「転移していました」と言われた日
前回の記事は、退院の日の話で終わっていました。
もしリンパ節に転移すれば、その時点でステージ4。
退院できると喜んでいたのに、急に不安になりました——と。
今日はその続きです。
あのとき「また別の記事で書きます」と締めくくった、その話になります。
順調のつもりでした
退院して1週間で仕事に復帰しました。最初の1週間は完全在宅、次の週から週2日だけ出社と、段階的に戻していきました。
ずっとベッドの上だった反動もあり、体力は明らかに落ちていました。それでも1ヶ月も経つと、長距離の出張に行けるくらいには戻っていました。
リンパの件は気にはなっていました。ただ、もともと仕事は好きな質なので、気が付くと普通に働くようになっていました。順調順調と思っていたのですが、今思うとそれが良くなかったのかもしれません。
兆候
最初に気づいたのは、疲れるとリンパが痛むことでした。定期検診で伝えると触診で腫れが確認され、それが検診のたびに少しずつ大きくなっていきました。
エコーやCTでは所見が無かったのですが、それでも先生は「私の経験上、かなりの確率で転移している可能性がある」と。
そして、こう言われました。
「確かに、まだ完全にがん化していない可能性もあります。ただ、いずれそうなる可能性が高いのであれば、切っておいて後悔することは無いと思います」
押しつけない言い方でした。
私は先生のことを信頼していましたので、断る理由はありませんでした。何より、断って平常心で生活する自信もありませんでしたし。
リンパを取ること自体は少し気になりました。リンパの役割は知っていましたが、無くなるとどういう影響が出るのかはあまり知らなかったので。正直にそう伝えると、先生は丁寧に説明してくれました。聞き終えて、切らないリスクの方が高いと私も思いましたので、その場で「よろしくお願いします」と伝えました。
上司にもすぐに報告しました。返ってきたのは「仕事のことは一旦全部忘れて、治療に専念するように」という言葉でした。今思うと、上司にも恵まれていました。
二度目の手術
流れは1回目とほぼ同じでした。ただ、切除する範囲が大きかったので今回はリハビリも含めて入院1ヶ月。事前にそう説明されていて、実際にちょうど1ヶ月かかりました。
体の戻りも、1回目より時間がかかりました。
「転移していました」
術後2週間ほど経ったころ、検査の結果を告げられました。
リンパ節への転移。その時点で、私はステージ4になりました。
正直なところ、「転移は無かったですよ。良かったですね」を期待していたのですが、そうではなかったのは多少なりともショックでした。
ただ、救いもありました。がん細胞はリンパ節の内部にとどまっていて、その外へ広がる浸潤は見られなかったことです。
何より、先生の見立ては間違ってなかった。もし切除せずそのままにしていたら、浸潤してさらに広がっていた可能性が高いです。そう思うと、先生には本当に感謝しています。
堪えたのは、数字ではありませんでした
ステージ4。数字だけ見れば、それが一番の衝撃のはずでした。
でも実際に堪えたのはそのあとの告知の方でした。組織検査の結果、私のがん細胞は医療的な区分で最も質の悪いレベルだったそうです。先生の言葉を借りると、悪性度が非常に高く、再発転移のリスクはそれなりに高いと。
転移のリスクは今後も残る。それは、当面不安を抱えながら過ごさなければならない、ということです。
ステージという数字は、あの日までにがんがどこまで広がっていたかという事実であり、結果でした。でも悪性度の話は、これから先の話です。重かったのは、終わりが見えないそちらの方でした。
それから1年
あの日から1年あまりが経ちました。
いまも2週間に1度、病院に通っています。エコー、MRI、CT、PET。検査を定期的にぐるぐる回している感じです。1年経ってもその頻度ということは、そのくらいリスクが高いということだと思っておいてください、と先生には言われています。ただ逆の言い方をすると、何かあればすぐに見つけてもらえて、進行度が低いうちに手を打てるということでもあります。
不安と安心が入り混じった感覚ですが、今はその通院自体が精神安定剤のようなものです。
話は少し変わりますが、実はつい最近まで自分のことを「いまもステージ4のがん患者」だと思っていました。ただいろんな方の記事を読むうちに、今の私は本当はどういう状態なのだろうと気になり、改めて調べてみました。結果としては「ステージ4のがん治療後、再発転移の可能性が高いため慎重に経過観察しているがんサバイバー」——これが最も事実に近いようです。
私自身はもっともっといろんなことをやりたいと思っていますし、やれると信じています。悩んでいても病気が治るわけではありませんので、何かあったときにできるだけ後悔の無いよう、今の自分にできることを一生懸命にやりたいと思っています。このnoteを始めたのも、その気持ちがきっかけでした。
幸い、いまは生成AIが世に出てきてまだ間もない時期です。学生のころにインターネットが世の中に出てきたときのような興奮があります。根っからの技術屋だなぁと自分でも思いますが、そういうのが今は楽しいのです。
不安はあります。でも希望は持ちたい。
相反する2つの思いを抱えながら、これからも精一杯進んでいきます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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