性悪♡悪役令嬢アンネリーゼですが、前世はお局おばさん(天野ミツコ)でした 第3話前編 宴会芸とは
前話→性悪♡悪役令嬢アンネリーゼですが、前世はお局おばさん(天野ミツコ)でした 第2話後編 メメル|にがよもぎあんこ
正午過ぎから始まったローゼンベルク家でのお茶会は、佳境を迎えつつあった。
父「…アンネリーゼ。アレを見せるというのだな?」
スメラギ皇子(片目だけ開けながら流し目)「これは‥‥少々気になってしまうな…。」
アンネリーゼ「フフ♪」
アンネリーゼは軽く奥に控える執事長を目やり、パンパンと手を叩く。
紹介は遅れたがローゼンベルク家に40年の長きに渡り
執事長として奉公する老獪な真摯…。
ワルター・D・ポールレイゼンを紹介しよう。
若干の衰えを見せるものの出納、頻繁な各種社交行事の取り仕切り、
日々のローゼンベルク邸の日常の全てを切り盛りする。ローゼンベルク家にとってかけがえのない存在である。眼鏡と白手袋、後ろで結った未だに黒い髪がトレードマークである。
あうんの呼吸のワルターの追加の合図で、ローゼンベルク家専属の楽隊が厳かに入場する。
楽隊の規模は小さいが彼らもまた‥古参のお抱え音楽家である。
父「ん…?いつもの宴会芸ではなかったのか?」
反応したメメル「宴会…げ…い」
アンネリーゼは咳払いをしながら父を肘で突く。
父「グウ…」
楽隊は普段のバイオリンやビエラではなく、和楽器‥つまり三味線、琴などを携えている。
(ヴァルデンシュタイン皇国の上流階級の間では
和風ブーム真っ只中であり、貴族の間でも古武術等の稽古が一般的に流行っている。)
アンネリーゼ「本来は着替えが必要なところでございますが、
失礼ながら時間がかかるため略式…つまり洋装のまま舞をさせて
頂きますわ♡」
スメラギ「ほう…。メメルちゃんお姉さんの舞は、見たことはある?」
ドーナツをひたすら食べるメメル。
アンネリーゼは先ほど庭に広げられた赤い絨毯の中心に立つと、一瞬、目を伏せた。
(……前世で、若いころに習っていた日本舞踏の稽古……
あれが、こんなときに役立つとは……)
彼女はゆっくりと立ち上がり、
後ろに控えていた楽隊(琴・三味線・篠笛・太鼓)に目配せした。
和楽器の音が、静かに東屋に響き始める。アンネリーゼは裾を軽く払い、
背筋を伸ばして若柳流の所作で動き始めた。指先からゆっくりと花を開くように手を広げ、体をくねらせながら一歩を踏み出す。
踊りに釘付けになる一同…。
長い髪がさらりと揺れ、フリルの袖が優雅に舞う。
視線は遠く、しかし鋭く——
まるで月下の幽玄を体現するかのように。
三味線が切なく絡み、篠笛が細く高く伸びる。彼女はゆっくりと体を捻り、
片手を高く掲げて弧を描く…。
首の角度、指の先、足の運び方——
すべてが若柳流の型に則り、瞳には優美さと強さが感じられる。
その場には時がゆったりと流れ始めた感覚すらあった。
一時の静寂の後、アンネリーゼは舞を止め、
淑女の微笑みを浮かべて一礼しかけたとき…。
メメル「‥‥しゅわー。」
突然、アンネリーゼの頭のうえに魔法の水柱が立ちそれが更に中央で割れて虹ができる。水(ショロロロ…)
スメラギ「み、水魔法…まるでクジラの潮吹きの絵のようだ…。
が、アンネリーゼ…。ちょっとビショ濡れだね…大丈夫かい?」
父と母+玄斎「‥あらら。」
うつむくアンネリーゼの頭は既にずぶ濡れになっている。
ただならぬ水の気配に目をこすりながら起きる
ぐぐがが「やや・・」
すぐにアンネリーゼの眉間の皺がMAXになりつつ、ついに彼女が吠える。
「‥‥こんの!ド畜生クソガキが!いい度胸だこらああああああ!!!」
メメルは仲の良かった頃によく見た姉の宴会芸のファンであった。
執事ワルター「…お気持ちは理解りますぞ。メメル様」
(続く)
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