【書写・習字・書道】どう違う?学校教育における書の扱い
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「書写の時間」「習字の授業」「書道を習う」
など、何が違うのかよく分からない・・
今回は、これらの言葉の定義、学校教育における書の扱いについて。
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書写/習字/書道
書写
小中学校の国語科の中で行われる授業科目(教科名)。硬筆は全学年(おもに小学1,2年生)、毛筆は小学3年以降。毛筆を特に「毛筆書写」と呼ぶこともある。
教育の中で実用的な「正しく整った文字を書く」ことを目的とする。
※平成前期頃までは、低学年の硬筆を「かきかた」と呼ぶ地域もあった。

習字
字を習うこと。特に毛筆でお手本を見ながら練習し、身につけること。明治時代~昭和33(1958)年頃までは「習字」という教科名が一般的だった。
書道
美術・芸術としての文字表現を目指す。古典の臨書のほか、独自の芸術性を持った創作を行う。「道」としての修練の意味も含む。
明治以降、学校教育における書道の立ち位置
◇1872(明治5)年
学制公布。それまで「手習」として行われていたが、楷書体を基本とする「書字教育」へ変化(江戸時代までは御家流の草書体がメインだった)。「習字」科目の独立。

▼学制
日本初の近代的学校教育制度に関する法令。国民皆学を目指した。
学校設立・維持費・授業料等は住民負担だったため、反発が起き、1879(明治12)年には廃止⇒教育令が公布された。頻繁に法律改正が行われた。
1872(明治5)年 学制
1879(明治12)年 教育令
1886(明治16)年 学校令
◇1900(明治33)年
独立した「習字」科目から国語科の中の「書キ方」へ。
※公文書、教科書等もまだ漢字カタカナ交じり文。
※この年の小学校令により、「ひらがなは一音一字」となった。

◇1941(昭和16)年
硬筆は国民科「国語」、毛筆は芸能科「習字」に分かれて独立。
◇1947(昭和22)年
GHQの指導により、毛筆は廃止。硬筆のみ、国語科の一部として「硬筆書き方」へ。
※戦後、公文書もすべて漢字ひらがな交じり文となった。
◇1951(昭和26)年
小学校4年生以上に国語科の一部として「毛筆習字」を取り入れることが、学校の判断で可能となった。
◇1958(昭和33)年
硬筆と毛筆を統合した科目名称として「書写」(国語科の一部)となった。
◇1968(昭和43)年
国語科の一部として、小学3年生以上は「毛筆書写」が必修。現在に続く。


▼現在の学校の毛筆書写(国語科の一部)の通常授業時間
小学3年~6年 年間30時間
中学1年2年 年間20時間
中学3年 年間10時間
※現代の小中学生に話を聞けば、書写の時間は、他の教科が不足している場合には潰されてしまうことも多いとか(筆者談)
GHQに廃止された学校教育の書道復活の道
戦後1947年「実用的でない」「日常的に使われていない毛筆を必修とするのは困難」とGHQより指摘を受け、書道は必須教科から漏れてしまいました。
※皮肉にも、美術の世界で長らく排除されてきた書道がようやくに日の目を見るのと同じころ。(1948年日展の書道部門設立、毎日書道展の開始)
その後書道界初の文化功労者・豊海春海らの熱心な働きかけや、筆の一大産地である熊野(広島県安芸郡熊野町)の政府への陳情により、学校教育における書道の復活の動きが高まった。
毛筆の請願書には、書道が必修から外されたことで「児童の書写能力は大いに減退し、文字は乱雑になった」と指摘。さらに「習字は思想の善導、人心の浄化に肝要」 と実用性以外の教育的な意義を主張。
1958年には任意で復活、1968年には現在と同じく小学3年生以上~中学3年まで毛筆が必修科目となった。
(参考:書道専門店 大阪教材社、占領期における書教育の存廃論議について)
小中学校の書写の目的
小中学校での「書写」は、
「整った正しい文字を書く」
「スピードを上げて速くきれいに書く」
そうすることで「他の学習や生活に役立てる」
ことを目的としています。
つまり、文字は美しいに越したことはないが、まずはインフラとしての技術をきっちり身につける方が優先されています。
さらに毛筆書写では、大きく書くことで文字の構成をより理解し、硬筆の助けとするほか、「用紙全体との関係」「目的に応じて使用する筆記具を選ぶ」「書く速さを意識する」ことで、様々なシチュエーションで適切な文字が書けるようになるねらいがあります。

文字は未来の他人(自分を含む)が見る大いなるコミュニケーションツール。
まずは文字を正しく覚え、実用的な使い方を身につけ、文字文化の豊かさまでを知ることができれば「書写」の理想と言えるでしょう。
筆者の教室の生徒さんで、「書道を学ぶうちに、パワーポイントなどの資料作りが上手くなった!」と言った方がいました。文字を美しく書くことだけに終始せず、紙と文字の全体に目を向けた結果と言えると思います。
高等学校の書道の目的
芸術科目となる「書道」。
現在の高等学校の普通科では、「音楽・美術・書道」の中から選択制になっているところが多いかと思います。
中学校までの書写の学びを基礎として、新たに書道の「表現」や「鑑賞」ができるようになることが目的となっています。
「生活の中の書」「芸術としての書」、二つの特性を理解し、幅広く書道を学習していきます。
芸術科目ではあるものの、書道は言語の伝達手段であり、日本で独自に発展した部分も多いので、自国文化の愛着形成や、書道文化の継承・発展にもつなげていくねらいがあります。
書道学科がある大学
高校卒業後、本格的に書道をやりたい場合には、大学や専門学校に進むことになります。
書道専門学科を持つ大学や専門学校では、知識面も創作面もより専門的に学ぶことになります。卒業後は、書道家・書道研究者、あるいは書道関連の教職員を目指す、大きく二つに分かれるようです。
ちなみに、高校から芸術科目となる「書道」ですが、所謂美術大学(東京芸大や多摩美術大学など)に書道学科がある大学がひとつもないのは、明治から美術の世界から排除されていた名残と言えるでしょう。
◎書道学科のある大学例
筑波大学
芸術専門学群 美術専攻 書コース
東京学芸大学
教育学部 学校教育系B類中等教育教員養成課程 書道専攻
奈良教育大学
教育学部 学校教育教員養成課程 伝統文化教育専攻 書道教育専修
愛知教育大学
教員養成課程 高等学校教育専攻 国語・書道専攻
大阪教育大学
教育学部 学校教育教員養成課程 美術・書道教育コース
福岡教育大学
教育学部 中等教育教員養成課程 書道専攻
北海道教育大学
芸術・スポーツ文化学科 美術文化専攻 書画・工芸コース
大東文化大学
文学部 書道学科
安田女子大学
文学部 書道学科
二松学舎大学
文学部 中国文学科 書道専攻
文教大学
文学部 日本語日本文学科 書道
和洋女子大学
人文学群 日本文学文化学科 書道専攻
四国大学
文学部 書道文化学科
など
大学の書道学科卒でなくても書道家になれる
大学の書道学科卒でご活躍の書道家の方たちが数多くいらっしゃるのも事実ですが、数で言えば、そうでない書道家の方が多いと思います。
書道家は何か特別な国家資格が必要なわけではありませんので、言うなれば「書道家です!キリッ」と名乗ればOK. 実際に仕事をする場合には、書道の実績を積んでいくことになります。
多くの場合は、書道団体に所属し、古典や創作表現等を学び、書道家となります。仕事としては、自分の書道教室を開く、作品を売るなどで生計を立てている人が多いでしょう。
学校教育での書写はつまらない!めんどくさい!きらい!なんて声がたくさん聞こえてきそうですが、もっと書道の面白さ、文字文化の豊かさまで学校教育で気づかせられるような仕組みになっていると良いのになあと思ったりします。
令和の現代、書写の授業がなくなるかも!?なんて実しやかに囁かれていますが・・・実直に頑張りたいと思います、ハイ。
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