日本語は四拍子、英語は三拍子(1)――「三三七拍子」、じつは「四四八拍子」
(2010.7.5執筆)
「三三七拍子」と呼ばれるリズムがある。
学校の運動会の応援などで、よく使われるものだ。
まず、鉢巻きを締めたリーダーが
「これから三三七拍子で、応援をおこないたいと思います!」
などという。
それから
リーダーが打ち振る扇子にあわせて、みんなで手をたたく。
リズムは以下のとおりだ。
そーれ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
「ちゃっ」が3つ、3つ、7つとあるので、「三三七拍子」というわけだ。
だが、これは本当は「四四八拍子」なのである。
なぜなら、各行の最後には、一拍分の休止があるからだ。
つまり、こうだ。
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、●
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、●
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、●
これと同様のことが、短歌や俳句にもあてはまる。
ただし短歌や俳句では、七のうしろに●と一拍、五のうしろに●●●と三拍の休止がある(一拍の意見もあるようだが、いずれにしても偶数になることに変わりはない)。
したがって、短歌のリズムは「五七五七七」ではなく「八八八八八」であり、俳句は「五七五」ではなく「八八八」だと考えられる。
なお詳しくは、この文章の種本である『日本語のリズム――四拍子文化論』(別宮貞徳、ちくま学芸文庫)を参照されたい。
あまのはら●●●
ふりさけみれば●
かすがなる●●●
みかさのやまに●
いでしつきかも●
(阿倍仲麻呂)
ふるいけや●●●
かわずとびこむ●
みずのおと●●●
(松尾芭蕉)
もうひとつ、例をみてみよう。
英語の長い単語を日本語のカタカナ略語にすると、その多くは四拍になる。
リストラ、ハイテク、インフラ、イントロ、シンクロ、インフレ、
(ただし例外も多い[レトロ、デフレ、他])
さらに例をあげる。
日本の子供向けの歌を(上述の別宮貞徳が)調べたところ、約180曲のなかで三拍子のものはわずか15曲にすぎず、その他のものは二拍子、四拍子だったという(『日本語のリズム――四拍子文化論』(別宮貞徳、ちくま学芸文庫、p.201))。
盆本踊り歌や民謡も、やはり四拍子のものがほとんどである。
このように、
日本語は基本的に二拍子、四拍子の言語なのである。
したがって日本語を母語とする私たちには、二拍、四拍のリズムが骨の髄にまで染み込んでいる。
((2)につづく)
☆☆☆
☆☆☆
「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1000本を超えています。
いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。
