは「はける練習をしていた」と冗談交じりで話していたが、ばっちり仕上げてくいた。小嶋社長もさすがだ。
学芸大学のスタジオを借りて自主練をしたと話す、さっしー。
プレッシャーに負けそうで深夜に涙した、みぃちゃん。
「本番に踊れなくなるから」と前日はあえて練習をしなかった、大家さん。
この曲を披露し終えた後、息も絶え絶えのなかで「『根も葉もRumor』の呪縛から解き放たれる!」と、たかみなは話していた。
各メンバーの発言からも、それだけ大変で、重圧でもあったことが分かる。
社長の小嶋さんをはじめ、バラエティやアイドルプロデュース業のさっしー、プライベートでは結婚し子供のいるメンバーも多い。
それぞれが違うフィールドに立ちながらも、現役生とともにあの最高難易度の曲を披露する。平易な言葉だが感動した。
ちなみに今回OGとして出演しているゆきりん(柏木由紀)は、この曲でAKB史上初の30代選抜入りを果たしていた。ゆいはん(横山由依)も28歳で選抜入り。オリジナルメンバーとして参加していたことにまた驚く。
当時から「年齢を重ねた輝き」を証明していたメンバーが、今回もその証明を続けている。
この年齢や歴の違うメンバーが集まり、1曲を作り上げるのも”AKBらしさ”のひとつだと再認識させられた。
忙しいからこそ、全員が集まる機会は多くはなかったはずだ。
ひとりひとりの輝きは言うまでもない。
それ以上に彼女たちが「AKB」として集まった時に生まれる何か――それは足し算でも掛け算でもない。化学反応にも似たような輝きだった。
こうしたことすべてを見て、あのころのAKBが続いているように感じた。
そんな30代を迎えた同世代のメンバーの姿を見て、どこか励まされるような思いだった。
仕事にプライベートにそれぞれのフィールドで活躍しながら、AKB最高難易度の楽曲に挑んだ彼女たち。
30代を迎えた僕も「まだまだ頑張ろう、頑張れる」という気持ちが湧き上がってきた。
AKBを励みに自分が頑張ろうと思える。
それはあのころの”AKBを推していた時の僕”と同じだった。
当時の曲を歌い踊りパフォーマンスするだけではない。
それを見て、励まされること。
これがアイドルであり、AKBの”熱さ”そのものだ。
あのころ青春でした、これから青春です
最終日、冒頭のVTRで秋元康氏も話していたが、当時AKBとともに青春していた人が大人になり、今はお子さんがメンバーと同じような年齢になっている人もいるのかもしれない。
僕も大人になった一人だ。
「あのころ青春でした。これから青春です」
これは僕たちファンにとっても、OGを含むメンバーへのメッセージだと思った。
AKBの歴史は長い。
初期から応援している人、大声ダイヤモンドで出会った人、今のAKBを推している人。
時期もファンの性別も、老いも若きも問わず、推していたその時を”あのころの青春”とした上で、これからのそれぞれの人生、AKBにも”青春”が続く。
ただのノスタルジーで終わらず、明日への一歩をアシストする粋なサブタイトルだ。
10年後にまた会おう
僕がまだ10代だったころ「10年桜」を聴きながら、10年、20年先の未来、卒業した今のメンバーが一堂に会する未来を夢見ていた。
あっちゃん、優子は女優として活躍しているか。さっしーはバラエティで活躍し、たかみなは何かしらの形でAKBに関わっているかな。その時に自分は何をしているだろう。まだAKBを好きでいるだろうか――。
10年後に また会おう
この場所で待ってるよ
今よりももっと輝いて…
卒業はプロセスさ 再会の誓い
「10年桜」で歌われた「10年後」はとうにすぎ、16年の月日が経った。
当時は遥か先の未来だと思っていたが、過ぎてしまえば長いようで、あっという間だ。
そんな当時の夢が実現するような公演だった。
当時の想像以上のメンバーが集まり、あの頃とは違う輝きで披露してくれた。
10代の僕が夢見た未来は、ノスタルジーではなく、新しい今として実現した。
また、そんな未来が訪れるだろうか。
30周年、40周年と続く先にも、それぞれの「今」の輝きがあるはずだ。
そんな”いつかの未来”まで青春を続けていきたい。
*「恋するフォーチュンクッキー」をはじめ、あのころの名曲と青春の思い出を振り返っているので、よろしければこちらもどうぞ。
