【笑える英文法物語】代名詞戦隊ワタシーズ② 戦慄!be動詞怪人!後編
こちらの後編でーす!
ミーは怪人に向かって高らかに声を発した。
「あなたはbe動詞怪人です! You are Be-doshi Kaijin.」
シーン……
光線は出ない。
怪人の分身がブンブン飛んでいる。
「彼はテニス選手です!He is a tennis player.」
シーン……
やはり光線は出ない。
「文章は間違えていないはず……なぜ?」
呆然とするミー。
「そうだよ!完璧だよ!なんでぇぇ?」
絶叫するマイに、怪人の分身 is の『・』が飛んできた。
「マイ危ない!」
アイがマイを庇うようにして地面に伏せさせる。
『・』が頭をかすめていった。
「ありがとう、アイちゃん」
マイがウルウルした目でアイを見つめる。
「まさか『・』が飛び道具だったなんて。マイもミーも気をつけて」
アイの警告に、マイとミーは真剣な顔でうなずいた。
「バカめ!お前たち自身を入れた主語でないと技は発動しないルールにしているんだよ!お前たちの名前は『I』『my』『me』。ふははは!さあ、どうする?」
怪人が高笑いをしながら説明をした。
分身の are がお尻の『e』の先端を突き出してミーに向かってきた。
「あっ!」
間一髪でかわすミー。
「我が分身の攻撃を喰らうと血が吹き出すぞ!赤点という名の真っ赤な血がな!ヒヒヒヒ」
isの『・』が激しく飛び回る。
areの針が三人を襲う。

「でも、英語で主語になるのは『I』だけだよね? 『my』『me』は主語にできないじゃないか!」
攻撃を避けながら叫ぶアイ。

怪人の不快な笑い声が鳴り響く。
その時、マイが矢面に立った。
その顔はいつものふわふわした表情ではなくキリッとしていた。
「my が入っていればいいのね?やってみる!」
マイはトレードマークであるオレンジ色のマフラーを首から外して手に取った。
「あっ!!!」
その姿に驚き叫ぶアイとミー。
マイはマフラーを高々と掲げて叫んだ。

「わたしのマフラーはオレンジ色!My scarf is orange.」
My scarf is orange.
閃光がほとばしり is に直撃した。
その姿は跡形もなく消滅し、飛び回っていた『・』も姿を消した。
「……やった!やったよー!」
ピョンピョン跳ねて喜ぶマイ。
「そう……ですね」
「マイ……よくやった」
ミーとアイの声にはなぜか哀愁が漂っていた。
「どうしたの?」
マフラーを首に戻しながら不思議がるマイ。
アイはそれには答えず、前を見て目を光らせた。
「そ……それより今は戦いに集中だ!」
「ですね!」
ミーも呼応して前を見据えた。
「それより……って?」
マイも首をかしげながら前を向く。
そこには、わずかに顔を歪ませながらも余裕を見せるbe動詞怪人がいた。
「よくやった。褒めてやろう。だが are はどうする?お前たちの名前ではどうやっても攻略できんぞ?」
a が円盤のように回りながら斬りつける。
r がブーメランのように舞う。
e の先端が襲う。
縦横無尽に暴れ回る三文字のアルファベット。
「赤点はイヤだぁぁぁ!」
服も髪のリボンも赤のアイが叫ぶ。
「もう!文字がバラバラすぎて are だか ear だか分からないじゃない!」
are から聞こえるブンブン音を避けるように、マイは耳(ear)を押さえた。
「私が me でなければ、あれ(are)も倒せるのですが……」
戻ってくる r をかわすミー。
「二人ともさりげなく are をいじってるよね?」
アイもa 円盤から逃げながらツッコんでいたが、三人は徐々に追い込まれていく。
「もう……逃げ場がない」
マイの声が震える。
三つのアルファベットに囲まれた三人。
絶対絶命のワタシーズ。
その時、ミーは手に持つ杖に目をやった。
「そうです!今こそこの必殺技スティックを使うときです!」
ミーの声にアイとマイの目に希望の光が灯る。
杖を握る三人。
すると杖は光り始め、輝く知識がそれぞれの脳に降り注いだ。
——これだ!
三人が同時に怪人を睨む。
「いけ!わたしたちの必殺技!」
三人の目が光を放った。
「わたしたちはワタシーズです!We are Watashi-z!」

巨大なきらめきが怪人に向かって飛んでいく。
そして怪人の前で弾けた。
「ウオォォォォ!」
怪人の叫びが響き渡る。
「まだ習っていないはずの複数形を使うとは……完敗だ……」
そして闇は消え去った。
「やった……」
アイの手が震える。
「やったー!!」
抱き合って歓喜する三人。
ひとしきり喜んだ後、マイが首をひねりながら二人に問いかけた。
「ねぇねぇ、わたしがマフラーを外したとき、なんで二人とも悲しそうな顔をしたの?」
グラマーワールドに一瞬の沈黙が流れた。
「……マイが普段なんでマフラーを外さないか分かったよ」
目を背けて呟くアイ。
「なんて言うか……マイさんも苦労しているんですね」
うつむくミー。
「どういうこと?はっきり言ってよ!」
叫ぶマイ。
「首に……あせもが……」
アイとミーがハモったとき、グラマーワールドは姿を消した。
こうしてbe動詞怪人を撃退した三人は元の生活に戻った。
しかし英文法につまずいた時、グラマーワールドはまた姿を現すことだろう。
第1話 完
※※ミニ番外編 ミーの驚き※※
「一問……間違えました……」
ミーの手がワナワナ震える。
問題 次の( )内に am , is , areのうち適切なものを入れなさい。
Your mother ( ) a doctor.
「You ならbe動詞は are のはずなのに……」
悲嘆に暮れるミー。
「大丈夫だよ!ミー!」
アイが親指を立ててニヤッと笑った。
「あたしも are って書いて間違えたから!」
アイの笑顔にミーは肩を落とした。
「何も大丈夫じゃないじゃないですか……」
「多分さ、先生の丸付けが間違ったんだよ。抗議に行こ!」
アイはミーの肩に手を置いて、目をギラっと輝かせる。そこへマイがニコニコしながら歩いてきた。
「わたし百点だったぁ!」
嬉しそうなマイに二人は視線を注ぐ。
「マイさん、この問題はなぜ答えが are じゃないんですか?主語にYou が入っているのに」
詰め寄るミー。
「え?なんとなく」
………。
マイの答えにアイもミーも唖然とした。
「だってさ、You って『あなた』のことでしょ?Your mother は別人だもん。だからなんとなく is かなぁって」
クルクル回りながら話すマイ。
「……確かに!」
アイとミーは深くうなずいた。
文字を追いかけるのではなく人物で捉える。
それが大切なんだと、心に刻むミーであった。
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