見出し画像

シャドウが難敵にKO勝ち、20日後の試合も決定~ONE Fight Night 35 (2025年9月6日)

ONEチャンピオンシップは9月6日、ルンピニースタジアムで格闘技のイベント、ONE Fight Night 35を開催した。セミファイナルのONEフェザー級(70.3キロ)ムエタイ3回戦ではランキング3位のシャドウ・シンハー・マウィンが、2位のバンバラ・クヤテ(フランス/マリ)を2回KOに下した。

メインイベントではONE女子ストロー級(56.7キロ)ムエタイ世界タイトルマッチが組まれ、挑戦者のステラ・ハメットバーガー(オーストリア)が王者ジャッキー・ブンタン(アメリカ)を判定で下し、新王者となった。

9月11日に東京で今年二度目となる日本大会、ONE173の追加カード発表がなされ、11月16日に有明アリーナで豪華6大タイトルマッチを行うONEチャンピオンシップは、日本市場へも注力しているが、月に1回のFight Nightシリーズもアメリカを始めとする世界への市場展開を狙った大会である。国際色豊かな選手を集め、アメリカのゴールデンタイムに合わせた開催時間とし、タイ時間午前8時に第1試合が開始される。

現地ルンピニースタジアムでONE Fight Night 35を全試合観戦したが、ここ最近では一番と言えるほど、各試合共に内容が充実しており、メインイベント以外はKOや、フィニシュによる決着となった。今回はセミとメイン、そして次の機会に、ONEの超新星と言うべきヨハン・ガザリ(マレーシア/アメリカ)や陽勇の試合など、2回に渡ってこの大会の内容を紹介していきたい。※結局、大会の紹介はこの1回になってしまいました。ヨハン・ガザリと陽勇については、またの機会に(2025年10月4日加筆)

ONE Fight Night 35の全カード

シャドウ対コウヤテ

元RWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)ウェルター級トーナメント覇者のシャドウは、昨年2月より、ONEに参戦し、通算戦績は80勝13敗。ONE初戦は判定負けだったが、以後は5連勝、7月の前戦はダウンを奪いながら、対戦相手がサミングで続行不可能となり、無効試合となっていた。

クヤテは通算36勝2敗、ONEでは2勝1敗だが、前戦ではタイで人気のファイターで、タワンチャイやスーパーボンと激闘を繰り広げたジョー・ナタウットを初回KOで下して急浮上、ムエタイフェザー級ランキングで2位に躍り出た。187センチと長身で、179センチのシャドウを上回る。

試合は開始直後はローキックの交換が続く静かな立ち上がり、長身の上、脚が長いクヤテのキックは、シャドウの脇腹など高い位置を襲う。長い距離のジャブを放つが、時折サウスポーになったりと、シャドウはよりやり難そうだ。シャドウは攻めあぐねるものの、常に前に出てクヤテにプレッシャーをかけていく。

2回、クヤテの攻撃を見切ったのかやや強引にパンチ、ミドルキックを放っていくシャドウ、ちょうど1分、コーナー部にクヤテを詰めて、右ミドルに続いて出したフォローのバックハンドブローがクヤテの顔面に命中し、そのまま長身のクヤテが崩れ落ちるダウン。ふらつきながら立ち上がったクヤテに、一旦は続行を命じるレフェリーだが、目がまだ泳いでいるのか、すぐにストップ。シャドウの1分20秒TKO勝ちとなった。

シャドウは、この勝利によって5万ドル(750万円)のボーナスを獲得した。 試合後「お母さんにこのボーナスで楽な暮らしをさせてあげたい」とタイメディアのインタビューで述べていた。シャドウは物心ついた頃から、母親が仕事を休む姿を見たことがなかったという。子供の頃、彼は母親と一緒にジャガイモ掘りをして、日当250バーツ(当時のレートで800円程度か)を稼いだ。「私は熱が出ても休むことができたが、母親は食べるお金がなくて休むことができなかった」とシャドウは語った。

シャドウの入場時、チーム ”シンハーマウィン”にはボクシング元世界王者のデンカオセーンの姿もある。
リング上で対峙する両者、クヤテは大きく、迫力がある
バックハンドブロー一発で試合を決めたシャドウ
勝ったシャドウは雄たけびをあげる

※試合映像(タイ以外の国で視聴できない可能性あり)

シャドウ、タワンチャイの代役で9月26日のONE Friday Fights 126に出撃

9月26日に開催されるONE Friday Fights126では、ONEフェザー級ムエタイ王者のタワンチャイ・PK・センチャイがメインで出場予定だったが、トレーニング中の怪我で欠場を表明した。シャドウはタワンチャイの代役として名乗りを挙げて、中国のリュウ・メンヤンとキックボクシングマッチを行うこととなった。

急遽決まったシャドウのキックボクシングマッチ

通常のフライデーファイトでは、メインイベンターを努める選手たちが集結するビッグイベントが3か月に1度開催されているが、ONE Friday Fights126もその枠に当たる。11月の日本大会にも見劣りしないような選手が揃い、3月の日本大会で来日したナビル・アナンやベテランのサムエーも出場する。

そんなONE Friday Fights126の中で、シャドウはキックボクシングデビュー戦に挑むこととなった。対戦相手のリュウ・メンヤンは直近の試合はモハメド・シアサラニ(5月に海人に判定勝ち)に惜敗に終わったが、現ONEキックボクシングフェザー級王者、野杁正明を破った星が光る。この試合は、単なる代役ではなく、シャドウの今後の進路を試す試金石となる。ムエタイのランキングでは王者タワンチャイ、1位スーパーボンに次ぐ2位に浮上することが確実なシャドウ、リュウ戦、そして今後の展開が注目される。


ジャッキー・ブンタン対ステラ・ハメットバーガー

メインイベントの女子ストロー級ムエタイ王座決定戦(3分5回戦)では、ステラ・ヘメッツバーガー(オーストラリア)は同級キックボクシング王者のジャッキー・ブンタン(米国)と対戦した。※ONEストロー級=56.7キロ

ジャッキーはフィリピン系アメリカ人の28歳、アマチュアで25戦(20勝5敗)のムエタイマッチを戦った後に2021年にプロ(ONE)に転向、2022年に4戦目でストロー級ムエタイ王座に挑むも判定負けで跳ね返された。昨年11月の前戦でキックボクシング王者となった。プロ通算7勝1敗。

ステラは26歳、こちらも豊富なアマ経験を持ち、プロ通算で9勝2敗、ONE参戦以前はRWS(ラジャダムヌンワールドシリーズ)のリングに上がったこともある。※2024年3月、オランダ選手に判定勝ち。

試合は初回からジャッキーが強いパンチを打ち込んで、ステラを後退させるが、2分過ぎ、ステラの右ハイキックをスウェーでかわしたところに右ショートを当て、ダウンを奪う。ラウンド終了間際にも同じパターンでジャッキーは2度目のダウン。ダメージは感じられないが、初回にステラは3ポイントのアドバンテージを得た。

2回、3回はジャッキーのラウンドで、ジャッキーのパンチの精度が高く、ステラは鼻血などの出血、目の腫れなどダメージが目立つ。4回はステラの前蹴り、ミドルも良かったが、ジャッキーに振り分けてもいいラウンド。結局、最終回までステラがジャッキーの攻撃を耐え、勝負は判定へ。2‐5回をジャッキーが全て取れていればジャッキーの1ポイント勝ちだが、初回の2度のダウンを挽回するには至らなかったようで、ジャッジはステラを支持、ステラが新王者となった。

170センチのステラ、身長は167センチのジャッキーを上回る
リング上でベルトを掲げるステラ

※ダウンシーン映像(タイ以外の国で視聴できない可能性あり)

ONEファイトナイト35は、ルンピニースタジアムでの現地観戦、写真は著者撮影のもの。

↑ ↑ 著作「ムエタイ裏街道」発売中です

いいなと思ったら応援しよう!