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赤いワンピースの少女〜アンナ #3

スーパーマーケット強盗

 一件のスーパーマーケットが見えた。数人の男性が店の中からものを運び出している。救援するために物資を移動しているのかと思っていたら、どうやらそうではないらしい。戦争に乗じて盗み出しているようだった。警察による統制は既に崩壊している。消防士はミサイルで火事になった場所を全員で対応している。しかも、いつミサイルが飛んでくるか予想もできないので、しばらく静かな時間が訪れた時に出て消火活動や救援活動をしている。小さな盗難などは戦争のもとでは放置されてしまうのだ。しかし、それでは人間として他者を想う気持ちを持って平和に生きるための心を持っているとは言えない。一時的な欲求を満たすために盗難をしているとしたら静止しなければならないし、心をいやさなければならない。少女は数人の男性に近づいていった。

「何をしているのですか」

「ん、お嬢さん、見てわかるだろ。食糧を調達しているんだよ。危ないからどこかビルの影にでも避難していなさい」

「調達って、勝手に盗んでいるだけではないのですか」

「そうだよ。我々には食糧を手に入れる手段がもうないんだよ。こんなことしたくはないが仕方ないんだ。我々はロシア人なんだよ。わかったかい」

「いいえ、わかりません。戦争を仕掛けている側の国の人間だから盗んでもいいということは理解できません。いままでは仲良く生活をしていたのでしょう。どうしてその関係を信じられないのですか」

「えっ、だって我々の国の軍隊がこんな酷いことをしているんだよ。同じ国の人間は憎まれるだろう。だから我々は離れてきたんだよ」

「いいえ、人は国を超えて信頼しあえるものです。どうかもう一度考え直してみてください」

「そんなこと言ってもね。我々の国が打ち込んでいるミサイルで同じロシア人も死んでいるんだよ、この国で。だから我々は自分の国にも戻ることができないんだよ。我々はこの国も祖国も好きだけど、我々を受け入れてくれるところはないんだよ」

「いいえ、人の心には優しさがあります。きっと受け入れてくれると思います。だってこれまで一緒に生活をしてきた仲間だったのですから」

 そう言ってアンナは、右手でそっと男性たちの手に触れてまわった。男性たちは手が見えないことに気づき、驚いた表情で固まっていたが、触れられた瞬間は温もりで心が落ち着いていくのを感じていた。時間が止まっているかのようでもあった。アンナが全員の手に触れて落ち着いた頃、男性が提案をした。

「みんな、この食糧を持ってこれまで住んでいたアパートの避難場所に行こう。そしてみんなで分け合って生き抜くことを考えよう。このままロシア兵に見つかってしまうと連行されるようだから、できるだけ西に逃げられるだけ逃げてみよう。スーパーの店主への弁償は落ち着いてからすることにしよう。その日が来ることを信じて」

「そうだな、これまでみんな一緒だったもんな。我々だけコソコソしてもいけないよな」

「ああ、そうだ、そうだ。忘れてしまうところだった」

「お嬢さんのおかげで大切なことを思い出したよ」

と男性が振り向いた時には、少女の姿は消えていた。男性たちは戦時下の不思議な体験として記憶に刻まれただろう。それから男性たちは、住んでいたアパートで指定されていた避難場所であるシェルターに向かった。みんなが迎えくれてるといいなと考えながら、ミサイルが飛んでいないことを確認しつつそして、ロシア兵の姿が見えないことを確認しながら食糧を持てるだけ持って進んでいった。


つづく



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