小学生が旅を計画したら、目的地はマサイ族の村だった(その5)
巨大すぎる上海浦東空港で親子そろって撃沈した話
以前の話は、↑こちらてす。
機内で次女の意外な才能が開花しています。
静岡空港を出発して3時間。
私たちを乗せた機体は、無事に上海浦東空港へ着陸しました。
そう思ったのも束の間。
飛行機は滑走路横の誘導路に、しばらく停止したまま。
「降りる空港間違えちゃった?」
真顔でいう次女に
「そんなわけないじゃん」
と冷静にツッコむ長女。
同じ兄弟でも、こうも性格が正反対になるのも、おもしろい。
5分くらい経って、飛行機が動き出しました。
ターミナルと反対の方向に向かっています。
「やっぱり行き先間違えたんだよ」
それにしても、確かに違う滑走路の方に向かっています。長男は、着陸前の飛行機の揺れに
恐怖を感じたようで、小型機にはもう乗らないと叫んでいます。
一体私たちの飛行機は、どこに行くの?
辺りには、何もない場所。やがて飛行機は停止しました。
「沖止めだよ」と夫。
「沖止めってなに?」ビビリの長男が
聞きます。
「空港の建物から離れた場所に飛行機が停まることだよ。あぁ、これで降りられる」
10分くらい待ったでしょうか?
バス2台とタラップが飛行機に横付けされ、
上海に降り立つことができました。
こんなに間近で飛行機を見た経験などない子どもたちは、
「エンジン大きい!」
普段は見られない景色に興奮しています。
ところが、その後が長かった。
バスに乗っても乗っても、なかなかターミナルに着きません。窓の外には延々と続く駐機場と、次から次へと現れる巨大な機体。
「まだ着かないの?」
思わず私もつぶやいてしまいました。 その時、ようやく絶望感とともに実感したのです。 上海浦東空港は、とてつもなく、広すぎる。
日本国内の空港しか利用したことがない子どもたちにとっては、まさに別世界でした。
今回の旅は、長女(中学1年)、長男(小学5年)、次女(小学3年)が自分たちで計画した旅です。
行き先は、なんとケニア。
マサイ族の村を訪ねるという、小学生と中学生が立てたとは思えない壮大な計画です。
親としては、
「本当にそこへ行くの?」
という気持ちもありましたが、自分たちで調べ、自分たちで決めた旅だからこそ応援したい。
そんな思いでここまで来ました。
しかし、上海で早くも現実の洗礼を受けます。
乗り換えには一度入国審査が必要でした。
案内表示に従って進んでいくと、目の前に広がるのは人、人、人。
どこまでも続く長蛇の列。
「これ最後尾どこ……?」と声が漏れるほどの混雑です。
長女は言いました。
「中国って本当に人が多いんだね……」
受験勉強で、中国が(旅行当時は)世界1位の人口だということは知っていても、実際に自分の目で見る人の多さは全く別物です。
まさに体験して初めてわかる学び。
これも旅の価値なのだと思いました。
ようやく入国審査を終えた頃には飛行機が滑走路に着陸してもう、2時間30分が過ぎています。
足取りは重く、すでにかなりの疲労感。
乗り換え時間は6時間もあるので、
「空港でゆっくりご飯でも食べようか」
と考えていました。
ところが現実はそんなに甘くありません。
巨大な空港内を移動するだけで、体力が削られていきます。

ターミナルを移動し、チェックインカウンターを探す。
さらに次のドーハ行きに乗るためのセキュリティチェックへ向かうと、そこにも長蛇の列。
既に搭乗開始時刻まで1時間を切っています。
日本の空港の感覚でいると完全に予想外です。
並んで、歩いて、また並ぶ。
気が付けば乗り換え時間は、6時間あったにもかかわらず、余裕など全くありません。
日本時間では、もう、子どもたちは寝る時間です。
親としては、
「もっと近い国でも良かったんじゃない?」
と思わなくもありませんが、自分たちで決めた目標だからこそ頑張れるのでしょう。
巨大空港での乗り換え。
終わらない行列。
想像以上の移動距離。
正直、親の私もかなり疲れました。
でも、教科書で読むだけでは分からない世界の大きさを、子どもたちは確実に感じていました。
そして私たち家族は、搭乗ゲート前の椅子に、もう一歩も動けないほど力尽きて倒れ込むのでした。
ケニアへの道は、まだ始まったばかりだというのに。
↑長女の勇気ある行動の物語
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