暇人の祈り [エッセイ]
散歩の途中で、修理中の横断歩道をながめた。
これを、修理してくれている人がいるんだな。
その人が働いてるから、気が付かないうちに治り、安全に通れている。
足元のアスファルトを見た。
これも、舗装してくれた人が、確実にいる。
それぞれの仕事の結果の上に、私は、いま、立っている。
みんなちゃんとお給料もらえてるんだろうか。
アスファルトは石油だから……産地からはるばる何日かけてやってくるんだろうな。
あ、これって……。
量子論ってこんなのだった気がする。
まず気づく。
さっきの横断歩道の修理みたいに。
そこから観測をすると、それまで広がっていた波のようなつぶつぶが、ひとつの粒子に確定されるらしい。
それまでは同時存在、つまり分身の術なのだ、と聞いた。
それが本当なら、勇気百倍。
私が、気が付くだけで、なにかの役に立ってたり……するといいのに。
年のせいか、こういうことを、ふと思いついたり、涙ぐんでみたり。
目に見える物のもう一つ奥をちょっと、めくってみて、ありがとう、とお礼を言うことがある。
結局、しばらくしたら、一瞬の感謝なんか忘れて、目の前の問題にかまけ、不平不満に変わるけど。
たったいま晩ご飯を作る、考えるのが無性に面倒くさいだとか。
寂しいときに、家の外から聞こえる車の音に、耳を澄ますことがある。
たまに網戸越しに灯る、ランプを眺めながら。
不審者だと思われないよう、カーテンの影から、そっと。
音が聞こえ、ランプが見えるのは、ハンドルを握っている人が生きている証拠。
朝早く、夜遅く、日中、夕方……聞くと一日中、絶え間なく誰かは走ってる。
運転する人がこの瞬間、たった今、懸命に生きている。
道中無事で、と思わず手を合わせる。
自分も命の限りを、きちんと使おうと思う。
本気でしんどいときには、逃げも大事だけど。
ひょっとして、とんでもないところに、見物に来たんじゃないかしらん。
ただ、有るがままの、空き地の土、雑草、草木、生き物たち、目に見えないウイルス、微生物。
自然環境にあわせて育ち、餌となり、種となり、花が咲き、枯れて肥となり、土に還る。
お釈迦様が、たしか悉有仏性かなにかって言ってたんだっけ。
仏様たちも、みっちみちで、すぐ、そばにいる、ってこと?
寂しいって言っても、こうして見方を変えたら、えらくにぎやかなんだろう。
よほど暇なんだなあ、自分。
お腹が空いた。
やっぱり今日は昨夜の残りの、カレーにしよう。
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当該作品は実体験ベース、フィクション込みのエッセイとなっております。
全体構成チェック・誤字脱字二重記載揺れ等点検 Gemini&ChatGpt&Claude
タイトル、本文、全て当人記載、修正例、単語に至るまでAIには書かせておりません。
