岡崎・康生の街の変化から考える。「未来を残す」ということ
前回の記事では、岡崎市から百貨店が姿を消すまでの歴史を振り返りました。
西三河最大級の商業都市として栄えた康生地区。
松坂屋やシビコ、セルビなど、多くの大型商業施設が立ち並びながらも、時代の変化とともにその姿を変え、今では百貨店は一つも残っていません。
では、なぜ岡崎は全国初となる大規模な再開発に踏み切ったのでしょうか。
今回の記事では、その背景にあった「人の想い」に目を向けてみたいと思います。
再開発は「街を守る」ための挑戦だった
後編の記事を読んで最も印象に残ったのは、当時の商店主の皆さんが決して華やかな百貨店を誘致したかったわけではない、ということでした。
「子どもたちが誇りを持って帰ってこられる街にしたい。」
「商店街を次の世代へ残したい。」
そんな切実な願いが、再開発の原点にありました。
現在では「76億円を投じた身の丈に合わない再開発」と語られることもあります。
しかし、それは結果を知っている私たちだから言えることなのかもしれません。
当時の皆さんは、本気で地域の未来を考え、本気で街を守ろうとしていたのです。
正解は、その時代には誰にもわからない
記事には、「お客さんを教育したい」という商店街側の言葉が紹介されていました。
今のマーケティングの考え方から見ると、少し違和感を覚える表現かもしれません。
しかし、それも「岡崎の街をもっと良くしたい」という想いから生まれた考えだったのでしょう。
ところが、時代は予想以上のスピードで変化しました。
車社会が進み、人々は郊外へ買い物に出かけるようになります。
生活スタイルも変わり、「便利さ」が重視される時代になりました。
誰かが間違っていたわけではありません。
時代そのものが変わったのです。
未来は、誰にも正確には予測できません。
だからこそ、その時々で最善だと思う選択を積み重ねていくしかないのだと思います。
「建物」を残すことと、「想い」を残すこと
私は司法書士として日々、相続や遺言、家族信託、成年後見などのご相談をお受けしています。
その中で感じるのは、多くの方が本当に残したいものは、お金や不動産だけではないということです。
「家族が仲良く暮らしてほしい。」
「子どもたちに迷惑をかけたくない。」
「先祖から受け継いだ土地を大切にしてほしい。」
そうした想いが、ご相談の背景には必ずあります。
街づくりも同じではないでしょうか。
建物は、いつか古くなります。
制度も、時代とともに変わります。
しかし、人を想う気持ちや、未来へつなぎたいという願いは、時代が変わっても受け継がれていきます。
記事を読みながら、私はそんなことを考えていました。
承継とは、「変えないこと」ではない
「承継」という言葉を聞くと、多くの方は「今あるものをそのまま残すこと」をイメージされるかもしれません。
でも実際には、それだけではありません。
次の世代に必要な形へ変えながら、本当に大切なものを受け継いでいく。
それが承継なのだと思います。
岡崎の商店街も、当時の商店主の皆さんも、「街を守りたい」という想いは変わりませんでした。
ただ、その方法が時代の変化と合わなくなってしまった。
それだけのことなのかもしれません。
だからこそ、私たち専門家も制度だけを見るのではなく、そのご家族の暮らしや価値観、そして10年後、20年後を見据えたご提案をしていく必要があります。
地域に根差す司法書士として
私は岡崎で生まれ育ち、現在は幸田町に事務所を構えています。
岡崎市をはじめ、西三河地域の皆さまから日々ご相談をいただいています。
この地域で育った一人として、街の変化には寂しさを感じることもあります。
それでも、この記事を読んで改めて感じたのは、「地域を良くしたい」と願う人の想いは、今も昔も変わらないということでした。
私もまた、法律の専門家として、人生に寄り添う伴走者として、地域の皆さまが安心して未来へ想いをつないでいけるお手伝いをしていきたいと思います。
街づくりも、相続も、事業承継も。
本当に未来へ残したいものは、形ではなく「想い」なのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんは、「未来へ残したいもの」と聞いて、何を思い浮かべますか?
財産でしょうか。
家族との時間でしょうか。
それとも、地域への想いでしょうか。
ぜひ皆さんのお考えもお聞かせください。
