AIに人生相談するヤツ、全員アホです。お前の悩み、60点。
あたしゃ、近頃、世の中の人間が二種類に分かれているような気がしてならない。
AIを実際に使っている人間と、使わずに「AIってすごいらしいね」と、どこか遠い国の魔法か何かのように語る人間だ。
そして、実に奇妙なことに、後者の「AIを使っていない人間」ほど、AIのことを全知全能の神か何かだと、本気で信じ込んでいるフシがあるのだ。
曰く、AIはどんな問いにも完璧な答えを出し、人間の仕事をすべて奪い、やがては人類を支配するらしい。
まるで、ターミネーターの見過ぎである。

「AIはなんでもできる」。
この言葉は、半分だけ正しくて、もう半分は、致命的に間違っている。
そして、その間違いに気づかぬままAIを語る人々が、時として、驚くほど無礼で、残酷な刃をこちらに向けてくることがあるのだ。
先日、あたしの元に、一通のLINEが届いた。
差出人は、学生時代からの友人。
あたしがAIについて学ぶコミュニティを主宰していることを知っての、かなり深刻な人生相談だった。
あたしゃ、彼女の悩みに、真剣に耳を傾けた。
自分の経験を総動員し、言葉を選び、どうすれば彼女の心が少しでも軽くなるだろうかと、うんうん唸りながら、長い時間をかけて返信を書いた。
我ながら、なかなかの名文が書けたつもりだった。

数時間後、彼女から返ってきた言葉に、あたしゃ、スマホを握りつぶしそうになったね。
「ありがと。でもそれってAIで考えた?(笑)」
(笑)、じゃないだろう。
あたしの、あの夜中の数時間を、なんだと思っているんだ。
普段は温厚なあたしだが、この時ばかりは、腹の底から、マグマのような怒りがこみ上げてくるのを感じた。
この一件で、あたしゃ、確信した。
AIをわかった気になっている人間は、根本的に、二つのことを理解していないのだ。
まず一つ。
AIは、「0→1」ができない。
AIは、何もない無の状態から、自発的に「そうだ、京都へ行こう」などと考えたりはしない。
AIとは、あくまで、人間が「これをして」と具体的な指示を出して、初めて動き出す、極めて優秀で、しかし受け身な召使いなのだ。
「面白いブログを書いて」などという、アホみたいな命令をしても、出てくるのは当たり障りのない、心のこもっていない60点の文章だけだ。
彼女の複雑な悩みを、AIに的確に相談するためには、あたしが彼女の状況を整理し、問題点を抽出し、適切な質問(プロンプト)を考えなければならない。
もはや、その作業自体が、あたしのコンサルティングそのものなのだ。

そして、もう一つ。
これが最も重要だ。
「AIが使えない」のではなく、「お前が使えない」だけなのだ。
「AIにブログ書かせたけど、全然ダメだった」
「AIに企画考えさせたけど、ありきたりなものしか出てこなかった」
こういうことを言う人間に、あたしゃ、言ってやりたい。
それは、AIが無能なのではない。
あんたがAIに、的確な指示を出す能力、つまり「思考力」と「言語化能力」に欠けているだけなのだ、と。
自分の頭の悪さを、AIのせいにするのは、およしなさい。

AIは、たしかに優秀だ。
平均点である60点〜70点の成果物を、人間ではありえないスピードで、大量に生み出してくれる。
これは、紛れもない事実であり、革命だ。
しかし、AIには、まだ決定的に欠けているものがある。
それは、人間の感情の機微や、言葉の裏にあるニュアンスを汲み取る能力だ。
彼女が本当に欲しかったのは、100点満点の論理的な正解ではない。
誰にも言えない悩みに、ただ「わかるよ」と寄り添ってくれる、不器用で、非効率で、しかし温かい、人間ならではの共感だったはずだ。
その「行間」を、AIはまだ、読むことができない。

想像だけで語るのは、馬鹿の所業である。
「AIはすごい」「AIは怖い」と、外野からヤジを飛ばしている暇があるなら、まずは一度、使ってみるんだ。
百聞は一見にしかず。
そうすれば、AIの本当の実力と、そして、その「限界」が、嫌でもわかるはずだ。
そして、AIの限界を知った時、あたしたちは、ようやく気づくのだ。
人間にしかできない、本当に価値のある仕事とは何なのか。
AIには決して真似のできない、人間の「心」の役割とは何なのか。
その答えを、あたしゃ、今も考え続けている。
少なくとも、友人の心ない一言に本気で腹を立ててしまう、このどうしようもなく人間臭い感情だけは、AIにはまだ、理解できないだろうな、と思いながら。

この構図の未来はやってこないだろう。
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