【第303回】 Marketing Cloud Next : 繰り返しコンポーネントの設定方法
Marketing Cloud Next(Marketing Cloud Growth & Advanced Edition)では、Summer '25 新機能リリースで、新たに 「繰り返し」コンポーネント が追加されました。本記事では、この注目の新機能についてレビューします。
このコンポーネントは、Marketing Cloud Engagement における AMPscript の LookupOrderedRows を使った動的表示 を、より直感的な UI 上で実現できるようにしたものです。
以前に、別の記事で紹介した 「式(Expression)」コンポーネント も、AMPscript の LookupOrderedRows を思わせる機能ではありましたが、表示できるのは「第一優先の要素まで」でした。
それはそれで統合データを扱っているので大事な機能ではあるのですが、今回登場した「繰り返し」コンポーネント は、「第二優先以降の要素も順番に表示できる」点が大きな違いです。この進化により、柔軟でリッチな表現が可能となり、まさに 大幅な機能拡張 と言えるでしょう。
設定手順
それでは早速手順を確認してみましょう。コンポーネントメニューに新たに「繰り返し(Repeater)」コンポーネントが登場しています。キャンバスにドラッグ&ドロップすることで簡単に使用を開始できます。

レイアウトの設定
この機能を使えば、画像・ヘッダー・パラグラフ・ボタンを組み合わせたレイアウトを、自動的に並べることが可能です。まず、キャンバスにドラッグ&ドロップすると、初期設定では横に 2 列のカードが配置されます。

レイアウトの編集も可能で、列数は最大 6 列まで設定でき、縦方向は私が試した限りで 5,000 カード以上繰り返し可能です。ただし、メールクライアントの表示制限を考慮すると、実際には数行から数十行程度の表示に抑える方が実用的です。

また、「カード表示」だけでなく「リスト表示」も選択可能です。リスト表示では、以下の通り、画像がテキストの左側に配置されます。

また、テンプレートを使用せず、ゼロから完全にカスタマイズされた設定を行うことも可能です。
サンプルシナリオの概要
今回ご紹介するサンプルシナリオは、「前日の売上データを基にランキングを作成し、そのランキングをメールで表示する」という内容です。このようなランキングを活用したシナリオは、販売促進施策においてよく見られる一般的なユースケースとなっています。

通常、Marketing Cloud Engagement では AMPscript と HTML を駆使してこの機能を実現します。しかし、Marketing Cloud Growth & Advanced Edition では、これを画面上の操作だけで簡単に設定できる点が大きな特徴です。
データモデルオブジェクトの設定
まず今回は「Ranking」という DMO(データモデルオブジェクト)を作成し、ランキングデータを格納します。

次に、このデータをデータグラフで活用可能な状態に設定します。

データグラフ上で Individual オブジェクトと作成した DMO を関連付けるには、事前にリレーション設定が必要です。今回の例では、Individual に「Favorite Genre」(好きなジャンル)というフィールドを追加し、これを Ranking 側の「Genre」フィールドと 1 対 N の関係で紐づけました。
これで、ランキングデータを利用するための下準備が整いました。
Content Builder の設定手順
1. 繰り返しコンポーネントの配置
まず、繰り返しコンポーネント以外の要素を作成します。その後、繰り返しコンポーネントが必要な箇所にドラッグ&ドロップで配置します。

2. データレイアウトの設定
データレイアウトのセクションで以下のように設定を変更します。
横 3 列
縦 2 行
モバイル列の積み上げを無効化(※オプション)

3. 繰り返しソースの選択
繰り返しソースを選択し、データグラフから「Ranking」を選択します。

4. 並び順の設定
「式の編集」をクリックして表示データの並び順を設定します。

繰り返しソースとしての「Ranking」を選択します。
注意:これは『繰り返しソースとしての「Ranking」』といった直接的な表示にはなっていませんが、繰り返しソースであることが分かりやすい位置に表示されるため、十分に理解できると思います。

並び順の項目として「Rank」を選択し、並びは「昇順」に設定します。

5. 差し込み項目の設定
左上の要素に対して差し込み項目を設定します。

差し込み項目は、繰り返しソース「Ranking」から選択します。

6. ボタン設定
ボタンの場合は、「Link to Dynamic URL」(Summer '25 新機能)を使用します。ここでも繰り返しソース「Ranking」から差し込み項目を選択します。

7. 画像の差し込み項目
画像の場合、差し込み項目のラジオボタンを選択し、繰り返しソース「Ranking」から差し込み項目を選択します。
注意:画像上に設定するリンク URL は、現状、動的にできません。

8. 設定の確認
すべての差し込み項目を設定し終えると、左上で入力した内容が他の組み合わせにも自動的に反映されていることを確認します。

メールの確認
1. フローを送信して動作を確認
設定が完了したメールを実際にフローで送信してみます。すると、以下のようにパーソナライズされたランキングが表示されます。
「Favorite Genre」が Rock の場合、Rock のランキングが表示されます。

「Favorite Genre」が Jazz の場合、Jazz のランキングが表示されます。

2. 結果
期待どおり、ランキングが正しく表示されました。成功です。メール全体では以下のように表示されます。

注意:「繰り返し(Repeater)」コンポーネントで記述したテキストの長さによって、ボタンの位置が上下にずれてしまうのは、現状修正できません。
既知の問題
① Outlook などのレンダリング問題
古い Outlook や古いモバイルキャリアの PC メールサイトなどでは、レンダリングの問題が発生する可能性があります。具体的には、画像が本来の画像が持つ大きさ(ピクセル)で表示されたり、画像が壊れたりします。

画像が壊れることに関しては対処できませんが、画像サイズの問題については、メールの横幅が 600 px のため、例えば、3 列表示されば 186 px、2 列表示であれば 284 px のように明示的に指定してあげることで問題が解消します。但し、他のコンポーネントの見た目に影響が出る可能性があるので、よくテストを行ってください。

② 差し込みがうまく反映されない問題
既知の問題には登録されていませんが、稀に「画像」や「URL」の設定において、設定後の枠に、設定したはずのものがうまく反映されず、空振りとなり表示されない場合があります。
このような場合は、{!$Expression.URL_2} や {!$Expression.Image_5} のような形で、これらの文字列を直で入力することで表示が反映されます。URL_2 や Image_5 は設定時に決めた Merge Field API 名です。
以下を書き換えて使用してください。
{!$Expression.●●●●●}いかがでしたでしょうか。
Marketing Cloud Growth & Advanced Edition では、繰り返しコンポーネントの登場により、AMPscript を使った従来の高度なパーソナライゼーションから脱却し、新たなアプローチ(ノーコード)への移行を感じさせる内容となっています。
Marketing Cloud Engagement にも同様のコンポーネントを求める声が多いかと思いますが、おそらく開発されないでしょう。
そこで、今度、私の方で、HTML と AMPscript を使って、繰り返しコンポーネントと同様の内容を実装する方法を記事で取り上げようと思いますので、そちらを参考にしてみください。
今回は以上です。
