「何それww」な企画を連発するばんじょーくんは、昔から無敵だったのか?
クリスマスイブに、クリぼっちに呼びかけ、ピンクのロングヘアーのコスプレをして、富山駅前でオープンマイクの路上ライブを開く。


今から3年前、そんなカオスな企画を実施した面白ベース会員のばんじょーこと渡辺万丈くんにインタビューしました。
彼はこの企画の後にも、10秒概要を聞くだけで「何それ(笑)」と、ついニヤついてしまうような企画をいくつも生み出しています。
そんな彼を見ていると、つい気になってきます。
一体、何を食って生きていたらそうなるの? と。
ずっと昔から、こういう変なことを考えるのが得意だったのか。もともと人前に出るのが平気で、ノリと勢いで突っ走れるタイプだったのか。
もしそうなら、「まあ、もともとそういう人なんだな」で終わります。自分とは違う世界の人、って感じですよね。
でも、詳しく聞いてみると、その裏にはちゃんと変化の物語がありました。
ばんじょーくんが、どうやって自分の中の歪な欲求を企画に変えられるようになっていったのか。
その流れを追っていくと、面白ベースという場が何を生んでいるのかも見えてきます。

【面白ベースとは】
富山大学正門から徒歩2分。若者向け・会員制の「やりたい」「好き」を新しい質感・規模感で形にしてみる実験コミュニティ。正解探しをやめて、自分だけの夢中を見つけ、育てられる場所です。
高校生〜社会人まで30人以上が所属し、スタッフの伴走を受けてチャレンジしています。
<何者かになりたかった。でも、ずっと空回りしていた>
ばんじょーくんは、小学校から高校にかけて、ずっと「何者かになりたい」と思っていたそうです。
アニメを見て憧れて、サッカーも卓球も頑張った。
ちゃんと努力もした。
でも、思うような成果は出なかった。
しかも、いじめも経験している。
何者かになりたい。でも、なれない。けっこう頑張ったのに、思うような手応えがない。むしろ、マイナス?
そんな経験が、彼に変わった欲求を抱かせるようになったのかもしれません。カオスな空間、非日常を作り出すことが、彼を隅に追いやった秩序への抵抗なのではないか。
そんな推測はさておき、彼も最初から自分の「歪な欲求(ばんじょーくん自身の表現)」を表に出せたわけではありません。
「こんなこと言ったら引かれるだろ」
「誰も乗っかってくれないだろ」
「もっとちゃんとした形になってから出そう」
と思って引っ込めていた時期があったのです。
<クリスマスイブの富山駅前ライブ>
転機となったのは、冒頭で紹介したクリぼっちライブ企画でした。
この企画が、ばんじょーくんの「歪な欲求」を最初にかなりわかりやすい形で出力したものです。
彼と企画会議をしていた時のことを、今もうっすら覚えています。
もともと彼が考えていたのは、富山の大きな公園で、雪の上にキャンドルを並べてキャンドルナイトをやろう、みたいな、言ってしまえば"良い子”な企画でした。
しかし、そのアイデアを話す彼の目を見て、筆者(面白ベーススタッフの久高)が「本当にそれがやりたい?実現するかはさておき、本当はもっと何か気持ち悪いこと考えてるんじゃない?」と問いかけて出たのが、クリぼっちライブ企画でした。
クリボッチが悪いことなのか?そもそも相手は必要か? 否!クリスマスの主役はボッチだ! クリボッチも楽しめる最高に面白いクリスマスライブを作りたい!!
たぶん、ばんじょーくんの中には、「クリスマスイブの駅前で、ぼっち達がカップルより盛り上がる、妙な安心感あるカオスの中で歌っている光景、絶対おもしろい」みたいな感覚があったんじゃないでしょうか。
<企画したものの、恐怖で爆散しそうだった>
もちろん、企画が固まったからといって、急に堂々とできるようになるわけではありません。
むしろ、ばんじょーくんはかなりビビっていました。
「こんな頭のおかしい企画、人が集まるとは思ってなかったですし、正直、恥ずかしいし怖いしで、1週間前から鬱でしたね」とのこと。
そりゃそうだと思います。
そんな、吐きそうなほどの恐怖で爆散しそうだった時、本番前日に雪がかなり降りました。正直、これで明日は中止だろうと胸を撫で下ろしたそうです。
しかし、当日は雪が降らず(曇りではあった)、予定通りやることに。鬱。
いざ。意を決して、家を出て、運営メンバーで(筆者も一緒に)富山駅へ。駅前には、まだかなり雪が積もっていました。
それを見て、「あぁ、さすがにこんな状態じゃできないよな」と心の中で天使か悪魔が囁いたそうです。
しかし、そんなこととはつゆ知らず、面白ベースの人が「雪をはらえばできるね」と言って、雪かきを求めて駅の中に吸い込まれていく。
どこかから見つけてきた雪かきで、せっせと雪をかく。
こいつ。マジか。それを見て、ばんじょーくんも腹を括ったのだそう。やるしかねぇ。
こうして、クリぼっちライブは無事幕を開けました。
自分より自分がうまくいくことを信じてくれる第三者が、本気で成功させるために動くのを見ると、そっちに引っ張られるものです。
面白ベースは、そういう姿勢で会員のチャレンジを後押しします。
<俺の見たい絵って、ウケるんだ>
実際、クリぼっちライブはどうなったのか。
冒頭に載せた写真の通り、たくさんの人が立ち止まってくれました。ばんじょーくんの思っていたより、遥かに多くの人が楽しんでくれた。
通りすがりの人が立ち止まってくれた。
ノリよく歌ってくれる人がいた。
場がちゃんと盛り上がった。
シャイだと言われる富山県民も、しっかり状況をお膳立てすれば前に出られるんですね。
これはかなり大きい出来事だったと思います。
なぜなら、ばんじょーくんがここで得たのは、単なる「イベント成功!」という達成感ではないからです(むしろ、もっとできたと悔しさもあったらしい)。
自分の中にあった、ちょっと晒していいか不安な欲望。説明しづらいけど、どうしても見たい景色。
それを思い切って外に出してみたら、意外と人が面白がってくれた。
しかも、数年経つ現在でも毎年、「あれ面白かったよね」と言われたり、「今年はやらないの?」と聞かれたりしています。伝説の企画と言って良いのではないでしょうか。
ここでばんじょーくんは、かなり重要な感覚をつかんだんじゃないかと思います。
自分の歪さって、隠すものじゃなくて、企画の種になるのかもしれない。そして、歪さを出して人の動きを見るって、超面白い。
<やれなそうでも、やる>
人はつい、準備万端に整えて、確信を持ってから自分を出そうとします。
でも、そんな日は、いつ来るのでしょう?
ばんじょーくんは、自信がついたから出せたわけじゃないし、堂々としていたからやれたわけでもありませんでした。
むしろ、恥ずかしいし、怖いし、普通にやめたかった。
でも、見たい景色のために、怖いけどジリジリと前進した。恥ずかしいままやった。その結果、自分のゆずれない軸が見えてきた。ちょっとやそっとのことでは折れない、強い欲求がはっきりと形を取ったのです。
これ、面白ベースでよく起きている変化のひとつだと思います。
「自分ってこういうのが好きなんだ」
「こういう絵面に妙に惹かれるんだ」
「こういうカオスを見るとテンションが上がるんだ」
そういうものは、頭の中で考えているだけだと、なかなか輪郭がはっきりしません。
でも、不安や恥ずかしさや怖さを抱えたまま、一歩動いてみるとくっきりと見えてきます。
ばんじょーくんにとって、クリぼっちライブはそういう意味でも大きな転機だったのだと思います。

<今は、汚職の快感を世に広げてます>
いったんこの感覚をつかんでからのばんじょーくんは強かった。
自分の中の「見たい景色」を、ただの妄想で終わらせず、企画として外に出せるようになっていったからです。その後も、次々と企画を作った。
そして、今では、彼が生み出すカオスな景色を見たい県外の経営者が、「なんでもいいから君がフルスイングするものにお金を積みたい」と出資の提案をするという事態も発生しています。
発想のユニークさ(気持ち悪さ)、人を巻き込む力、クイックに動き、こだわりを貫いて改善し、次の企画につなげていく地道さ。
このような、彼が企画の中で培った魅力が評価をウケ始めているのです。
では、そんな彼は今、何をしているのか?
『ぜいきんであそぼ』というボードゲームを制作・販売しています。もしかすると、クラファンを目にした方もいらっしゃるかもしれません。
素人集団が、ゼロから、汚職の快感を楽しめるボードゲームを作り、クラファンで制作費を集め、国内最大のボードゲームの即売会(ゲームマーケット)に出店してきました。

企画〜制作〜クラファン、出店まで、本当にドラマが多々あり、ここでは紹介しきれないので、ぜひ彼の執筆するnoteを読んでみてください。
彼自身が『ぜいきんであそぼ』制作の裏側を赤裸々に書いたnoteがこちらです👇
以上、面白がることをベースにチャレンジし続けてきたばんじょーくんのインタビューでした!
ばんじょーくんは褒められると蒸発するらしいので、読んだ感想をぜひ本人に送ってあげてくださいね。
というわけで、次回の会員インタビューもお楽しみに!
