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【展覧会レポ】豊島美術館+豊島の屋外アートたち

【#283、約4,900文字、写真約50枚】
初めて豊島てしま美術館に行きました。それに加え、豊島の屋外アート、環境問題についても、感想・レビューを書きます。

▶︎ 結論

豊島美術館、屋外アートともに、非常に満足する結果となりました。内藤礼と西沢立衛による豊島美術館は、まるで教会作品数はたった1つでも、1時間ゆったり楽しめました。自転車で島内を巡りながら、自然と共に作品を鑑賞することも貴重な体験でした。アートに興味ゼロな人でも、何か感じる部分がきっとあると思います。

なお、直島に来た際は、日本でも歴史に残る環境破壊である「豊島事件」や、それを20年以上サポートしているユニクロを知り、次のアクションにつなげてほしいです。

おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★☆☆☆☆
混み具合:★★★☆☆
場所:豊島美術館
休館日:火曜日
開館時間:10:00 〜 17:00
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
アクセス:家浦港から自転車で約40分
入場料(一般):1,800円
事前予約:必須
所要時間:約1時間
撮影:美術館内は不可
巡回:ー
URL:こちら


▶︎ 訪問のきっかけ

2泊3日の香川県一人アート旅を企画しました。その中でも、豊島美術館豊島のこころ記念館がある豊島はマストで寄ろう決めていました。過去、豊島美術館の感想を山ほど周りから聞いたことに加え、豊島に関する本も複数読んだためです。

▶︎ アクセス

豊島美術館は時間を区切った完全予約制です。私は、フェリーの時間を勘案して、10時45分からの回を予約しました。

豊島美術館へは、豊島の家浦港から自転車で約40分。なお、豊島へは、高松や直島などからフェリーが出ています。私は、直島・宮浦港から9時20分発、9時42分着のフェリーを使いました。

家浦港から豊島美術館の距離は約3.5km。バスで約15分、自転車で約40分とのことでした。

私は豊島にある屋外アートも、バスの時間を気にすることなく、柔軟に巡りたかったため、自転車を借りました。なお、島の中は非常にアップダウンがあるため、脚力に自信がある人のみ自転車がオススメです(電動自転車でも、子どもやお年を召した人には不向き)。

私が自転車を借りた「Karen」

家浦港周辺にはレンタル自転車がありますが、全部売り切れ。私は港から少し離れた「Karen」で自転車を借りました。店頭に「完売」と書かれていても、借りる余裕がありました。

自転車をこいだ途中の風景
減速アピールがすごい
最近、自転車で大怪我した人がいたそうです
島内に病院はないため、必ず安全運転!
時間があれば棚田で一休み

▶︎ 豊島美術館とは?

瀬戸内海を望む豊島唐櫃からとの小高い丘に建設されるアーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛による「豊島美術館」。休耕田となっていた棚田を地元住民とともに再生させ、その広大な敷地の一角に、水滴のような形をした建物が据えられました。広さ約40×60m、最高高さ4.3mの空間に柱が1本もないコンクリート・シェル構造で、天井にある2箇所の開口部から、周囲の風、音、光を内部に直接取り込み、自然と建物が呼応する有機的な空間です。内部空間では、一日を通して「泉」が誕生します。

公式サイトより

✔️ 鹿島建設による魂の建築

オープンは2010年。館内には、内藤礼による作品《母型》のみが展示されている美術館です。特徴的な建築は、西沢立衛によるもの。施工したのは、地中美術館と同じく鹿島かじま建設。型枠の支保工ではなく、盛土そのものを支保工にする方法でつくられたそうです。

▼ 西沢立衛(SANAA)の設計による十和田市現代美術館

✔️ ショートカットしないで

まずは、受付で説明を聞きます。その後、すぐに美術館に入るのではなく、自然を感じるルートが設定されています。ここで自然の緑や海を見ながら「これはどこにつながっているんだろう?」と歩いていると、すぐに美術館の入り口が現れました。

このアプローチ自体がすでにアート体験につながっているため、ショートカットしないで歩きましょう。なお、館内に入る時は、靴を脱ぎます

✔️ 館内はまるで教会

館内に入った瞬間、急に静かで異空間。来館者は、思い思いに床に寝転がっており、瞑想館のようでした。当日の天気は曇りでしたが、本当に雨が降らなくてよかったです。

館内は、内藤礼らしい世界観が広がっていて、鑑賞する人の様子も含めて、とても写真映えしそうでした(写真撮影は不可)。ここは「美術館」というよりも「教会」に近いと思いました。

▼ 内藤礼の展覧会@神奈川県立近代美術館

瀬戸内国際芸術祭に浮き足立ってガヤガヤした人たちが、ここに入ると急に静かになります。まるでエレベーターの中に入った心理状態のようでした。

エレベーターでは「しーん」(画像引用

✔️ 好きな場所、好きな格好で

館内に入ったら、足元に気をつけて、まずは周りをじろっと見ながら一周。色んな角度から館内を楽しみましょう。そして、お気に入りの場所を見つけて、好きな格好で楽しむのがオススメです。

楽しみ方は人それぞれ。小さな声で話している人たち、あぐらで瞑想する人、体育座りをする人、寝そべる人。

私は大の字で寝転がると、とても気持ちが良かったです。目の前には白の世界が広がり、そこにぽっかり2つの穴が空いています。それをじーっと見ていると、風と音を感じます。座る場所によって、感じ方も変わるため、色んな場所に座ってみてください。

✔️ ジェームズ・タレル+侘び寂び=内藤礼

長い時間鑑賞していると、戦争も平和もない、精神と時の部屋にいるような気持ちになってきます。まるで和製ジェームズ・タレルのような世界観でした。タレルに侘び寂び成分を入れると内藤礼になるようです。

✔️ 作品は《母型》のみ

館内の床には、直径約2mmの小さな穴が186カ所あります。そこから、不規則にポツポツと水が出る仕組みです。その水が1日をかけて泉になる、これが《母型》という作品です。この水がコロコロ動いて、紐のような形に収斂され、形を変えながら流れていく様子が、実に興味深かったです。まるでミミズのように見えました。

水はジャボジャボも出ないし、少なすぎもしないし、絶妙にコントロールされています。そこに同じ形の水滴は1つもありません。いつ見ても違う世界がそこにありました。座る場所を決める際、水が出る穴の近くが楽しいと思います。心地よい空間に加え、水の流れを眺めていると、いつまでも居着いてしまいそうでした。

地面を水が通った後の床は、全く濡れていないのが不思議でした。どういった特別なコーティングがされているのでしょうか?微妙な傾斜の屋根もすごいですが、絶妙な床の傾斜をつくったのもすごい、と思いました。

✔️ 空間1つで、1時間楽しめる

館内には、2つの穴が空いた天井、水が出る床、垂れ下がった紐しかありません。それなのに、これだけ感想が出るのは、アートの奥深さ、面白さだと思いました。

ここは、まさに内藤礼が普段どのように世界を見えているのかわかる、内藤礼の頭の中を作品にしたような美術館でした。

普段美術館に行かない人、行っても感想が出ない人にとっても、豊島美術館では「アートとは何か」体と心で感じることができると思います。「美術館なんでつまらない」と駄々をこねそうな子どもも、この空間ではボケーっと、時が過ぎるのを楽しんでいるように見えました。

私は、思いに耽ながら、約1時間楽しみました。他の来館者は、黙って何を考えながらこの空間を楽しんでいるのかな?と思いを馳せました。

小さいドームは、カフェ、ミュージアムショップ
ここは撮影可能
西沢立衛の設計による「豊島美術館オリジナルスツール」(約12万円

▶︎ 豊島の屋外アートたち

⭕️:私が訪れた屋外作品

豊島には約15の屋外アートが設置されています(有料の作品も含む)。私は無料の作品を中心に回りました。自転車で島内を自由に巡るのは、探検気分で楽しかったです。

✔️ 豊島美術館付近

青木野枝《空の粒子/唐櫃》
自然に溶け込んでいて、1回素通りしてしまった
安部良《島キッチン》
レストランの定食は1,760円とお高め。
私は時間優先のため入らず
ピピロッティ・リスト《あなたの最初の色》
私は入らず(有料)

豊島美術館から、長くて急な下り坂の先にある唐櫃漁港(歩いていくのはオススメしない)。ここにも有名な作品が設置してあります。

これは、ただのカーブミラー
イオベット&ポンズ《勝者はいない マルチ・バスケットボール》
/ シュート! \
オリーブ園を横目に、次の甲生漁港をめざす
人に動じない直島の猫

✔️ 甲生こう漁港付近

リン・シュンロン《国境を越えて・祈り》
胸には距離

今年、新しく設置された作品です。子どもたちの像は全部で197体。これはそれぞれの首都の方角を向き、距離、経度・緯度が記載されています。この安らかな顔は、世界の愛と平和を表現しているそうです。

私はてっきり、この安らかな顔が、紛争などで被災して亡くなった子どもたちを暗示していると思いました😅

背中には所在地
ヘザー・B・スワン+ノンダ・カサリディス《海を夢見る人々の場所》
今年の公式ガイドブックの表紙になっている作品

▶︎ 自然破壊の歴史

豊島には、産業廃棄物が埋め立てられ、業者と行政がグルになることで、長い期間裁判をした「豊島事件」があります。

▼ 豊島の過去がよくわかる本

今まで書籍などを通して、私はその事実を知っていました。しかし、現場でその展示や歴史を確認したかったため「豊島のこころ記念館」まで自転車で行きました。

途中からじゃり道になり怖かった
安藤忠雄による石碑

残念ながら「豊島のこころ記念館」は完全予約制で入れませんでした。直島・豊島をアートで復興したきっかけの1つに、産業廃棄物による自然破壊問題があります。

私の親族は、直島・豊島から帰ってきた際「楽しかった〜」という感想のみでした。環境問題についての知識を全く得て来なかったことに、私は危機感を抱きました。

アートで地方が活性化したことは、例を見ない取り組みのため、世界的に高く評価されています。しかし、それと同時に環境問題がそこにあり、2度と繰り返してはいけないことも、来場者全員に強く周知すべきだと思います。

豊島事件は、パンフレットや港の看板などで情報発信されていましたが、まだ弱いと思います。本来の目的を果たすためにも、豊島事件について、直島・豊島を訪れた人が必ず目を通す仕組みにするなど、さらに明確な意図に基づいた情報発信が必要だと痛感しました。

ユニクロ・GUでは、2001年より店頭で募金活動を行い、豊島の自然に対して、継続的にサポートしています。募金実績は、累計で4億円以上、累計植樹本数は17万本以上にのぼります(2024年12月末時点)。

ユニクロのセルフレジには募金箱が設置されています。しかし、2024年上期の決済動向調査によると、主にキャッシュレス決済を使う人の割合は65%です。実際、店頭で募金箱に小銭がたくさん入っている状況は見たことがありません。

海外のレストランで決済する際、最後の遷移ページにおいて、自分で募金やチップの金額を打ち込むことも多いです。ユニクロのレジでも、オリーブ基金の募金画面を1つ加えるだけで、啓蒙活動と、自然保護に効果があると思いますが、いかがでしょうか。

▶︎ まとめ

買ったポストカード

いかがだったでしょうか?今まで体験したことがない、新鮮な気持ちになれた豊島美術館、島内を自転車で激走しながら自然と共に楽しめた屋外アート作品。どれをとっても、豊島ならではの思い出をつくれました。豊島のためだけでも、遠方から訪問する価値は十分にあると思います。そして、環境問題にもさらに意識を向けると、より価値のある体験になると感じました。

その後、高松へ

▶︎ 今日の美術館飯

★3.4/スパーキーズ コーヒー (香川県/直島町その他) ー P (¥700)、スパーキーズブレンドコーヒー (¥500)
★3.2/オーシャンビュー琴 (香川県/直島町その他) ー メロンクリームソーダ (¥500)
★3.3/さとくら (香川県/直島町その他) ー そうめんセット (¥1,200)

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