見出し画像

エッセイ│母のモチベーション

夏になると、子どもに甚平を縫っている。

通園先や家の近くでお祭りがあるのに合わせ、
毎回布を選びに行くところから作業が始まる。
大谷家・夏の風物詩だ。

最初の年はふたり揃って「ポケモン!!」と言い、
1mで1750円もするオックス生地を、4mも買う羽目になった。

子どもの甚平2着に7000円…!!


どんな高級甚平だろうか。

オックス生地は甚平にするにはやや厚手だし、
気温が35度を超える昨今の夏には向かないよと伝えたが、子は譲らない。

どう考えても西松屋で買ったほうが安いだろうと思う金額を叩いて
作ったポケモン甚平。
幸いなことに子どもは大喜びで着て登園していった。

1着3500円の高級甚平(手作り)なり。

そこから年を重ねて、今年は方針を転換した。
先に夏用の生地でパンツを縫い、
その後に同じ生地で甚平を縫ったのだ。

そうすれば、普段はパンツをそうとは気付かずに着てくれるし、
後から「同じ生地で甚平作ったよ」と言えば
子どもが食いついてくれる可能性も高い。

もうポケモン生地は買いません。
だってね、すんごく高いんだもの。

と言いつつ、
今年の甚平に使ったサッカー生地は、それも4mで5000円。

良い生地はなんでも高いのが洋裁の世界である(しろめ)


子ども服を縫う時は、必ず2組分を同時に作る。
どちらかの子どもの分を先に作ると、必ず喧嘩が起こるからだ。

「え〜〜!ずるい!!」
「なんで1個しかないの?!」

甚平に限らず、子どもはどちらがより先に作って貰えるかを
家庭内ステータスのように争っているので、
無駄な争いを生まないためにも、型紙のトレースから裁断まで
最初の段階は一気に2組分やってしまう。

そんなこんなを繰り返しているうちに、
切った布を一時置きするカゴが2個並ぶようになった。
裁縫をやらない方には意外に感じられるかもしれないが、
服のサイズが2段階違ったって、
布にして並べると違いがほとんど解らないのだ。

子どもそれぞれの色を決めたクリップで挟んでカゴに入れることで、
「この身頃は上の子」と分かるようになる。
右を縫って、左を縫って、右を縫って、・・・
深夜のリビングに母のミシンが鳴り響く。

どんなに睡眠不足でも、
気づけば深夜になっていても、
作り始めたら作り終えるまで止まりたくない気持ちになる。

朝起きたとき、
子どもたちが言う「できた?!」が聴きたいからだ。

我先にと飛びついて、満面の笑みで試着してくれる。
こんな景色があと何回拝めるだろう。
そう思うと、今夜もミシンを踏みたくなる。

母のモチベーションはそこにある。
すやすやと寝ているであろう我が子たちよ。
もうすぐできるよ、待っててね。


fin.


我が家の元気いっぱいな子どもたちのエッセイはこちらにも▶

大谷(おおたに)
2児の母|整理収納アドバイザー
片付け/捨て活/防災など、暮らしに繋がるnoteを書いています。