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【短編】心残り人の街 -1

 自分の死を受け入れる時間もなく亡くなった人たちと生きてる人の愛のつながりを描いてみました。お楽しみください。全部で6回の連続小説となります。
 

不思議な街の存在

 あなたは、死んだら蘇ることは無いと思っていますか?

 ところが、蘇った人たちだけの街がひっそりと存在しているのだ。全世界で行方不明になった人や誰にも知られることなく死んでしまった人が集まって不思議な生活を送っている街がある。しかも、全世界から集まっているにもかかわらず、全員言葉が通じているのである。この街には太陽の光が降り注ぐという日は無く、雨が降ることもないのだ。一年中、薄暗い曇りの日が連続しているだけだ。当然、生きている人は誰一人としていない。もちろん、この場所は人には知られていないので、自らやってくることはできない。ここで生活する人たちは、現実世界と完全に隔離され、不思議な力によって蘇った人たちが生活を営んでいるのだが、もし、生きた人間と出会って話をしてしまうと、話をしたこの街の住人は消えて無くなってしまう運命を背負っている。二百年ほど前に一度、迷子になった子供と話をした住民が一瞬で消えてしまったことがあったようだ。

 この街に一人でやってくることはできない。「案内役」と呼ばれる黒いスーツを纏った男が迎えに行って連れて来てくれるのだ。世界中を駆け巡って連れてくるので、移動手段も普通ではない。抵抗が少ない空気の密度がうすくなっている場所を縫って、夜中に迎えに行く。当然、「案内役」は人間ではない。表情ひとつ変えることなく世界中どこへでも飛んでいける。それに誰もがこの街にくることができるわけでもない。生きているうちに、いいことをたくさんしていたにも関わらず、予期せぬ事故で若いうちに死んでしまった人だけに、「案内役」が迎えに行く。本来ならもっと長く「生きている生活」を楽しめたはずの人たちだけが、この街に住めるのだ。そして、その人が事故にあわなかったとした時の寿命が尽きるまで生活することができる。寿命が来たら、天国からのお迎えがやって来て、この街からは姿を消してしまうことになる。唯一の例外は生きた人間と話をしてしまうということだった。生きた人間と話をしてしまうとその瞬間に寿命が尽きて、天国からのお迎えを待つことなく消えることになるようだ。

 そうやって、この街の人口も一定数が保たれ続けていたが、最近は少しずつ増加傾向になって来た。世界的に少子化になっているにも関わらず、若いうちに死んでしまうケースが増加しているのだ。虐待、交通事故、戦争、災害、無差別殺人などの犠牲者がどんどん増加しているので、この街の人口も増え続けている。もっと平和な世の中になれば、長生きできる人口も増えるのだが人間のエゴがそうならない世界を維持していることは悲しいことだった。


つづく

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#創作 #小説 #短編小説 #ファンタジー



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