見出し画像

「心と言葉のグローバル日英作文」(8)手順1:日本語元原稿の準備(2)

(↑のつづき)

手順2:日本語での原子命題表現の作成

下ごしらえの実施(続き)

2)トピックマーカー「は」の削除

日本語の「は」は、「対事的モダリティ」(トピック提示)の表現です[1]。

その多くが、格表示表現である「が」「を」「に」「の」「で」を兼務しています。(この点については「心と言葉の日本語文法」を参照してください)

モダリティ要素を削除するという方針に従って、「は」についても、この段階で削除して、もとの「が」「を」「に」「の」「で」に戻しておきます。

たとえば、

「京都は寺や神社が多い」

の場合には「は」が「に」を兼務しているので

「京都に寺や神社が多い(こと)」

と変えます。

なお、最後に(こと)をつけるのは、「は」を削除すると自然言語としての日本語表現としては不自然なものになるので、これが自然言語表現でなく命題表現であることを示すためです。

☆☆☆

3)別の構文への転換

ある命題を表現できる構文は、ひとつだけではありません。

日本語の基本構文には、述部タイプ別に
「~である」構文、
「~する」構文、
「~ある/いる」構文、
「~い」構文

などがあります[2]。

ひとつの命題は、これらの構文でそれぞれ表現することができます。

たとえば、

「京都は寺や神社多い」

という「~い」構文の場合、

「京都には寺や神社が数多くある」

という「~ある」構文、あるいは

「京都が数多くの寺を持つ」

という「~する」構文でも、同じ原子命題が表現できます。

☆☆☆

4)別の表現への言い換え:

ある命題に対する表現は、ひとつだけではありません。

さまざまな言語表現で言い換えができます。

たとえば、

「牛は草食性である」

「牛は草だけを食べる」

と言い換えられます。

☆☆☆

こうしたさまざまな日本語の処理がうまくできるかどうかが、じつは適切な英文がつくれるかどうかを決める最大の要素です。すなわち、

日英作文の出来を決める最大の要素は、英語の知識と運用力ではなく、日本語の知識と運用力のほうだということです。



[1] 「は」に関する詳しい説明は「心と言葉の日本語文法」をみてください。
[2] 外国人に教えるための日本語文法では「名詞+だ」構文、動詞構文、イ形容詞構文などと呼ばれています。

(つづきは↓)

☆☆☆

☆☆☆

「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1500本を超えています。

いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。

いいなと思ったら応援しよう!