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私の死後、iPhoneはどうなる?

がんの告知を受けたあと、「私がいなくなったら」を考えました。

銀行口座、契約、サブスク、そしてスマホの中身。
そのときの整理の話は、前の記事に書きました。

そこで「中身の詳細は、いずれ別の記事で」と書いたもののうち、iPhoneの話をひとつ。
公式の仕組みを設定して安心していたら、あとから穴が見つかった話です。


公式の仕組みは、4タップでたどり着ける

iPhoneには、自分の死後に備える公式の仕組みがあります(「故人アカウント管理連絡先」といいます)。
事前に指定した人が、死後にApple Account(旧Apple ID)のデータへアクセスできるようになる仕組みです。
写真、メッセージ、メモ、ファイルなどが対象です。
ちなみに、ここでの「メッセージ」はiPhone標準のメッセージアプリのことです。

場所は、iPhoneの「設定 → 自分の名前 → サインインとセキュリティ → 故人アカウント管理連絡先」にあります。
指定した相手に渡す「アクセスキー」も、この流れの中で作られます。
この機能は無料で、iOS 15.2以降で使えます。

ちなみに、設定していなかった場合でも、家族がアクセスを申請する道はあります。
ただしその場合は、裁判所命令などの法的な書類が要る、重い手続きになります。
Apple自身も、この連絡先を設定しておくことを勧めています。

細かい手順は、Appleの公式ページを見るのが確実です。

私はこれを設定して、妻を管理連絡先に指定しました。
アクセスキーは印刷して、保険証書の入れ物にしまっています。
妻には「もしものときは、これを使ったら私のiPhoneを引き継げるから」と伝えました。

ここまでやって、安心していました。
でも、あとから調べて分かったことが3つあります。

穴①:パスワードの類は、引き継がれない

いちばん大きいのがこれです。
この仕組みでは、iCloudキーチェーンの中身は引き継がれません。
Safariに保存したユーザー名とパスワード、パスキー、自動入力されるクレジットカード情報、Wi-Fiのパスワード……このあたりは対象外です。
引き継がれないのは、パスワードだけではありません。
購入済みの映画や音楽、サブスクリプション、支払い情報も渡りません。

妻に伝えた「これで引き継げるから」は、正確ではなかったわけです。
データは渡せても、パスワードは渡せない。
残された家族がいちばん困るのは、たぶんそこなのに。

穴②:アクセスキーを渡していないと、始まらない

家族がアクセスを申請するには、アクセスキーと、死亡を証明する書類が必要です。
申請の窓口は、Appleの「デジタル遺産」というサイトです。
そしてこのキー、なくしてもAppleは再発行してくれません。
持ち主のプライバシーを守るための設計なので、これ自体は正しいと思います。

つまり、設定画面で「完了」しただけでは、まだ半分です。
キーを渡して、ありかを共有して、初めてこの仕組みは機能します。
私の場合は、印刷した紙のありかと使いみちを、妻に伝えてありました。

穴③:死後のアクセスは、3年間だけ

これは、この記事を書くために調べ直していて、初めて知りました。

家族の申請が承認されると、そこから3年間だけ、故人のアカウントにアクセスできます。
3年が過ぎると、アカウントは完全に削除されます。
残したいものは、その間にダウンロードしておく必要があるわけです。

誤解のないように書いておくと、生前の有効期限ではありません。
3年ごとに設定し直す、という話ではないです。
(私も一瞬そう読み違えて、焦りました(^^;)

ちなみに、印刷したアクセスキーの紙も確認してみましたが、この期限のことは書かれていませんでした。
申請が承認されたときに、家族へメールなどで知らされることになっています。
でも、渡す側が生前に知っておけば、家族への伝え方も変わりますよね。

穴を埋めていたのは、手で書き出したものだった

告知のあとの「もしもの整理」で、私は必要なことを手で書き出していました。
これが、ふたつに分かれています。
電気などのインフラの契約先や、よく使うサイトのことは、紙に。
それ以外の細かい情報は、iPhoneの中のメモに。
すぐに対応しないと家族が困るものほど、紙に寄せてあります。
紙のほうは、妻に渡してあります。

では、メモのほうはどうか。
そこへたどり着くのに、まさに今回の仕組みが要ります。
メモは、この仕組みで引き継がれるデータに入っています。
キーチェーンのパスワードは渡らなくても、メモに書いたものは渡る。

公式の仕組みがカバーしない部分を、紙とメモが結果的に埋めていました。
狙ってやったわけではありません。
「妻がすぐ分かるように」と書き出したら、そうなっていた。

公式を設定して、手で書き出して補う。
いまのところ、これが私の答えです。

「公式だから大丈夫」で、止まらない

この一件から持ち帰った教訓は、ひとつです。
公式の仕組みを設定したことと、備えが済んだことは、別だということ。

何が引き継がれて、何が引き継がれないか。
そこまで確かめて、初めて備えになります。

なお、Androidにも同じような仕組みがあるようです(Googleの「アカウント無効化管理ツール」)。
私は試していないので、名前のご紹介までにしておきます。

最後にひとつ。
仕組みの細部は、変わっていくものです。
日本では申請に死亡証明書ではなく戸籍謄本が求められるなど、国ごとの違いもあります。
実際に設定するときは、Apple公式の最新情報を確かめてみるのが良いと思います。
私は法律や相続の専門家ではないので、この記事は「一人のユーザーが調べて、やってみた記録」です。

「もしも」のことは、考えたくないものです。
でも、これは元気なうちにしかできない設定でもあります。
まずは、設定画面にこの項目があることを確かめてみるところからでも良いと思います。

※コメント欄を開けています。
みなさんの「もしもの備え」の話も聞けたらうれしいです。
返信は遅くなることがありますし、できないこともあります。それでも、ちゃんと読んでいます。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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Oilano|がんとAIと個人開発 ここまで読んでいただけただけで、十分うれしいです。 もしお役に立てたなら、あなたが感じた分だけで構いません。 がんと闘いながら次を書くための、元気のもとになります(^-^)