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【展覧会レポ】東京都写真美術館「TOPコレクション 不易流行」「鷹野隆大 カスババ ーこの日常を生きのびるためにー」

【約3,900文字、写真約35枚】
東京都写真美術館(以下、TOP)で「TOPコレクション 不易流行」「鷹野隆大 カスババ ーこの日常を生きのびるためにー」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎ 結論

コレクション展は、TOPの学芸員5名がそれぞれの切り口で、約200点の作品をキュレーションしているため、見応えがありました。お気に入りの写真が見つかるかもしれません。鷹野隆大の展覧会は、ピンとくるものはあまりありませんでした。TOPは総合開館30周年!今後も期待しております。

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:①「総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行」②「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ーこの日常を生きのびるためにー」
場所:東京都写真美術館
会期:①2025.4.5(土)—6.22(日)②2025.2.27(木)—6.8(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間: 10時00分~18時00分
住所:東京都目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内
アクセス:恵比寿駅から徒歩約10分
入場料(一般):①②ともに700円
事前予約:不要
展覧所要時間:それぞれ約30分
撮影:ほぼ全て可能
URL:①https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5069.html ②https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4826.html 


恵比寿スカイウォーク

約半年ぶりにTOPへ訪問しました。この日は子供と出かけたため、サクサクと鑑賞しました。

▼ 前回、TOPへ訪問した2つの展覧会

この日の最高気温は約15度。やっと桜が咲き始めて、半袖を着ている人もいれば、スプリングコートを着ている人もいました。やはりお出かけするには4月以降が気持ちいいです。

ビール坂の桜並木
ガーデンプレイスに到着
いざ、展覧会へ

▶︎ 「総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行」感想

チケット

本展は、学芸員5名の共同企画によるオムニバス形式です。(略)「不易流行」の心を大切に、本展は過去の芸術表現を深く理解し、その魅力を今に伝えていくとともに、現在の表現や時代の潮流にもしっかりと目を向けようとするものです。

公式サイトより

TOPは、2025年で総合開館30周年。「総合」と枕詞がある理由は、1990年にライブハウスの建物(現在の場所から約300m離れた場所)を利用して、一時的に開館していたためです。

写真スポット

不易流行」とは、松尾芭蕉が俳句を作る際の心構えです。意味は「変わらないものを知らなくては基本が成立せず、流行を知らなくては新しい風は起こらない」。TOPは英語で「Continuity and Change」と訳しています。

これはピカソでも(アートに限らず)何でも言えますと思います。それらのアートを見た人は「こんなんワシでも描けるやん」とよく言います。しかし、そのベースには、基礎・基本をしっかり修練した経験があります。

翻って、美術館運営では「コンセプト」「基本方針」が重要です。どのような考えをもとに運営していくのか、その土台があった上で、コレクション展や企画展が催されます。TOPでは、基本方針を守りつつ、時代の変化に合わせて、さまざまな企画展、見せ方の工夫を行なっていると感じます。

▼ TOPの工夫を感じたコレクション展

今回のコレクション展は、5人の学芸員によって、5つにセクション分けされています。学芸員それぞれの方の「スキ」が見えて興味深かったです。作品数は全部で200以上。「気になる写真はあるかな」という軽い気持ちで鑑賞しました。

以下、心に留まった写真のみの紹介です。

1)「 写された女性たち 初期写真を中心に」(企画:佐藤真実子)

オノデラユキ《古着のポートレート》
ポール・ストランド《ブラインド・ウーマン》
アウグスト・ザンダー 《母と娘、農民の妻と鉱夫の妻》《若い母親、中産階級》

2)「 寄り添う」(企画:大﨑千野)

山元 彩香《Untitled #168, Hokkaido, Japan》
石内都 《mother's #38》
展覧会の様子
片山真理 《子供の足の私》

3)「 移動の時代」(企画:室井萌々)

林忠彦 《引き揚げ(上野駅)》

この展覧会で最も印象に残った写真でした。戦争といえば、藤田嗣治の絵画のように、苦悶の表情で殺し合いに邁進するイメージがあります。戦後は、玉音放送を聞いて、敗戦に打ちひしがれる印象がありました。

しかし、終戦後、海外から日本へ帰還した「引き揚げ」の写真では、それらのイメージと正反対の表情が見えました。今で言えば、何かの打ち上げで、スマホを掲げて「撮るで〜」「ウェ〜イ」と言った時のような表情です。

写真1枚で、当時の情勢だけでなく、被写体の真の感情まで映し出したステキな作品だと思いました。

4)「 写真からきこえる音」(企画:山﨑香穂)

ロベール・ドアノー《音楽好きの肉屋、パリ》

こちらのセクションは切り口がステキでした。

写真に捉えられた空間には、たしかに存在していたにもかかわらず、写真として切り取られることでこぼれ落ちた情報である「音」。この「音」を意識しながら写真を見ることは、そこにあったはずの「音」という現象を捉えなおす契機となるでしょう。

公式サイトより

写真は、視覚をもとにした芸術です。しかし、そこに聴覚をもとにする「音」は保存できません。それでも、写真で「音」を彷彿とさせることができます。このように、現代アートのような切り口が上手いな、と思いました。

ドアノーの写真を見ると、演奏している人、聞いている人の表情や仕草から、どのような音楽が流れているのか、想像すると楽しい気持ちになります。みんなちょっと険しい顔なので、そこまで上手な演奏ではないのかもしれません(苦笑。

ヴァルター・ペーターハンス 《楽譜》
秋山亮二 《映らないテレビ》

5)「 うつろい/昭和から平成へ」(企画:石田哲朗)

潮田登久子 《東京都世田谷区》ほか

▼ 潮田登久子の展覧会@横浜市民ギャラリーあざみ野

澤田知子 《ID400 (#1-100)》

▶︎ 「総合開館30周年記念 鷹野隆大たかの りゅうだい カスババ ーこの日常を生きのびるためにー」感想

後ろでは鷹野隆大のサイン会が開催中

カスババ〉とは鷹野による造語で、カスのような場所(バ)の複数形です。(略)鷹野は美しいものだけではない現実を受け入れ、弱いものもみにくいものもそのまま、むき出しのイメージを見る者へ提示します。私たちは、身近でありながら目を凝らして見ることのない、自身が生きる日常の豊かさと混乱を、鷹野の作品を通しあらためて目にするでしょう。

公式サイトより

会場内にキャプションはありませんでした。作品の展示方法もさまざまだったため、少し不思議な空間に感じました(鷹野隆大曰く、「都市」をイメージしたとのこと)。また、いつもは出口になっている自動ドアから入ったことも、ちょっとした違和感でした。

展覧会の様子

中にはモロに性的な写真が1枚展示されていました。子供と展覧会に行く際は、少し注意が必要です。

展覧会の様子

会場内にはベンチがたくさんあって良かったです。(毎回、私は愚痴をこぼしていますが)心地よく鑑賞するために、会場内には、たくさんイスを置いてもらえると嬉しいです。

会場では、あまり感じるところがなかったです(そのため、写真も少なめ)。しかし帰宅後、改めて調べたところ、共感する部分がありました。

どうしようもなく退屈な場所が至る所にあって、なるべく見ないようにしてきたんですが、ある時、最も身近なものを自分は無き者にしとうとしているのではないかと思いました。それは存在するものを存在しないかのように扱う暴力的な行為ではないかと。だったら、それに向き合ってみなければ、と思い直して撮り始めたのがきっかけです。”

TOPマガジン『eyes』より

私の信条は「アートは日常の至るところに転がっている」です。普通に生活していると気づかないような場所にも面白いものはたくさんあります。そのため、私は「日常系写真」を見るのが好きです。

また、私は東京生まれではありません。故郷に帰ると、電車、家の近所、都会など、どこでも人と人の間にある壁の薄さに気づきます。そのため、東京では「見て見ぬふり」度は高いと感じます。

身近にもかかわらず「見て見ぬふり」することを、鷹野隆大は「暴力的な行為」と言います。そんな「見て見ぬふり」された光景を撮り、新しい発見を示すことには価値があるのかもしれません。

また、鷹野隆大は「何のモチベーションもわかないものに向けてシャッターを切るのは正直いって苦痛でした」と述べています。私は日常にある、誰かが見過ごしそうなステキな瞬間は撮りたいと思いますが、苦痛を感じながら写真を撮ろうとは思いません。その点が、鷹野隆大が写真家である所以の一つなのかな、と思いました。

▼ 参考)鷹野隆大インタビュー

▶︎ まとめ

買ったキーチェーン(880円…た、高い)

いかがだったでしょうか?特に、コレクション展はさまざまなジャンルから200点以上の写真を見ることができるため、自分のお気に入りの写真が見つかるかもしれません。鷹野隆大の展覧会は、私はつかみどころがなかったです。総合開館から30年を経たTOP、今後の更なる発展を祈念しております!

▶︎ 今日の美術館飯

★3.3/3cafe (東京都/恵比寿駅) - 全粒粉スコーン 自家製クロテッドクリーム (¥520)、カフェ・オ・レ (¥720)


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