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エッセイ│愛は枯れない

母の日に夫がくれたカーネーションが、まだ枯れていない。

今年の母の日は5月10日だったから、
かれこれ3週間以上も咲き続けていることになる。

花を生ける習慣のない我が家に花瓶はなく、
その辺にあったペットボトルが即席の花瓶となって、もう3週間だ。

さすがに花の根元に近い方は薄らと色が変わってきたが、
今のところ、花弁はみずみずしく、今日も静かに咲いている。


夫から花を貰うようになったのは、私が母になってからのことだ。

上の子が生まれ、最初の5月。
薄いピンクのカーネーションを贈ってくれた。

ベビーカーを押して散歩にでかけた、と思っていたら、
実はこっそりと近所の花屋へ行っていたらしい。

2年目からは、上の子と手を繋いで散歩に出掛けるようになった。

ふたりで選んだという桃色のカーネーションは、
花を包む外側のビニールに心奪われた子どもが奪い取ってしまい、
贈呈式は実現しなかった。

3年目は、上の子と車で出掛けていった。

赤、桃色、薄紫色。
3つのキレイなカーネーションが家に帰ってきて、
「これは、かっかの」と薄紫色が子どもから贈呈された。
残りの2つは、義母と義祖母の分だ。

以降、子どもが増えても変わらず、
母の日には夫と子ども達が散歩に行く。

「散歩に行くから!」
「お母さんは着いてこないよ!」

と、企み顔の3人を見送る瞬間も、なんだか楽しい。


しかし今年は、家族全員が母の日を忘れていた。

夜に気付いて、
そういえば母の日だったと夫に告げると、
「あ!そうだった!」
と慌てたように時計を見たも。

残念ながら花屋の開いている時間ではなかった。

そんなわけで、
我が家に咲いているこのカーネーションは、
母の日の翌日に夫が渡してくれたものだ。

水につける日と水を切る日を、分けたのが良かったのだろうか。
今年は一向に枯れる気配がない。


夫はロマンチストでは無いので、
普段は花なんて買ってくるひとではない。

多分この先、何年一緒にいたとしても、
彼が誕生日や結婚記念日に花束抱えて帰って来ることは無いだろう。

だから私は、年に一度の花を貰える日を、
密かに楽しみにしている。


貰った花が枯れないんだよね、と話すと彼はこう言った。

「そりゃあ、僕の愛だから」



fin.


毎年母の日に花をくれる夫と子どもたち。
こちらのエッセイにも登場しています▶

そんな私が、夏服を6枚で回している理由も書いています▶

大谷(おおたに)
2児の母|整理収納アドバイザー
普段は片付け/捨て活/防災などについてもnoteを書いています。