ママ、それナイトレインで見た
「ゴブリンって、亜人?」
これが、ハリー・ポッターを一緒に見ていた息子が、
はじめに言った言葉。
先日、息子と一緒に『ハリー・ポッターと賢者の石』を見始めた。
見る前から、
「僕、ハリーポッター知ってるよ。おじいちゃんが面白いって言ってた」
と言っていたけれど、実際に見るのは初めてだった。
私はてっきり、全部が初めての世界なのだと思っていた。
映画が始まってしばらくして、魔法銀行のゴブリンが出てきた。
すると息子が画面を指差して言った。
「見て!亜人の剣聖みたい!」
私は思わず、
「え?」
となった。
夫も横で笑っている。
「そこに繋がるの?」
と聞くと、息子は真面目な顔で説明し始めた。
「耳が尖ってて、鼻が大きい」
「あと背が小さいの」
なるほどと思った。
息子が言う亜人の剣聖は、普段遊んでいるゲーム『エルデンリング ナイトレイン』に出てくるキャラクターだ。
私は最初、またゲームの話かと思った。
でもよく聞くと、息子は名前ではなく特徴を見ていた。
その後、三つ首の犬(フラッフィー)が出てきた。
顔が三つあることに気付いた瞬間、
「三つ首の獣じゃん!グラディウスだよ!」
と大興奮だった。
こちらもナイトレインに出てくるボスだ。
そして少し考えてから、
「こっちはお顔が可愛いけど」
「グラディウスはかっこかわいいだから」
と、笑顔で評価していた。
そして私が一番驚いたのはトロールだった。
トロールが出てくる前に名前だけ聞いた息子は、
私の顔を勢いよく見て言った。
「トロル!?壺投げてくる?」
思わず吹き出しそうになった。
トロールと聞いて最初に思い出すのが、それなんだ。
実際に画面にトロールが出てくると、
「知ってるのと違うけど、背はやっぱり大きいんだね」
と観察を始めた。
そして戦いになると、
「足元だよ!」
「顔に当てて致命取ればいいんだよ!」
と、すっかりゲームの攻略目線だった。
トロールが倒れると、
「僕が知ってるトロルはさ、壺投げてくるんだよね」
と言いながら、
「こうやって!」
と壺を投げる仕草をする。
さらに立ち上がって、
「あとこういう攻撃!」
と地面を叩きつける真似まで始めた。
どうやら息子の頭の中では、完全に別のトロールと比較されていたらしい。
マルフォイが出てきた時も同じだった。
後ろに二人の男の子を連れているのを見て、
「SPY×FAMILYのダミアンくんみたい」
と言う。
私が理由を聞くと、
「ライバルっぽいし」
「いつも二人、子分みたいな子連れているし」
とのことだった。
言われてみると確かに似ている。
私は髪の色や顔の雰囲気を見ているつもりだったけれど、息子は人間関係の方を見ていたらしい。
翌朝の朝ごはんの時だった。
突然、
「あの箒ってさ、前にお店で見てたのだよね」
と言った。
さらに、
「ハリーポッターに出てきたグラディウス、お顔大きくて可愛かったよね」
とも言う。
映画は前日に途中で止めている。
それでも息子の中では、まだ続いていたらしい。
そういえば息子は、本を読む時もそうだ。
ドラマを見る時もそうだ。
新しい物語に出会うたび、知っているものと繋げながら理解している。
私は今まで、息子は物語をたくさん覚えているのだと思っていた。
でも今回見ていて、少し違うのかもしれないと思った。
息子が覚えているのは、物語そのものではない。
耳の形。
背の高さ。
鼻の特徴。
立場や性格。
そういう特徴を見て、頭の中で整理している。
だから初めて見るハリー・ポッターの世界も、完全に知らない世界にはならない。
私はゲームをしている時、モンスターを倒しているだけだと思っていた。
でも息子は違ったらしい。
そこで見たものを、新しい物語を理解するための材料にしていた。
ハリー・ポッターは初めてだった。
それでも息子にとっては、少しだけ見覚えのある世界だったらしい。
📖 観察レポート
「もっと深く読みたい方へ」
息子を約8年間観察してきた記録を、テーマごとにまとめています。
ゲーム、読み聞かせ、ごっこ遊び、漫画、小説。
一見バラバラだった出来事を振り返ると、そこには一つの共通点がありました。
