心と言葉の日本語文法(40)外国人への日本語教授のための「日本語文法」の発展
(↑のつづき)
1970年代ごろになると、明治以降の伝統の流れをくむ学校国文法の矛盾点を指摘する声が徐々に高まってきた。
その中心のひとつとなったのは、日本語ノンネイティブ、すなわちいわゆる「外人」に日本語を教える人々つまり日本語教師たちであった。
日本語教師にとっては、従来の国文法を使っていては日本語ノンネイティブへの日本語教育がうまくいかないという差し迫った問題があったからである。
こうした状況から、新しいかたちの日本語の文法が「官」(国家)とは離れたところで構築されていくようになった。
このようにして構築された文法体系は、従来の官制の文法が「学校国文法」と呼ばれるのに対して、ただ「日本語文法」と呼ばれている[1]。
日本語の文法の現在
現在、日本語の文法は、一般社会のなかでどのようにとり扱われているのだろうか。
じつは、学校国文法と日本語文法とが学校教育の現場と日本語教育の現場とでうまく棲み分けているという状態である。
小中学校などでは、いまもなお学校国文法が教えられている。
皆さんも学校でこの国文法の体系を教わってきたはずである。
それに対して、日本語ノンネイティブ向けの日本語教育の現場では、おもに日本語文法が用いられている。
こうして日本の近代化の礎となった国文法と、日本語ノンネイティブへの言語教育的なニーズから生まれた日本語文法という2つの日本語文法が並存するという、少し不可思議な事態が生じ、それがいまもなお続いている。
なお、私(成瀬)がつくった「心と言葉の日本語文法」は、「国文法」と「日本語文法」のどちらでもない。
敢えていうならば「国文法」と「日本語文法」のハイブリッド形であり進化形ではあるものの、「日本語三脚言語論」という、これまでの「文法」とは根本的に異なる発想から出発しているものである。
[1] こうした捉え方が事態をきわめて単純化したものであることは指摘しておかなければならない。実際には国文法と日本語文法のあいだで重なり合う部分も大きい。
しかし一方で主語や活用といったきわめて重要な部分での食い違いもみられる。こうした違いはやはり見逃すことはできない。
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