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独立準備で商品を作り込む人が、数ヶ月後に必ず止まる場所とは?

「一人で実行できる前提が、書いてないよ」

独立して数ヶ月後、
私が書いた事業計画書を読んだ友人が、
こう言いました。

「資料は立派だよ。
 でも、辻村君が一人で実行できる前提が、
 どこにも書いてないよ。」

その場では、うまく反応できませんでした。

腹に落ちたのは、しばらく経ってからです。

独立準備で
最初に手をつけたくなるもの

独立を決めた人が、
いちばん最初に手をつけたくなるのが
「商品づくり」です。

サービスメニューを整理する。
価格表を作る。
提供の流れを図にする。
パンフレットの構成を考える。

私もそうでしたし、
独立の相談に来られる方の多くが、
この作業から始めます。

気持ちはよく分かります。
何を売るかが決まらなければ、
営業のしようがないと思うからです。

ただ、この順番で始めた人の大半が、数ヶ月後に同じ場所で止まります。

商品は完成しているのに、売れない。
というより、誰に持っていけばいいのか分からない。

なぜそうなるのかを、自分の失敗から書きます。

得意なはずの計画書が、
いちばん進まなかった

私は52歳で独立しました。

前職はコンサルティング会社で、
数千万円から億単位のプロジェクト企画書を、何十本と書いてきました。
事業計画書を作るのは、得意なはずでした。

ところが、自分の会社の計画書だけは、
数ヶ月かけても進みませんでした。

書いては消し、また書く。

手が止まるたびに、
頭に浮かぶのは計画のことではありませんでした。
自分は独立して何がしたかったのか。
こんなことが本当にできるのか。
子どもの学費と住宅ローンはどうするのか。

いま振り返れば、あの数ヶ月の大半は、
不安を作業で埋めていた時間でした。

自分の考えが正しいことの証明です。

証明する相手は、
投資家でも銀行でもありません。
不安な自分自身でした。

だから、実行する人が一人しかいないという
最大の制約だけが、そこから抜け落ちていた。

計画書は削除しました。
削除ボタンを押した瞬間、
逃げたのかもしれないという疑いと、
やっと前に進めるという安堵が、同時に来ました。

商品づくりも、同じ罠にはまる

この話を、商品づくりに置き換えてみてください。
構造がまったく同じです。

独立前に作り込む商品は、
たいてい「自分が提供できること」から組み立てられます。
前職での経験、保有資格、得意な領域。
それらを棚卸しして、整理して、パッケージにする。

作業としては正しく見えます。

しかし、そこには買う人が一人も登場していません。
誰が、どんな場面で困っていて、いくらまでなら払うのか。

この3つが分からないまま作られた商品は、
精緻であるほど売りにくくなると思っています。
作り込んだ分だけ「これを売らなければ」という前提が固まる。
だから、目の前の相手の困りごとに合わせて、
形を変えられなくなるのです。

「準備した証明」は誰も買わない

計画書が「正しさの証明」
になっていたのと同じで、
商品もまた「準備した証明」になってしまう。

証明は、誰も買いません。

いま準備を進めている方の資料は、
私のものより、きっとよくできていると思います。

それでも、精緻さと売れやすさは別物でした。
少なくとも私は、そこで数ヶ月を落としました。

代わりに、最初の30分から始める

では何から始めるか。

私が計画書を削除したあとにやったのは、
格好のつく話ではありません。

「できることをやろう」
「目の前の仕事をこなそう」
「まず生活が回るように組み立てよう」

それだけでした。
ただ、その過程で分かったことがあります。
やりたいことも、商品の形も、動いてからでないと見えてこない。

私がやってみて効いた、3つの手順

1. 相手を一人だけ決める。
「中小企業の経営者」ではなく、名前と顔が浮かぶ一人です。
元同僚でも、前職の取引先でも構いません。

2. 30分だけ、相談の時間をもらう。
売り込みではありません。
「独立したので、いま何に困っているか教えてほしい」で十分です。

3. その30分で、3つだけ確認する。

痛み:いま実際に困っていることは何か
可否:それは自分の経験で動かせるものか
財布:解決にお金を払う人が、相手の会社にいるのか

この3点が確認できた瞬間に、計画は空想から検証に変わります。

商品は、この会話を5人分くらい重ねたあとで作れば十分だと思います。
しかも、そのときには売り先がもう決まっています。


紙に、名前を1つ書けますか

もし今、独立の準備で
サービスメニューを作り込んでいるなら、
いったん手を止めてみてください。

そして、
その商品を最初に見せる相手の名前を、
紙に書けるかどうか
を確かめてほしいと思います。

書けるなら、商品づくりを続けて大丈夫です。

書けないなら、商品より先に、その一人を探すほうが早い。

私も、まだ途中にいます

偉そうに書きましたが、
私自身も独立して3年目で、
いまだに這いつくばりながら進んでいます。

不安を作業で埋めたくなる癖も、
正直まだ残っています。

ただ、あの数ヶ月の回り道だけは、
しなくて済むのなら、しないほうがいい。

そう思って書きました。



(この記事のもとになった当時の話は、連載「52歳からの起業のリアル」に書いています)

次回は
「会社員時代の実績を、顧客が買えるサービスに変える方法」を書きます。

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公開時にお知らせしますので、フォローしておいていただければ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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