本物を聴いた! NO NAME HORSES
第九の本番前の休憩中に話したこと。
ヴァイオリンで音高に通っている娘さんを持つ方に「今日は娘さん聴きに来るの?」と聞くと「ううん、ヴァイオリン弾いてるのにオケとか全然興味がないみたいで…行かないって言われた(笑)」と言う。でもね、と続けて「この前チェコフィル公演の学生ご招待券が当たって行ったら、すごく良かったって帰ってきたの。やっぱり本物は分かるんやねぇ」と。
NO NAME HORSES
我が家も子どもたちに本物を観たり聴いたりする体験させることを心がけている。音楽に限らず。美術館にも一緒に行く。コンサートホールに子どもたちを連れて行くことも多い。主にお世話になっている先生や知り合いが出演するクラシックの演奏会に足を運ぶことが多いのだが、先日は小曽根真さんのNO NAME HORSESを長女と長男を連れて聴きに行ってきた。夫は仕事終わりが間に合わなそさそうだったので別行動。
実は私もビッグバンドを生で観るのは初めてだ。高校生になって吹奏楽でパーカッションを始めた長男に聴かせたくてチケットを取った。
コメント付きの席でも…
開演すると客電が落ち、ステージの明かりもスーっと落ちる。リズムセクションにピンスポがあたり、はじめにベースが音を出し始めた。続けてドラムス。スウィングのリズムが混ざり合うと小曽根さんが客席から登場してピアノの演奏が始まる。すると私たちが座っていた席の通路後ろ…トランペットを持ったエリック・ミヤシロが暗がりから現れてタイミングを伺っている!!!!
「シーッ」というジェスチャーを周りの人にしたかと思うとエリックにピンスポがあたり彼の代名詞とも言えるハイトーンがすぐ隣で!!!エリック・ミヤシロの音を聴きたかった私はもう大興奮である。テレビで見たことある人、という認識の長男と長女も大興奮!反対側のバルコニーには松井秀太郎くんが!ホールに2人のトランペットの会話が鳴り響く。
この日の私たちの席はバルコニー席。席としては「手すりが邪魔でステージが見にくい」とマイナスコメント付きの席だったものの、エリックが隣に現れて間近でその音を聴けたことで完全にプラチナ席になった。
小曽根さんはトーク中に「ホンマ、知らん曲ばっかり聞かされてねぇ(笑)」とお話されていたが、むしろ彼らが作りたいビッグバンドサウンドが聴けて大満足だ。知らん曲ばっかりやけど全部カッコよかったから!照明も曲ごとに演出されていて舞台芸術に興味がある長女もご満悦だった。
帰り道、子どもたちに感想を聞くと「立ち上がって体中でリズム取りたくなったわぁ」と長女。「ドラムスめっちゃ勉強になりました。バリサクめちゃカッコよかった〜!」と長男。普段学校の先生の指揮のもとで吹奏楽をする長男にとって指揮者がいないバンドでここまでアンサンブルができることも驚愕だったらしい。
そして帰り道の会話で発覚したこと。数日前から長男がSpotifyでNO NAME HORSESを聴いて予習していた!セットリストは始まらないとわからないことになっていたので学校の行き帰りに手当り次第聴いていたという。Day 1やMy Wiener Schnitzelが演奏されると、「これ聴いたやつ!」とひとり興奮していたらしい。
小曽根真は凄い
しかし彼のもとに集まったNO NAME HORSESメンバーも凄腕揃い。それぞれがソロを担えるし作曲もできる。中川英二郎さんのトロンボーン2本が大活躍する曲もめちゃめちゃカッコよかった♡エリックの小芝居もイケてた(笑)秀太郎くんのトランペットを最後に堪能できて満足!同じ楽器でもプレイヤーによってそれぞれの持ち味があってそれもまたジャズらしくて良かった。
ドラムスは案の定バンドの要だった。スティック、ブラシ、マレットを駆使して技のデパートかと思えるほどの演奏。ドラムスは普段の仕事ではあまりご縁がないので音楽の核となってリズムを繰り出しテンポを支配する様に私も釘付けになった。何より目を輝かせてステージに魅入る長男の姿が見られて嬉しかった。4歳でチェロを持たせて色々と教えてきたけれど、高校生になって積極的に音楽を始めた長男。中学生の時はバスケ少年だった彼の心に何か刻まれていれば良いなぁ。
(親の背中を見て音楽嫌いにならなくて良かった…同じ音楽を聴いて感想を言い合えるようになって母は嬉しいよ…)
次の日、わたしも余韻に浸ろうとSpotifyでNO NAME HORSESの作品を聴いた。でも…昨日聴いたのと同じ曲だけれど違うなぁ…
録音は整いすぎているかも。
やっぱりライブだな。
息づかい、会場の熱気、その時の空気が音楽を作っている。自分が日ごろ携わるクラシックの演奏会もまた然りだなぁと。録音作品もいいけれど、楽器から出る音を直に浴びる体験は何物にも代えがたい。奏者とお客様が一体になるあの時間は足を運ばないと味わうことができない。
音楽は生きている。改めて実感したNO NAME HORSESの公演だった。
