【展覧会レポ】國學院大學博物館「江戸・東京の祝祭とおしゃれー飾る都市と人ー」
【約4,200文字、写真約55枚】
初めて國學院大學博物館に行き「江戸・東京の祝祭とおしゃれー飾る都市と人ー」などを鑑賞しました。その感想を書きます。
▶︎ 結論
無料と聞いて驚く博物館でした。随所に國學院大學の意識の高さを感じました。企画展では、現代とは違う江戸時代のおしゃれセンスが面白かったです。また、常設展だけでもじっくり見れば2時間はかかるような、十分に楽しめる構成でした。渋谷駅から歩いて行ける穴場のおすすめスポットです!
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:江戸・東京の祝祭とおしゃれ -飾る都市と人-
場所:國學院大學博物館
会期:令和7年4月26日(土)~6月22日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10時~18時
住所:東京都渋谷区東4丁目10−28
アクセス:渋谷駅から徒歩約15分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間半以上
撮影:企画展は撮影可能、常設展は一部撮影不可
巡回:ー
URL:http://museum.kokugakuin.ac.jp/special_exhibition/detail/2025_edohare.html
▶︎ 訪問のきっかけ

渋谷で用事があった際、2時間ほどつくることができたため、國學院大學博物館へ行きました。それは主に、1)今まで名前だけ聞いて気になっていた、2)無料、3)渋谷駅から歩いて行けることによります。
▶︎ アクセス

國學院大學博物館へは、渋谷駅から徒歩約15分。渋谷駅からヒカリエ方面へ、その後、六本木方面へ歩いていきます。

▶︎ 國學院大學博物館とは?



國學院大學博物館は、國學院大學渋谷キャンパス内にあります。所蔵資料は約11万点、年間5〜6回の企画展・特別展を開催しています。どれも無料で入れるのはすごい!

1928年からの経緯で、國學院大學博物館ができました。
1928年:当時の國學院大學1年生だった樋口清之が自分の収集品を寄付、「考古学陳列室」を創設(後の「考古学資料室」「考古学資料館」)。
1963年:祭祀・祭礼に関する資料を中心とする「神道学資料室」を開設(後の「神道資料展示室」「神道資料館」)。
2008年:「考古学資料館」「神道資料館」を統合し「学術資料館」となる。そこに、國學院大學の校史関係資料を加え「伝統文化リサーチセンター資料館」となる。
2013年:「國學院大學博物館」と名称を改め、今に至る。

目的は「日本文化の講究に必要な文化財を収集・保存し、学術的な研究成果を一般に公開、広く学内外の研究教育活動に資する」ことです。





▶︎ 「江戸・東京の祝祭とおしゃれー飾る都市と人ー」感想

祭りや行事の時、町には提灯や飾り付けがなされ、人々は日常とは異なる装いをし、それに参加したり、見物したりします。(略)本展示では、このような江戸・東京における飾る都市と人をテーマに、街や人が日常とは異なった華やかさや、よそいきな姿をみせる様子を神田神社や本学の所蔵資料を中心に見ていきます。

✔️ めっちゃオシャレ!

ちょうど北海道立近代美術館で、歌川国芳の浮世絵を見てきたばかり。その当時も「服装めっちゃオシャレやん」と思いました。
▼ 歌川国芳の展覧会@北海道立近代美術館

この企画展で展示されている人物も、みんな柄の違う着物を着ていてオシャレ!人生を精一杯楽しんでいることが伝わってきました。このような服装へのこだわりがあったからこそ、日本でコムデギャルソンや裏腹系のファッションが発生したと実感しました。

赤と緑のチェックパンツ!
江戸時代は、年中祭りがありました。今と比べると娯楽が少なかったことも影響しているのでしょうか。祭りがたくさんあったからこそ、ハメを外して、派手で目立つ服装が人気を博したのかな、と思いました。質素な侘び寂び文化がある一方で、派手派手な一面もあったことはちょっと不思議です。
✔️ 「美人」の概念とは

ここに描かれた女性は、当時最も美人と評された人たちだと思います。人の感性は時代によって大きく変わることが面白いです。今見ると「目ぇ細っ!黒目ちっちゃ!鼻筋長すぎへん?おちょぼ口!横顔おたふくやん」と吉本新喜劇ならツッコミを入れそうです。

もしこの時代にSNSがあって、リアルタイムに海外の世相も分かったとしたら、美の基準も大胆に変わったのかな、と妄想しました。

両手で鏡を持ってまで、ヘアスタイルに気を遣うのが笑える

当時のトレンドメイク
✔️ 英語併記に大学の矜恃を見た

会場に海外の方はいませんでした。しかし、幅広い来館者に対応するため、費用対効果を度外視して、案内のパネルからキャプションにいたるまで、丁寧に英語が併記していたことに感心しました。
英語を少し表記するだけでも、ネイティブによる校正やファクトチェックなど、時間も含めた多くのコストがかかります。それにもかかわらず、英語表記を徹底する姿勢には、学術機関の矜持を感じました。出品目録も英語版を準備する徹底ぶりでした。
▼ 外国の来館者が多いにもかかわらず、英語表記がない大倉集古館
当館は外国語による情報提供ができるよう整備を進めています。英語・中国語など多言語による案内や展示解説を充実させ、海外の方々が親しみやすい博物館を目指します。
✔️ 来館者で賑わう館内

学校が運営している博物館のため「すごくしんみりとしていて、お客さんはまばらだろう」と想像していました。ところが実際、来館者はひっきりなしでびっくり(年齢層は比較的高め)。大河ドラマ「べらぼう」からくる、浮世絵ブームの影響があるかもしれません。
✔️ キュレーションの高さにびっくり

美人画以外の展示もある
企画展は小ぶりながらも、つくりが想像以上にしっかりしていたため、驚きました(センスのあるコンセプト、適切なライティング、的を得たキャプション、丁寧な日英表記、立体物や図解も含めたメリハリの効いたキュレーションなど)。

このような図解は、当時の世相をひもとく上で大変ありがたい。
北海道立近代美術館には見習ってほしい
事前に(キュレーションが不満だった)北海道立近代美術館に行ったことも影響して、その差が鮮明に感じられました。

絵だけではなく、立体物も展示。
北海道立近代美術館には見習って…(略

…気になります!

▶︎ 常設展

博物館内には、企画展のほか、3つの常設展があります。
✔️ 神道展示室

このセクションのコンセプトは「神社祭礼に見るモノと心」。
展示はコンパクトながらも、1つ1つのクオリティが高く「見てもらう工夫」をしっかり意識していることを感じました(このエリアは撮影不可)。
そもそも「神道」とは、開祖や教祖、教典をもたず、森羅万象あらゆるものに神が宿るという思想に基づく日本の宗教を指します。神道には、教祖も創始者もいません。仏教とも全く別物のようです。
悪さをする人に対して「お天道様が見てるで」と言います。これも神道の1つ。日本人は誰でも、大なり小なり神道教徒と言えるのでしょうか。
なお、國學院大學には、日本で唯一、神職養成と神道学・宗教学の研究を専門とする神道文化学部があります。そこでは、神職資格を取得する課程が用意されています。入学する学生の3分の1は神社の家柄である社家出身。卒業後、約7割の生徒が神職・研究者の道に進むそうです。
神職資格を取得できる大学は、日本で國學院大學の神道文化学部と、皇學館大学の神道学科の2校のみとのこと。
神社界に奉職(≒就職)するためには「位階」という、神社本庁が定める資格が必要です。「神社本庁」とは、日本各地の神社を包括する日本最大の宗教法人。約8万社ある日本の神社のうち、7万9千社以上が神社本庁に加盟しています。資格が必要だったり、加盟する必要があったり、宗教界も意外と組織的なんですね。
✔️ 考古展示室

このセクションのコンセプトは「祭祀遺跡にモノと心」。これまでに蓄積した資料と研究成果を公開しています。





時代ごとの背景とともに、土器などが展示されているため、分かりやすい構成だと感じました。なかには、触れるものや、日本以外の展示物もあるなど、多種多様だったため、興味を惹かれました。








✔️ 校史展示室

このセクションのコンセプトは「國學院の学術資産に見るモノと心」。



國學院大學の始まりは、1882年、明治政府の神道政策の一環として、古典研究と神職養成の機関として皇典講究所を創立したことです。その後、立憲政治の運用に伴い、「國學」(日本の国の成り立ちを考究し、神道・伝統文化に基づく心を究明する江戸時代の学問)の必要性があるとして、國學院の設立につながりました。

そこから何やかんやあって、今に至ります。國學院大學は、1992年、たまプラーザにもキャンパスを開校し、2008年にはリニューアルもしています。大学の設立には、さまざまなストーリーがあって興味深いです。


▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?國學院大學の運営による、無料とは思えないクオリティの博物館・企画展でした。企画展はコンパクトながらも「見せる工夫」が随所に見られました。また、今の時代とは違う外見的なおしゃれと、今の時代につながる内面的なおしゃれに気づきました。渋谷に来た際、変わり種のお出かけスポットとしてオススメです!
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