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母性保護と生理休暇

※過去に某所に書いた文章に加筆修正・再構成のうえ掲載。

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憲法が保障する基本的人権は、そのすべてに両性の平等を貫かなければ、本物とはいえない。
なぜなら、「人間らしく生きたい」「健康をまもり、すこやかな次の世代を産み育てたい」という願いは、性を問わず、すべての労働者・国民に共通した願いだからだ。
そして、こうした願いの原点が母性保護の権利である。

にもかかわらず、女性が母性機能をもっており、〝産む性〟であることは、女性を差別する根拠としても利用されてきた。
「妊娠を告げたら退職を強要された」などの事例は未だにあとを絶たない。
しかし、子どもを産むことは、人類が存続していくために不可欠な社会的機能だ。
それゆえ、母性は社会的に保護されなければならず、それは両性平等の前提となるものなのである。
労働基準法や男女雇用機会均等法で定められている出産休暇や生理時の措置、妊産婦の母体保護・業務軽減などが確実に行使できる職場をつくることが重要だ。

母性保護の権利のうち、生理休暇制度は日本特有のものだといわれている。
細井和喜蔵著『女工哀史』などにも示されているように、戦前日本の女性労働者はきわめて劣悪な条件のもとで働かされていた。
当時の女性労働者にとって母性保護はきわめて切実な要求となり、女性労働者はストライキをかまえるなど勇気をもってたちあがり、ついに1931年、千寿薬品研究所労働組合が3日間の有給生理休暇を獲得した。
第2次世界大戦後は、生理休暇は労働基準法上の権利として保障されることになる。

生理休暇をなくそうともくろむ政府・財界の攻撃によって、1985年の労働基準法改定で「女子保護」規定が大きく変えられ、条文から「生理休暇」という言葉がなくなった。
これによって「生理休暇はなくなった」という使用者もでてきたが、生理休暇の権利自体が変わったわけではない。
労働基準法第68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定めている。
そして、これに違反した使用者は30万円以下の罰金に処せられる(第120条第1号)。
しかし、厚生労働省の雇用均等基本調査や総務省の労働力調査によれば、生理休暇をとっている女性労働者は1%に満たないといわれている。

生理休暇など母性が大事にされる職場は、男性にとっても働きやすい職場のはず。
母性保護を強化するためのたたかいを強めていくことが、いまこそもとめられている。

《参考文献》
*桜井絹江著『母性保護運動史』(ドメス出版、1987年)
*田口亜紗著『生理休暇の誕生』(青弓社、2003年)
*駒田富枝著『働く女性の母性保護』(学習の友社、2011年)
*煙崎久美子「世界に誇れる生理休暇」(『学習の友』2012年12月号)
*川村碧「わずか0.9%とは…『生理休暇』なぜ取らない?有休化、性別問わない新制度も登場 #働くあなたへ」(時事ドットコム、2023年7月6日) https://www.jiji.com/jc/v8?id=202307seirikyuka-team

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