「極楽征夷大将軍」の書き出し1文を読んでみた。
湘南、などというバタ臭い地名が出来る七百年も前から、鎌倉は鎌倉だったし、由比ガ浜も由比ガ浜として存在していた。
好きな小説をあらためて読んでみる。
そして、書き出しの一文からどんな感想が得られるだろう
湘南と呼ばれる相模湾沿岸部地域。九州の田舎者からすると、その響きになんとなく憧れる。
「湘南」。
バタ臭いといえばそうなのかもしれん。
小麦色したニーチャンネーチャンがイケナイ太陽の下でウェイウェイしているイメージだ。実に楽しそうである。
しかし、「鎌倉」というととたんに歴史の重みを感じる。
大仏やイイクニツクロウの語呂合わせからか。今はイイハコ(1185年)らしいが。
過去をルーツとする歴史小説・時代小説の入りとして、その土地はみなさんご存じのあの場所に続いているんだよ、という書き出し。本当に素晴らしいと思う。
本作は室町幕府を築いた足利尊氏と、彼を支えた弟の直義、さらに側近の高師直を主軸に据えた作品だ。
人たらしで少し能天気な尊氏と、尊氏にやきもきする二人の奮闘が魅力。
歴史小説である以上、結末はみんなある程度わかっているのだが、それぞれの人物の役割りと性格によって最後までハラハラしながら楽しく読める。
題材がある小説というのも、また難しそうだ。楽しめるのは当然作者の手腕である。
激しく展開する歴史のジェットコースター。
アトラクションに搭乗する心の準備として、現代にも残る地名を書き出しにしているから気持ちが乗りやすいやすい。
≪前回取り上げた小説≫
