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モノカキングダム答え合わせ|リクエスト編④【青空ちくわさん・最終回】


リクエストシリーズ第4弾です!いよいよ最終回です!!

「モノカキングダム」はもう昨年の12月の企画でしたが、未だに過剰考察やってます。何とか2月には終わりそうでしたが、3年n組という謎のクラスが立ち上がったため、3月になってしまいました(笑)

あまりにも物語の完成度が高すぎて、どうかしてると思いましたが、原因を作った一因は自分にもありました(笑)


お前が言うてるやん

ちなみにもっといえば、その前の原因はみくまゆたんさんです。


スピンオフも書いてみたので良かったら……




ということで、モノカキングダム過剰考察に戻ります。

総論は、こちら。
ここを見ると一連の考察の視点がわかるかも。


エントリー作品です。

たまってきたので、マガジンにしました!


先日、モノカキングダム2024の入選作品の8作品の考察が終わり、リクエストシリーズも第4弾です。
たぶん、全部で6万文字を優に超えてます(笑)。

本当に毎回好き勝手に書かせていただいております。ありがとうございます🙇‍♂️


今回の、リクエストシリーズ第4弾。

相互フォローをしていていつもお世話になっている青空ちくわさんです。

ちくわさんからはなんと過剰考察のファンですという嬉しいお言葉をいただきました!


ファンだと公言していただけるなんて!うれしい!


「無理なさらず出来ればで」を文字通り受け取ったことによって、3月になってしまいました(笑)


「ちょっと先」……??


ありがとうございます~!

結局、3月になってしまいました……ホント、すいません……

ということで、リクエストにお答えして、青空ちくわさんのこの記事を取り上げます!


最後の電話 青空ちくわさん


こちらの作品です。

青空ちくわさんの創作ですよ!
この考察のラストにふさわしいですね。

なんでふさわしいかと言いますと、ちくわさんの創作は結構読ませていただいていて、何度も「マジかよ……」と思わされたことがあるからです(笑)


思うに、ちくわさんの創作の一番の特徴は、「圧倒的な情景描写」にあるのではないかと思っています。

なんかですね、「となりにいる感覚」になるんですよね。これが一番。
マジでどうでもいいことをいうと、私が最も苦手としている叙述方法です(笑)お前が苦手としているものなんか知らんわという声が聞こえてきそうですが、私、基本、書きたがりなんですよね。書き出す前までは、「あ~なんかめんどくせ~な~」ってなって、平気で放置してしまうんですけど、書き出すとやたらにだらだらと書き出しちゃうんですよ。それによって、何が起こるかというと、もう余計なことやんなよの一言です。あちゃ~言わなければよかった、じゃなくて書かなければよかった、これを書かなければカッコよく決まったかもしれないのに、なんで余計な説明入れちゃうのかな。不安なんでしょ、不安。自分の伝える力に自信がないから、どうしても説明したくなっちゃう、この臆病者が。とにかく、読み手に良かれと思って、分かりやすくと思って説明の一文を入れたくなっちゃうんですよね。最近過剰考察だとかなんか言って調子のってますけどね、ほら、考察してると楽なんでしょ、書こうと思ったこと全部書いても違和感あんまりないと思ってるから、過剰考察って便利よね、文字数が多くなっても、いや~過剰でしたね~で、ごまかせるから、でも、創作って長く書きゃあいいわけじゃないですからね。モノカキングダムなんて2000文字ですよ。長い文章はみんな読んでくれないんです。余計な説明をされるとシラケちゃうんです。「圧倒的な情景描写」は書かない方が伝わるんですよ。書いてるより、書かない方が伝わるんですよ。え、そんな魔法みたいなことができるんですか?ほら、もう最終回なんだから、ちゃんと青空ちくわさんの文章を読んで、少しでもタメになることを、持ち帰っていきなさい、って言ってるそばから何だよこのクソ長文は。

はい、失礼しました……お詫びに、青空ちくわさんの他の作品を紹介します。

例えば、この作品の書き出し

予報外れの通り雨が、スーツに黒いシミを作った。さっきまで、週末の緩やかな空気だったのに、周りのサラリーマン達が慌てて地下鉄の階段口へ吸い込まれていく。僕はただ、その様子をぼんやり眺めた。日差しの名残が雨で冷やされ、アスファルトはモワっとした湿気と特有の匂いを放ち始める。

一目惚れと週末の通り雨【ショートショート】

 この冒頭、すごくないですか。

 もう週末の気持ち悪い大道路脇の地下鉄(日比谷駅とか有楽町駅あたりかなあ)の階段口の前にいるかのような、サラリーマンたちがいっぱいいて、暑苦しい感じがにじみ出ている。季節は、真夏じゃないけどなんでこんなクソ暑いのみたいな日。もう、最悪……いるだけでもう早く帰りたい。
 あたかも、もう最悪なスカイスクレイパーの中心にいるかのような世界の中に入り込んでしまう。
 隣にいるような錯覚を起こしてしまうんですよね。

 私は、ちくわさんの創作を読むときには、この「世界の隣にいる感覚に陥る」にハマっています。
 これって余計なことが書いていないんですよ。
 例えば、「サラリーマンがたくさんいる」って書いていないんです。「周りのサラリーマン達が慌てて」としか書いていない。でも、「たくさんいる」ってわかるんですよ。
 これは、いってしまえば(言わない方が良いかもしれないと思いつつ)「スーツの黒いシミ」「吸い込まれていく」「特有の匂いを放ち始める」で「サラリーマンがたくさんいる様子」を連想させているんじゃないかと思います。
 これが「圧倒的な情景描写」。

 書かない方が伝わるのがマジですごい。

 あ~こういうこと言っちゃうから、余計な説明って言われちゃうんですよね……


 ということで、本文に入る前に2000字を超えてしまいました……

 いい加減、この作品に入っていきましょう(笑)


 再掲


書き出し


『そろそろかかってくる頃だ』と予感のあった2日後にスマホは鳴った。心の準備は十分していたはずなのに「芽衣」の名前を確認してもすぐに通話ボタンを押すことができなかったのは、これが最後の電話だと分かっているからだ。

最後の電話 より

 おなじみ、冒頭の「3行で撃つ」

 来ました!
 これは、冒頭からクライマックス感満点です。

 スマホの電話にすぐ取れないときありますよね~。この瞬間を切り取っている。一発で状況把握です。
 そして、これは勝負してますよ。

 個人的に、この「冒頭からクライマックス」は、インパクト大の大勝負だと思います。
 モノカキングダム過剰考察でも書きましたが、意外とこの出だしの文章は少なかった。

 この作戦の弱点は、「出オチ」になってしまうおそれがあること。

 通常のnoteの記事に関して言えば、読み手が最後まで読んでくれる保証はないので、出オチでもいいから冒頭にクライマックス感満載のインパクトを持ってくるのは効果的ともいえます。
 一方で、モノカキングダムは審査員の人は、まあ間違いなく最後まで読む、この中で「冒頭からクライマックス」は、インパクト大の大勝負

 さらにいえば、タイトルです。

 タイトルは「最後の電話」

「冒頭からクライマックス」に拍車をかけています(笑)

 しかし、もし文章に盛り上がりメーターがあるとしたら、最初から100%みたいな感じのスタートです。

 そうすると、じゃあ「出オチにはなってないの?」。そんな感じで三文目を読んでみてください。


「もしもし。拓ちゃん?」鼻にかかった、のんびりした声。さっきまで泣いていたのだろう。気を張って、いつもより声色をワントーン明るくしているのが分かる。無理しなくていいのに。

最後の電話 より

 冒頭のシーンにもしBGMがかかっていたとしたら、この「もしもし。拓ちゃん?」の一言で曲が止まりますね(笑)

 これが超効果的。
 よくドラマのシーンでかかっていた曲が止まる瞬間があるじゃないですか。それに近い効果じゃないかと思うのです。

 ここで読み手の心理はどうなるか?

 「拓ちゃんはこのあと何を言うんだろう?

 です。

 見事の一言。「冒頭からクライマックス」→「次はどうなる?」の転換です。これで「出オチ」じゃなくて、読み手の心理を次への関心に繋げます。



そして、次

「どした?」肩と右耳にスマホを挟んで、荷作りを続ける。何かをしながらでなければ、うっかり感情が漏れ出してしまいそうだった。芽衣は車の中だろうか?背後に音の気配がない。狭い一人の空間で話しているのがなんとなく伝わってきた。

最後の電話 より

なんでだろう。自分ワンルームのマンションの部屋で拓ちゃんがいるのを想像しちゃったんですよね。

でも、ビックリしました。

「ワンルームの部屋」なんて一言も書いていないんですよ。

なのに、なぜかそんな絵が浮かんできません?マジで不思議です。

たぶん、「荷造り」とか「車の中」とかそういうところから連想される。「ひとり」のイメージ。

もう、電話をしている拓ちゃんの隣に自分も一緒にいるかのような錯覚を起こしそうです。彼の部屋の冷蔵庫から缶ビールを一本拝借して飲んじゃいそうなくらい情景が浮かんできて、隣にいるかのような錯覚に陥る。

これが、「圧倒的な情景描写」ではないかと思います。

ちくわ節炸裂です。

自分には絶対に書ける気がしない。

ということで、この作品の冒頭は、
「冒頭からクライマックス」→「次はどうなる?」→「圧倒的な情景描写」です。
完璧ですね……

本当にみなさん、書き出しがうますぎる……


中盤①

「緊張と不安が出てきちゃって」

明後日、芽衣は結婚する。相手は僕の同僚だ。アイツなら芽衣を必ず幸せにしてくれるだろう。そう思って紹介したのは僕自身だ。誰がどう見てもお似合いの二人。

最後の電話 より

ここで電話の理由が明らかになります。

ここの持っていき方も効果的だなって思いました。

よくドラマで冒頭で登場人物はいったい何者なのか何の説明もなくいきなりインパクトのあるシーンを出した後、オープニングテーマを挟んで、本編始まるみたいな手法があるじゃないですか。あれって、最初にインパクトを感じつつ、なんだろうという疑問を持たせることでそのあとの展開に引き付ける。出オチで終わらせない持っていき方なんじゃないかと思います。
あれに近いような気がしました。
最初に、拓ちゃんと芽衣の関係性は明らかにされない。でも、冒頭はクライマックスシーン満載のインパクト、情景から入ったうえで、いったいどうなるんだろうと次を気にならせて、ここで関係性開示。展開のさせ方が緻密です。
この順番の記述ってなかなかできないんじゃないだろうか。それを可能にしているのは、情景描写のところで「読ませる」ことができるから、ここができないと読む前に離脱しちゃう人も出てしまうのではないかと思う。いや~ハイレベルなもってきかたですわ~(笑)

会話が途切れて何を言えばいいのか分からなくなる。それでも無理に空白を埋める話題は出さない。僕たちは、そんな気を使い合う関係ではないから。

最後の電話 より

そう、会話は少なめなんですよね。一言しゃべって一言返すくらい。

でも、この後の展開に引き付けられるのは、会話にはない部分の心情描写のところが引き付けられるから。

ここです。

好きとか気になるとか、恋とか愛とか、散々周りに冷やかされてきたけど、二人の気持ちの矢印が向き合うことは決して無かった。というより、そうならないように最大限の注意を払っていた。始まれば、終わりが来てしまうし、彼女を一番幸せにできるのは自分ではないと思っていたから。自分より出来た奴は世の中にいっぱいいる。

芽衣が辛い時に話を聞きたかった。何かあれば駆け付けたかったし、支えたかった。しかし一度恋人になれば最後。関係が終わった時にそれはできなくなってしまうかもしれない。そのことが一番怖かった。だから慎重に、いつも距離を測りながら芽衣に接してきた。自分の気持ちが彼女に向きすぎないように、そして彼女の気持ちも自分に向かないように。

最後の電話 より

ここ。解像度が凄かったなぁ。

例えば、「好き」か「嫌い」かが解像度レベル1だとしたら。
「好きでもなければ嫌いでもない」とか「気になっている」とかが解像度レベル2でしょうか。

そんな感じでいうと、ここの文章の解像度レベルは10を超えているんじゃないかと思います(笑)ぜひ上記の引用、もう一回読んでみてください。
この文章が描いている二人の関係性は、もっと解像度が高い。

「二人の気持ちの矢印が向き合わないように最大限の注意を払っていた」「始まれば終わりが来てしまう」
「慎重に距離を測りながら接してきた」

気持ちの上に気持ちがミルフィーユのように重なっています。

「ことばではうまく表せない」と逃げてしまいそうなところをしっかりと言葉で表している。そんなふうに思いました。

そうして、「好き」と「嫌い」の間にある無限のグラデーションの中からある一点を選び出して言語化する感じ。うわーやられたって思うのは、こういう文章のときが多いんだろうなあと気がつきました。


中盤②

私が言うのも野暮中の野暮なんですけど、この作品の切なさって、「気持ちでは惹かれ合っているのに、恋人同士になれない切なさ」じゃないですか(あ~野暮野暮、これ入れるかめっちゃ迷った~もうでも、野暮なことは最初から野暮だと開き直って書いてしまいました)。

でも、そう書いてないんですよ。描写で描くんです。

それが、ここ

笑って話してみたけれど、僕の気持ちも芽衣には同じように伝わってしまっているのかもしれない

最後の電話 より

「僕の気持ちが伝わっているかもしれない」と予感している。
ここで、冒頭のこの部分をもう一度引用します。

心の準備は十分していたはずなのに「芽衣」の名前を確認してもすぐに通話ボタンを押すことができなかったのは、これが最後の電話だと分かっているからだ。

最後の電話 より

つまり、最後の電話だと拓ちゃんはわかっていた。
そして、「僕の気持ちが伝わっているかもしれない」

そして、その次。

もう今日で電話は最後にするね」今にも泣きだしそうな声に気付かないふりをして「これからは隆幸がいるから大丈夫だろ」と明るく言った。

最後の電話 より

二人とも最後の電話だとわかっていることを、この一言で、確信させるわけです。
ぎりっぎり、はっきり書いてないんですよ(笑)なのに、伝わる。

冒頭の情景描写で、拓ちゃんの隣で電話を聞いているかのような錯覚に陥るわけです。そして、心情描写で、というかほぼそれだけで、拓ちゃんの気持ちと芽衣の気持ちの交錯が伝わる。

流石でございます🙇‍♂️


終わらせ方

窓へ視線を移せば、厚い雲から細かい時雨が降りだしていた。風が落とした茶色が、アスファルトで重なっている。目の前の街路樹は裸になって寂しいけれど街へ行けば、木々は輝くイルミネーションで華やかなはずだ。

最後の電話 より

ここの描写もハイコンテクストよなあ(笑)

たぶん、「イルミネーションで華やかなはず」が結婚に向かう芽衣を想像する拓ちゃんを暗示している。
あとは、「風が落とした茶色が、アスファルトで重なっている。」こんな描写どうやって出てくるんだろう(笑)絶妙なんですよね。
重々しさ、鈍さみたいなのが印象としてはある中で、街の街路樹のイルミネーションは華やか、でもそれは実は拓ちゃんの想像でしかない。

こんな感じかなあ?あってる分からないけど誤読を恐れず突き進みます。


さて、いよいよこの描写からのクライマックスです。

「それじゃあね」
「じゃあな」

幼い頃から何百回と言い合った台詞。しかし「またね」と続く言葉はない。通話終了の赤いボタンを押した瞬間、僕は顔を枕に埋めた。強く強く。溢れ出した心の叫びが空気を揺らして、彼女の鼓膜に届いてしまわぬよう。少しの声も漏れないように。

最後の電話 より

これはやりおったー!!。゚(゚´Д`゚)゚。(笑)

クライマックス中のクライマックスです。

この話、冒頭からクライマックスだったと申し上げました。
この手法の場合、一番怖いのは出オチになって、後半しぼんでしまうことだと申し上げました。

さらにいうと、この話、ドラマだったらワンカットなわけです。
そのなかで、いかにして最後にクライマックス感を出すか?最初からクライマックスなわけですから、クライマックス中のクライマックスなわけです。これを文章で出すというのは相当な力量がないとできないと思います。

ラストのスイッチが、「赤いボタンを押した瞬間」です。そこから一気にあふれ出す。

つまり「冒頭からクライマックス」→「次はどうなる」→「圧倒的な情景描写」→「心情描写」→「情景描写(アスファルトとイルミネーション)」→からの「通話終了のボタン」です。

ここの特徴って、中盤の言葉数が少ないわりに、絶妙に複雑な心情描写を入れることでちょっとだけ感情を抑えるんですよね。これが効いていると思う。
だからこそ、ラストで一気に溢れる感じがクライマックス中のクライマックスを演出する。
これをやろうとするのは実は簡単じゃないと思います。なぜなら、中盤で読ませられないとここまで持っていけないからです。それを可能にしているのがちくわさんの「圧倒的な情景描写・心情描写」ではないかと思うのです。


いや~完全にもっていかれましたなぁ(笑)圧巻でした。


青空ちくわさん、だいぶお待たせしました。こんな考察を書いてしまって野暮になるかならないかで結構迷ってしまうくらい感動的な作品でした。
ありがとうございました✨




【御礼】モノカキングダム答え合わせが無事終わりました


12月からですと約2か月半かかってしまいましたが、無事モノカキングダム答え合わせがひととおり終わりました。

ホントは2月で終わらせたかったのですが、結局3月になってしまいました(笑)

まさかこんなにたくさんの作品を考察する形になるとは思いませんでした。
モノカキングダムの作品は、みなさん気合が入っているので、その仕掛けや持っていき方が学びになる点が本当に多かった。

一読して、すごくいい!という感想になりつつ、本当の学びに気づくのは、そのあと。審査するぞ!という観点で熟読玩味した第二段階、さらにいえば、考察して考察記事書くぞってなったうえで、さらに精査した第三段階でした。第三段階までやると今までの自分はなんて読めていなかったんだろう、この作品はこんなに凄かったのか!?と気がつくことが多かったです。

ここまでやると、自分の書く方のスキルにも確実に影響が出たと思います。自分の中での書き方、持っていき方の手数もだいぶ増えた気がします。そういうのは、文章術の本だけでは学べない部分だったりするので、お得な経験でした。

改めて、モノカキングダム参加者のみなさん、lionが好き放題書いているのに、温かく見守っていただきありがとうございます。そして、本企画を企画・運営されたことばと広告さんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。


ということで、過剰考察は、ここで一区切り。次はまた違う新しいことをやれたらなあと思いつつ「今日一日を最高の一日に


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