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「どちらかが彼女を殺した」の書き出し1文を読んでみた。

二枚目の便箋の、半分あたりまで書いたところで誤字をした。

「どちらかが彼女を殺した」東野圭吾

好きな小説をあらためて読んでみる。
そして、書き出しの一文からどんな感想が得られるだろう。

それなりの文章量で何か伝えたいことがあるようだ。筆を止めたのは誤字に気づいたから。
ここまでは書き出しから分かる。
読み進めていくと、修正を試みるが書くこと自体を諦めてしまうようだ。
自分がしたためた手紙を完成させられない、というやるせない諦観を感じる書き出しだと思う。

本作は「最後まで犯人が明かされない」という型破りなミステリー小説である。
私は二度読んだのだが、勘が悪いもので真犯人が誰なのかサッパリわからなかった。
巻末にヒントが書かれた袋綴じがあるのだが、まだ開いていない。
気になってはいるものの、なんとなく開けないでいる。
ミステリー作品という性質上、ストーリーに関してはこれ以上述べずにおく。ただ傑作であることは間違いないので、興味がある方は読んでいただきたい。

書き出しで手紙を書いている人物は、不幸にもこの後殺されてしまう。
端的に言えば痴情のもつれが原因なのだが、自分の思いを綴った手紙は完成させられなかったようだ。
言いたいことは山ほどあったのだろう。でも伝えきれなかった。残しきれなかった。
気楽にスラスラ書ける内容なら、多少の誤字では引っ掛からなかったのかもしれない。
婚姻届でも履歴書でもないのだから二重線を引けばいい。
でも手が止まってしまう。
前に進められない気持ちが表れているようで、この後の展開を知ると悲しくなってしまう。
本作を二度目読んだことで、この書き出しの切なさが際立つ。

≪前回取り上げた小説≫


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