プレイリスト紹介⑤/“危険な恋”
“失恋”についてのプレイリストはこちら▼
前回に引き続き、プレイリストと楽曲の紹介をしていきたい。
今回紹介するのは、“危険な恋”がテーマのプレイリスト。
❤️🔥🔞
(現時点で51曲)
好きになってはいけない相手を好きになってしまう、“危険な恋”。
抜けようとしても抜けられない、“沼”。
健全ではない、“共依存”的な関係性。
都合の良い、“身体だけ”の関係。
綺麗ではなくなってしまった、歪んだ愛。
そんな、「危険な恋」をテーマにしたプレイリスト。
今回は、この“危険な恋”プレイリストの中から、私が特に心を動かされた6曲を紹介していきたい。
①和ぬか/ラブトキシン
あのさ やっぱ こんなの駄目なんだって
僕をそうさせたのって
高性能なフィルターも擦り抜けた 不純な人
ちょうど良い塩梅で毒されたって
あ、いやだめ、軽率に恋して
良い塩梅で毒が回っている
口滑る罰の言葉
初めて会った時からもう
ずっとこうしてたいと思ってた
気づけば悪に染められて
なんか解せない なんか解せない
この曲は、恋心を“毒”に例える、という発想が天才的すぎる。
危険な恋に堕ち、相手に染まっていくしまう様子を、“身体中に毒がまわっていく”という形で表現している。
抗いたくても、抗うことのできない恋。
抵抗感を抱きながらも、受け入れてしまう。
そして、侵食されていく感覚に、心地良ささえも感じてしまう。
この曲では“毒”と表しているが、
お酒を飲んだ時に、身体中にアルコールがまわっていく感覚にも近いような気がする。
和ぬかさんの曲は、クラクラするような、感覚的で刺激的な恋心を描いた曲が多い。
聴いているだけで、まさに“綺麗な毒”が身体中をまわっていくような感覚になる。
②香椎モイミ/キャットラビング
痛いことは 嫌いですが
君の手の平は嫌いじゃない
言葉は飴玉みたいに
甘く広がってココロ満たす
延命マタタビ 週二ご褒美
「もう嫌んなった」って離されないように
今日だってちゃんと内緒の毛づくろい
にゃんって良い子にするから 愛して
会いたいを間違いなんてみんなは言う
取り憑かれているって
ならこの胸で疼く
締め付けるような切なさは何なの?
君のソレが 耐えられるの
生涯で私だけなんだよね
あからさまに カラダまさに
「もう嫌だ」って離れられないよね
そうだよね?
この曲は、飼い主に支配されている、猫視点での曲。
というのはただの比喩で、本当は、恋人からDVを受けている女性(人間)の曲だと思う。
恋人から暴力を振るわれ、飴と鞭を交互に与えられ、支配され続ける。
気まぐれに、「歪んだ愛」「条件付きの愛」を与えられる。
そして、そんな恋人を愛してしまい、沼にハマり、依存し、縋りつき、突き放されないように努力し続ける。
そんな、切なくて痛くて、健気で尊くて美しく、危険で狂気じみた愛。
こういった、いわゆる「クズ男に沼ってしまう女の子」。
一般的には、賛否両論だと思うし、なんなら否定的な意見の方が多いと思う。
「そんな人やめといた方が良いよ」「早く別れなよ」「そんなの本当の愛じゃないよ」とか、
当事者のことを理解してる訳でもないくせに、好き勝手言ってくるのが“世間”。
そして、そんな“世間の声”すらも全部どうでも良いと思えてしまうくらい、相手のことを愛し続け、一緒にいることを選択し続ける彼女。
私は、その彼女の選択こそが、まさに本物の“愛”だと思う。
「そんな人と一緒にいたら幸せになれないよ」
じゃない。
彼女にとっては、彼と一緒にいることが、1番の「幸せ」なんだと思う。
世界で1番愛している人が、
自分のことを見てくれる。
自分の存在を必要としてくれる。
自分をまるごと、支配してくれる。
相手が、自分だけに見せてくれる顔がある。
自分だけが、相手の欲を満たせる。
自分がいないと、相手は生きていけない。
まさに“共依存”的な関係性。
それだけで、“独占欲”が満たされていく。
自己肯定感が上がる。
自分は生きててもいいんだ、と思える。
これさえあれば、もう他に何もいらないと思えてしまう。
これが幸せじゃないのなら、一体何が“幸せ”なの???
誰にも理解されなくていい。
私は私にとっての“幸せ”を選び続ける。
そんな、彼女の芯の強さと、真実の愛が、この曲に現れている。
もう、“宗教”とも言えるほどの愛。
それこそが、世界で1番、尊くて美しくて素晴らしくて、崇めるべき感情なんだと思う。
③ねぐせ。/愛してみてよ減るもんじゃないし
あいしてるの声帯を聴いて
脳の100パー埋められた
これが演技ならあなたは
俳優さんになれるだろう
服装を寄せてみたり
髪型を好みにしたところで
非現実的すぎるね まるで夢みたい
恋人じゃなくていいからそばにいてよね
今だけ楽しい夢を見させて
都合の良い、身体だけの関係性であったはずの“あなた”を、本気で好きになってしまった“私”。
関係性自体はあまり良いものではないが、“私”の想いは、本当に純粋で一途で健気で尊い。
そのギャップも相まって、聴いていて泣きそうになってしまう。
私はこの曲の、メロディーやリズム感ももちろん好きだが、何よりも“歌詞”に心を惹かれた。
特に冒頭の、
“あいしてるの声帯を聴いて 脳の100パー埋められた これが演技ならあなたは 俳優さんになれるだろう”
の部分。
“声帯を聴く”という言葉も、“俳優さんになれるだろう”という表現で、「あいしてる」の信憑性を表現しているところも。
この瞬間だけでも、夢を見させてほしい。
本物の愛だと信じさせてほしい。
そしてできることなら、愛してみてほしい。
それが“私”にとって、せめてもの“祈り”なんだと思う。
④FINLANDS/東京エレキテル
一生ものになっちゃいそうな
なっちゃいそうな夜は
うんざりしたい
親切で愛してくれたあなたに
事情を忘れた空の身体
取り返す気もない
一晩あなたのトップニュースに
成れるならいいかな
愛された 愛している
間違えて呪いになった
今週の運勢を運命と履き違える
定価以下のラブソング
あなたと居たいだけで
こころは痛むのでしょうか
こころと居たいだけで
あなたはなぜ息をすることをやめるの
この曲も、歌詞が良すぎて、聴いているだけで全身に鳥肌が立ち、泣きそうになる。
どの歌詞をピックアップしたら良いのかわからなくなってしまうくらい、始まりから終わりまで、言葉の“宝石”が詰め込まれている。
そんな中で、私が1番印象に残ったのは、
“一晩あなたのトップニュースに成れるならいいかな”
という歌詞。
“あなた”と、一夜だけの関係性になってしまった“私”。
あなたにとっては、大したことのない、すぐに忘れてしまう出来事なのかもしれない。
それでも私にとっては、この夜が“一生もの”の宝物。
あなたの中で“私”が、一晩だけでもトップニュースになるなら。
私はそれだけで満たされて、幸せになれてしまう。
自分の過去の苦しさも、全部まとめて報われてしまう。
また、この歌詞の“私”は、決して“あなた”を悪く言うことはない。
“親切で愛してくれたあなた”という歌詞が、まさにそれを表している。
自分を犠牲にして、尽くして、すべてを“あなた”に捧げて。
その上で傷つけられたとしても、“あなた”は何も悪くない。
私は、どこまで行っても“あなた”の信者。
FINLANDSの曲は全体的に、宗教的で献身的な“愛”について描かれたものが多い。
聴いているだけで、自分まで心が美しくなっていくような感覚になる。
⑤syudou/命綱
でもアナタが望むのなら
金 夢 今 この人生
差し出してしまうの 分かるでしょ?
ねぇ今だけ忘れさせて 生きる苦しみを
神や悪魔も上回るような
アナタにもたれて生きるのさ
そう腐り切ったこの時刻に 垂れる蜘蛛の糸
要はアナタは命綱
でもアタシの首をも締めている
不意に思い出す 出会ったあの日を
確かにアナタに救われた
そしてもう1つ確かな事があった
アタシは狡猾で若かった
この曲も、「あなたのためなら何でも差し出せる」という、究極の愛だ。
アナタはアタシにとって、“命綱”のような存在。
アナタに縋りつき、囚われながら生きている。
“アナタ”は、
自分の“命”を救ってくれる存在でありつつ、
自分の首を絞める、苦しめ続ける存在でもある。
しかし、苦しめられたとしても、“アタシ”は、“アナタ”に縋って生きていく他はない。
過去に自分を救ってくれた“光”だからこそ、永遠に信じ続けてしまう。
“アナタ”の存在は、麻薬のようなもの。
一時的な苦しみは、一瞬で忘れさせてくれる。
しかし長期的に見ると、依存性によって身体が蝕まれ、苦しみ続けることになる。
この曲は、これまでに紹介した曲のように「盲目的にアナタを信じ続ける信者」でなく、
どちらかというと、
自分を俯瞰して見て、過去の過ちも、自分が地獄に堕ちていくのもすべて分かりきった上で、
それでもいい。アタシはそれを選び続ける。
といった、諦めと覚悟が混ざり合った曲のように感じる。
⑥神はサイコロを振らない×キタニタツヤ/愛のけだもの
説き伏せて、愛で満たして、従わせて
「手枷」という烙印で
あなたなしでもう息もできぬほど
二度と戻れないように
純情だった恋物語の
正体は猿芝居で
台本通り役を演じれば哀しくなんてないよ
これも演技です
ただ求め合って、奪い合って、
ただれてしまった
それは確かに愛だったんだ
歪んでしまっても、色を失っても
それにまだ縋ってる
私は、愛のけだものだよ
この曲は、“歪んでしまった愛”を描いている。元々は、“私”から“あなた”に対する、純粋で綺麗な愛のはずだった。
それなのに今では、美しかった頃の輝きを失い、“あなた”によってドロドロに汚されてしまった。
ただ求め合うだけの、“けだもの”のような2人。
お互いに求め合い、蝕み合い、一緒に堕ちていく。
“共依存”の関係性。
しかし“私”の中には、まだ純粋だった頃の想いがそのまま残っている。
残っている恋心も、痛みも辛さも虚しさも全部、隠し切って、自分を偽って
まるでそんなものなんて存在しないかのように振る舞う。
その上でやっと成立する、あまりにも儚くて脆い関係性。
この曲の“私”は、自分が堕ちていくのも、この結末がバッドエンドであるということも、全てを悟っている。
それでも、“あなた”からは逃れられない。
その事実を受け入れ、諦める他に、もう選択肢は残されていない。
しかし、形が変わっても、バッドエンドになろうとも、「美しい“愛”が存在していた」という事実は変わらない。
せめてそのことだけでも、認めてあげたい。
私は個人的に、「汚れてしまった」と表現されているこの“愛”を、むしろ美しいもののように感じた。
純粋で綺麗だったものが、汚れや醜さ、毒々しさを纏い、何色なのかもわからない色へと変化していく。
その過程も含めた上で、“美しい”と感じた。
また、個人的に、この曲のジャケットのデザインもすごく好きだ。曲の内容と合いすぎていて、まさに“解釈一致”という感じだ。
お互いに依存し合い、蝕み合い、離れられなくなった2人。
“一心同体”となった2人は、無理矢理引き裂こうとすると、お互いに壊れ、形すらも失ってしまう。
今回は、“危険な恋” についての楽曲を紹介していった。
世間一般的には悪いイメージが強く、「やめておいた方が良い」と言われてしまうような、“危険な恋”。
しかし、その恋の表層だけではなく、奥深い部分まで読み解くと、そこには、
・真実の愛
・まっすぐで誠実な想い
・揺らぐことのない強い覚悟
・切なくて尊くて痛くて美しい感情
が、存在している。
これらの「危険な恋」に、共感できる人はもちろん、共感できない人であっても、
心を動かされ、締め付けられるような感覚を味わえると思う。
今回の紹介文を読んだ上で、ぜひ「危険な恋」に関する楽曲を聴いてみてほしい。
そして、「危険な恋」をしている人たちが、彼らにとっての“幸せ”を、守り続けられるように願っている。
次回以降は、「恋愛」以外のジャンルのプレイリストを紹介していく予定です。
そちらも引き続き見ていただけると嬉しいです!
