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女風で初めてのお客様を迎えた日、実は私もずっと緊張していた

「プロなんだから緊張しないでしょ」と思うかもしれません。

でも、初めてのお客様を迎えた日、手のひらがずっと湿っていたのは私のほうでした。

声が半音高くなって、沈黙が怖くてしゃべりすぎて。

2年半経った今も、初回は毎回緊張する。その本音を書きます。

手のひらが湿っていたのは、私のほうだった

セラピストとして初めてお客様を迎えた日のことを、今でも覚えています。

待ち合わせの場所に向かう電車の中で、何度もスマホを確認した。

LINEのやりとりを読み返して、

「この人はこういうことが不安だと言っていた」
「ここは触れないほうがいい」

と頭の中で反芻して、それでも足りない気がして、もう一回読み返す。

あの日の私の手のひらは、ずっと湿っていました。

改札を出て待ち合わせの場所に立ったとき、自分の心拍数が上がっているのがわかった。

お客様がこちらに気づいて歩いてきたとき、私は笑えていたんだろうか。正直、自信がない。

「プロなんだから緊張しないでしょ」と思うかもしれません。

でも、あの日の私はプロと呼べるようなものではなかったし、2年半経った今でも、初めてのお客様を迎えるときは毎回緊張しています。

毎回です。回数を重ねても、これは変わらなかった。

声が半音高かった最初の15分

初めてのお客様と最初に交わした会話を、断片的に覚えています。

  • 自分の声が普段より少し高くなっていたこと。

  • 相手が何か言ったあとの「間」がうまく取れなくて、すぐに次の話題を出してしまったこと。

  • 沈黙が怖くて、しゃべりすぎたこと。

あとから振り返ると、私がやったのは「場を盛り上げようとすること」で、それは私が最も苦手なことだったはずなのに、緊張するとなぜかそっちに引っ張られる。

ふだんの私は、盛り上げるより呼吸を合わせるタイプの人間です。

内気な人が得意だという話を別の記事で書いたことがあるんですが、それは本心で、私自身が内向的だから静かな人の「間」がわかる。

でもあの日は、自分の内向性がどこかに行ってしまっていた。

緊張は、人を別人にする。

これはお客様側の話だけじゃなくて、セラピスト側にも起きることです。

15分を過ぎたあたりで起きたこと

最初の15分くらいが過ぎて、お客様がぽつりと「思ったより普通の人で安心しました」と言ってくれた。

その一言で、自分の肩が少し下がったのを覚えています。

面白い話なんですが、私が安心したのはお客様の言葉の「内容」ではなくて、お客様が言葉を発してくれたという「事実」のほうだったと思う。

そこまで、ほとんど私が一方的にしゃべっていた。

お客様は頷いてはくれていたけれど、自分から言葉を出す余裕はなかったんだろうと思います。

だから「思ったより普通の人で安心しました」が出たとき、ああ、この人がやっと呼吸を始めてくれた、と感じた。

そこからは少しだけ、いつもの自分に戻れた気がします。少しだけ。

うまくいかなかった部分を、今でも覚えている

初めての接客がどうだったかと聞かれたら、「うまくいった」とは言えません。

  • 時間の配分がおかしかった。

  • 前半に詰め込みすぎた。

  • 後半が駆け足になった。

お客様の表情を読むのに必死で、自分の動作がぎこちなくなっていた場面がある。

会話の中で、お客様が少し言い淀んだ瞬間があって、私はそれを「疲れたのかな」と解釈したけれど、あとから考えると、たぶん何か伝えたいことがあったのに、私が話題を変えてしまったんだと思う。

あれは失敗だった。

初回のお客様を迎えるたびに、この種の「取りこぼし」が起きる。

2年半で相当減ったとは思いますが、ゼロにはならない。

ゼロにならないということを知ったのも、最初の何人かのお客様が教えてくれたことです。

完璧にはできない。でも、完璧じゃないことを知っている人間のほうが、たぶん目の前の人を丁寧に見ようとする。

そう思いたいだけかもしれませんが。

[お客様の前で頭が真っ白になった日のこと](※記事No.41)も、いつか書こうと思っています。失敗の話は、書いておくべきだと思うので。

お客様が怖いのと同じように

「変なセラピストだったらどうしよう」と思う夜のことを書いた記事があります。

あの記事は、お客様の側の不安について書いたものでした。

でも、あの不安の構造は、実はセラピスト側にもある。

「お客様がどんな人かわからない」
「自分のやり方が合わなかったらどうしよう」
「沈黙が続いたとき、どうすればいいかわからなくなるかもしれない」

初めてのお客様を迎えるたびに、こういう考えが頭をよぎります。

私のお客様のうち、初回の方が占める割合は全体の約3割です。

つまり月に数回しか稼働しない私でも、毎月のように「初めまして」がある。慣れるかと言われると、慣れない。

ただ、「慣れない」と「準備しない」は違うと思っていて。

緊張するのは変わらないけれど、緊張したままでも動ける準備はできる。

LINEでのやりとりを丁寧にやっておくこと、当日の流れを頭の中でシミュレーションしておくこと、相手が言った小さな一言を覚えておくこと。

初めてのお客様を迎えた日から2年半が経って、私が一番変わったのは「緊張しなくなった」ことではなく、「緊張したまま、それでも相手を見ることができるようになった」ことかもしれません。

そのきっかけをくれたのは、あの日のお客様です。

「思ったより普通の人で安心しました」のあと、帰り際にもう一言、「緊張してたのは私だけじゃなかったみたいで、ちょっとホッとしました」と言ってくれた。

私の緊張は、バレていた。

でも、それが悪いことではなかったらしい。

初めて来る人にとって、目の前のセラピストが完璧に落ち着いているよりも、少し緊張しているほうが安心できることもある。

そういうものなのかもしれないな、と思いました。

今でも、初めてのお客様を迎える日は手のひらが湿ります。

それはたぶん、これからも変わらない。

変わらなくていい、と今は思っています。


ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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