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ドイツの教師はなぜ待遇が良く、そしてなぜよく休むのか?

こんにちは、ドイツ在住「煮ても焼いてもドイツ」のニヤキです。
ドイツ生活のあれこれを中心に情報発信をしています。


ドイツの学校制度については色々モノ申したいことがあるのですが、その中のひとつが、「先生が休みすぎる」です。

(ドイツの学校制度については以下の記事をご覧ください)

ドイツでは先生が本当によく休む。
信じられない程よく休む。

小学校のときはまだよかったんです。
担任制度だから先生が休んでも「一応」代わりの先生がきていました。(でも代わりに授業をするのではなく、塗り絵などをさせるだけ・・・)

問題は今のギムナジウム(中~高等教育)。
日本の中学のようにドイツでも5年生からは先生が科目別担当になります。
しかし、先生たちのよく休むこと、休むこと!
・・・色々な事情はあると思うんですが、7時間授業中、先生がいたのが1時間だけだった、みたいなときもざら。
冬場、風邪シーズンになると、1週間のうち殆どが自習だったなんてこともざら。

自分の子どもの学校だけかと思ったら、そうではなかったです。
聞く人、聞く人、別の都市でも、別の州でも状況は同じ。

・・・先生、病弱なの!?と思ってしまうくらい。

息子の学校(私立)は一応、「先生が休みで授業が行えなくなっても子どもは家に帰さずに学校で預かります」という約束がありました。(5・6年生限定)

なので、一旦うちに帰ってくるということはなく、ずっと学校にはいられたのですが、やはり授業の代行などはなく、学校で1日映画を観て終わるということもざら。

現在7年生になってからこの「約束」もなくなったため、授業がなくなったときは帰ってきます。・・・さすがに途中の授業が休講になったときには学校に留まっていますが、学校側に監督責任はないので、自由に外出する子とかもいるみたいです。(街中なのでそれも怖い)

当然、授業は遅れます。
毎年、カリキュラムが終わらずに学年も修了します。
でも試験は普通にあります。

・・・できなかったところは自分でやっておいてね形式です。

おいっ!!!義務教育の意味っ!!!
・・・私はいつも、そう叫んでいます。

OECDのPISA2022調査によると、ドイツの15歳の学力は過去最低水準に落ち込み、特に数学・読解・理科の全科目で2018年比20点以上の下落が見られたそうです。
(一方、日本は全科目でOECD平均を上回り、特に数学では世界トップ水準を維持)
この学校制度や度重なる休講が子どもたちに与えている影響はとても大きいと私は思います。

この記事では、実際に子どもをドイツの学校へ通わせている親として、とても困っていること、そしてドイツの教師の「待遇の良さ」と「休みやすさ」、そして「抱える課題」をまとめて紹介したいと思います。

(あくまでも親目線ですので、もし、ドイツで教師をされている方で「それは違う」というところがあれば指摘お願いします)


1. 教師は“安定と尊敬”の象徴 ― ドイツで待遇が良い理由

ドイツでは、教師は依然として「安定した人気職」であり、社会的地位も高く、守られた存在であるということが、外国人の私から見てもよく分かります。
その大きな理由のひとつが、「公務員制度(Beamtenstatus)」です。

絶対的な安定 ― 公務員としての保障

多くの教師は州の「公務員」として雇われていて、経済不況があっても解雇されることはほとんどなく、年金制度も非常に手厚いといいます。
退職後は「公務員年金(Pension)」を受け取り、民間より高い生活水準を維持できるのも魅力。
さらに医療保険は公務員専用の優遇制度があり、保険料が一般よりも安くなるそうです。

つまり、ドイツの教師は「経済的に揺るがない職」であるといえます。

給与も高く、社会的評価も高い

給与水準も比較的高いそうです。
州によって異なりますが、初任給で月3500〜4500ユーロ(税前)、経験を積めば5000ユーロ以上に達することもあるといいます。
賞与はほとんどないが、安定した収入と長期休暇がセットになっている点が特筆すべき点かと思います。

また、教師は今でも社会的に尊敬される職業とされているそうです。(私は全くそういう念は抱いていないですけど)
ドイツでは「教育(Bildung)」が国の根幹を支える価値とされていて、教師は「次世代を育てる専門職」として一応、信頼されているとされています。

休暇と自由度の高さ

教師は年間6週間以上の長期休暇があり、授業のない期間は自宅で授業準備や採点を行っています。
日本の先生たちの様子がわかりませんが、確実に授業以外にかかる時間、作業量はドイツの方が少ないのではないかと思います。
部活やお便り、きめ細やかな生活指導などもドイツにはないですから・・・。
時間の使い方は本人に委ねられていて、ワークライフバランスの取れた職業だといえそうです。

2. 教師不足・ストレス・格差 ― ドイツ教育の抱える問題

教師不足の深刻化

ドイツでは現在、全国的な教師不足(Lehrermangel)が深刻でよくメディアで取り上げられています。
「教師が足りない、足りない」とずっと言われていますが、状況は悪くなるばかり・・・これからの未来にも明るさをほとんど感じません(個人的見解ですが)。
特に小学校、職業学校、特別支援学校では慢性的な人手不足が続いています。

これは、若い世代の教師志望者が減少している一方で、ベビーブーマー世代の大量退職が進んでいるからだとか。
さらに、採用までに大学→実習→試験と長い教育課程を経る必要があり、途中で諦めてしまう人も多いといいます。

その結果、臨時採用(Seiteneinsteiger)や非正規講師で穴を埋める学校が増えており、教育の質にたいへんばらつきがあるのが現状です。

精神的ストレスとバーンアウト

公務員の中でも、教師は精神疾患による長期病休や早期退職が最も多いそうです。(リアルにそれは感じます)
多様化する児童・生徒への対応、保護者からの圧力、評価の負担、デジタル化対応など、心身の負荷が大きいとか。

厳しい言い方かもしれませんが、どの職業であろうともストレスはありますし、心身のバランスを崩すことは珍しくないことだと思います。
教師たちだけの問題ではないのですが・・・。

教師に負荷がかかり、学校にこられなくなると一番不利益を被るのは子どもたち。そこが一般企業や他の公務員とは違うところではないかと思います。

子どもたちの学ぶ権利が奪われている・・・そう感じてしまうのは私だけでしょうか?

教師を責めている訳ではありません。
ただ、学校運営をまともに行うこともできないこの国のシステムに疑問を感じますし、予算が国外や移民政策に投じられ、ドイツにいる子どもたちが二の次になっているこの現状に納得がいきません。

州ごとの格差と制度の硬直性

教育が州の管轄であるため、給与や労働条件には大きな差があるといいます。
バイエルンやバーデン=ヴュルテンベルクの教師は高給で人気ですが、ベルリンやブランデンブルクでは給与が低く、教師がなかなか集まらないとか。
さらに、州をまたぐ転職や異動が難しく、柔軟性に欠ける点も批判されています。

実際、友人家庭では夫婦で教師をしていますが、二人とも別の州で働いているため、休暇(特に夏休み)が合わずに家族旅行を計画するのが難しいと嘆いています。
・・・隣り合わせの州なのに、夏休みが1か月も違う年もあるとか。
ドイツの夏休みはだいたい6週間なので、1か月夏休みがズレると一緒に過ごせる時間は2週間だけになります。(まぁ、それでも日本人の感覚だと「2週間も一緒に休暇をとれたらいいよね」とは思うのですが)

※ドイツでは州ごとに学校休暇の期間が異なります

3. 「先生が簡単に休む」ように見える理由

こうした背景を踏まえると、なぜドイツでは教師が頻繁に休んでいるのかも少しわかるような気がします。

病気やストレスへの社会的寛容

ドイツでは「体調が悪いなら休むのが当然」という考えが社会全体に浸透しています。確かに、ただの風邪でも、メンタルが少し不安定でも、医師の診断書をもらえばすぐに病欠でき、誰でも簡単に病欠ができる社会です。
(主婦には病欠はないんですけどね・・・)
そして何より、病気のときに働くことは無責任という倫理観があるのは日本と正反対です。

日本のような「多少の熱でも出勤」文化はなく、「しっかり治してから戻る」が当たり前で、これは教育現場にも同じく適用されます。

(そもそも体調管理をしっかりしてよ、と言いたくなりますが・・・)

病休でも給与が減らない

教師(特に公務員)は病欠中も給与が全額支給されます。
雇用契約の教師も最初の6週間は100%支給され、その後も健康保険がカバーされるため、無理して出勤する必要がないのかもしれません。

ドイツでは「職場に迷惑をかけないために休まない」という発想より、
「健康を守ることが職責を果たす第一歩」という発想が強いです。
これはどの職業に対しても同じこと。
・・・だから社会がスムーズに回らないのです。

精神的負担による長期休養も多い

うつ病や燃え尽き症候群による長期病休も珍しくありません。
医師からの診断書をもらえば数ヶ月単位で休めるし、復帰後も段階的に働ける仕組みがあり、それを責める文化もありません。
(そういうところは人間味があるのかもしれませんが)

つまり、教師が「よく休むように見える」のは、社会全体が休む権利を保障しているからなのかもしれません。

親としては、本当に迷惑に感じるのですが、それは私が日本の学校制度で育ってきたからなのでしょうか?
教師である前に一人の人間としての尊厳を守られるというのは当たり前のことではあるのですが、それでも教師という責任のある職業を選んだのであれば、その職務を全うしてほしい、そう思ってしまうのですが・・・。
私が厳しいだけでしょうかね。。

代講制度の限界

学校には「代講教師(Vertretungslehrer)」制度があり、誰かが休んだときは別の教師が授業を代行することにはなっていると謳っていますが、正直、これは建前です。
教師不足が進んでいる今、代講も全く追いついていないです。
結果として「授業がキャンセルされる」「生徒が早く帰される」ケースも増え、私を含め、多くの保護者が不満を抱いています。

それでも、ドイツ社会では「休む権利」を制限するより、「制度の側を改善すべき」と考えられているそうなので、ドイツっぽいですよね。

働きすぎを美徳としない文化

ドイツでは「働きすぎは無能」「効率よく働くのがプロ」という価値観が根づいています。
・・・私から言わせると、それを言う前に自分がしっかりできるところを見せてみろ!と言いたくなるのですが、そこは価値観の違いなので今回は深く突っ込むことはやめておきます。

そのため、教師が休むことを「怠慢」とは見なされません。
むしろ、健康を守りながら持続的に教えることがプロフェッショナリズムとされているというから驚きです。
(日本の先生たちの爪の垢を煎じて飲んでーっ!!!)

4. 光と影のバランスをどう見るか

こうして見ると、ドイツの教師制度は「人間を守る制度」とも言えるでしょう。
病気やストレスへの理解、経済的安定、専門職としての尊敬。
これは日本の教師が長時間労働や過重負担に苦しむ現状と比べると、羨ましいほどの環境かもしれません。

でもその一方で、教師不足・事務過多・バーンアウト・制度の硬直といった問題も根深いく、公務員制度が守っているのは「個々の教師の安定」であって、「教育全体の柔軟性」ではありません。
また、「休む権利」が手厚いからこそ、現場では代講が足りず、授業の連続性が損なわれるという矛盾も生じ、実際にドイツ全体の学力低下につながっています。

正直、ドイツのこれからに不安を覚えることが多いです。
制度の整った義務教育を施せない国で、子どもたちの自主的な学習を望むというのは虫の良すぎる話。

まだこの先生は素晴らしい、と思える先生にドイツで出会ったことがないからかもしれませんが、自分の権利ばかりを主張して義務を果たさない風潮のある大半の先生たちに私が尊敬の念を抱く日がくるようには思えません。

学校という教育システム自体、そもそも私が疑問を抱いているからかもしれませんが、学校の言うことを鵜呑みにするような「学校至上主義」の親にはなれない自分としては、毎日ジレンマを抱きながら、子どもを送り出しています。


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