【展覧会レポ】北海道立近代美術館「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」
【約4,500文字、写真約40枚】
北海道立近代美術館に初めて行き「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」を鑑賞しました。その感想を書きます。
➤ 結論
随所で、物理的にも体制的にも「古い」と感じた美術館(展覧会)でした。企画展では、歌川国芳のつくった浮世絵を見ると、独特の躍動感や、現代に通じるサブカルチャーへのルーツを感じました。なお、他に北海道内で行きたい美術館が複数ある場合、この企画展は優先順位を下げてもいいかもしれません。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展
場所:北海道立近代美術館
会期:2025年4月25日(金)~6月15日(日)
休館日:月曜日
開館時間:9:30~17:00
住所:北海道札幌市中央区北1条西17丁目
アクセス:札幌駅から徒歩で約30分
入場料(一般):1,700円
事前予約:ー
所要時間:約1時間
撮影:3点+イマーシブ映像のみ撮影可能
URL:https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/exhibition/program/250
➤ 訪問のきっかけ

札幌で半日ほど時間があった際「札幌 美術館」で検索。候補を「北海道立近代美術館」「札幌芸術の森」「モエレ沼公園」に絞りました。立地を鑑み、北海道立美術館に行くことにしました。
過去、イサムノグチの作品がある展覧会や公園に行って以来、モエレ沼公園に憧れていました。しかし、時間と天候不順により、残念ながら断念しました(札幌お住いの方曰く「何もない公園よ」とのことでしたが…)。
▼ イサムノグチ作品のある公園の感想
▼ モエレ沼に行ってみたくなる投稿
➤ アクセス

キミ、六本木にもいるよね?
北海道立近代美術館へは、札幌駅から徒歩で約30分。バスを使っても約20分かかります。

札幌の区画は、碁盤の目になっています。そのため、美術館に歩いていく場合、まっすぐ行って、一回曲がれば到着できます。私は、行きは歩き、帰りはバスを利用しました。

なお、私はバスを1本、目の前で見送ってしまいました。なぜなら、札幌のバスの見た目が大型バスだったためです。札幌でバスに乗る際は要注意!
➤ 北海道立近代美術館とは?

北海道立近代美術館は、1977年にオープン(英称:The Hokkaido Museum of Modern Art)。

コレクションは、明治以降の北海道に関する美術品、北海道の美術に関連した作品を中心に収蔵。延面積は9,160㎡、総工費は、30億1千600万円です。
1階は主に、展示室A(コレクション展)、展示室B(企画展)、ミュージアムショップやアートカンファレンスルーム、ロッカーなどがあります。




様々な図録などの資料と、コンシェルジュのような方が常駐
2階には、ロビーやカフェなどがあります。


なお、道立の美術館は他に4つ(計5つ)あります。
北海道立三岸好太郎美術館(1967年)
北海道立旭川美術館(1982年)
北海道立函館美術館(1986年)
北海道立釧路芸術館(1998年)

また、北海道には、道立以外にも美術館が山ほどあります。そのため、北海道では何回でも美術館ツアーを実施できそうな、楽しい旅先です。
ところで、北海道立近代美術館は、ほぼ50歳を迎えます。ところどころに老朽化が見られるため、移転が検討されているようです。



ピンバッヂやステッカーをつくれば売れるのでは

➤ 「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」感想

歌川派のいしずえを築いた初代歌川豊国の弟子であった国芳は、中国の古典をもとにした「水滸伝シリーズ」で人気を博し、"武者絵の国芳"と称され一躍人気絵師となりました。その後は武者絵にとどまらず、美人画、歴史画や、西洋画の技法を取り入れた風景画など様々なジャンルの作品を手がけ、その才覚を発揮しました。(略)本展では、国芳が得意とした武者絵のほか、戯画、美人画など幅広いジャンルの作品約200点を展覧し、魅力あふれる国芳ワールドをご紹介します。
作品数が多いため、サクサクと見ながら「どれが一番好きかな」と鑑賞しました。なお、撮影は3点と、最後のイマーシブ映像が可能です。その点は入り口に明記すべきです。なぜなら、入り口の撮影不可マークを見て、カメラをロッカーにしまう人がいると、かわいそうだからです。

✔ 歌川国芳とは?

歌川国芳(1797~1861)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師。日本橋にある染物屋に生まれ、12歳で歌川一門に入門しました。NHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(2025年1月~)の影響で、近年は浮世絵の展覧会が非常に多いです。
浮世絵と言えば、葛飾北斎(1760~1849)。信州小布施 北斎館を思い出します。「漫画」のもとを北斎がつくったからこそ、国芳の芸風が世の中にウケたんだなと思いました。
▼ 信州小布施 北斎館の感想

✔ 刺青ブームをつくった国芳の画力

当時「入れ墨」は盗犯への刑罰でした。しかし、国芳の描く「入れ墨」が入った水滸伝の絵が格好よすぎて、江戸時代に刺青ブームが起こったそうです。社会的規範を超えて「格好いい」と思わせる画力はすごいです。
また、国芳の描くおしゃれな服装に注目するのも楽しかったです。国芳は染物屋の生まれということもあり、服装に強いこだわりを感じました。
✔ 浮世絵なくして日本のサブカルなし

国芳の作品を見ると「日本マンガの源流ここにあり」と感じました。
国芳の描く男性はみんな、荒々しく筋肉隆々です。臨場感があり、見得を切るポージングも大体共通しています。ミケランジェロ像のように、ただ棒立ちしているモデルはほぼいません。このような浮世絵の系譜がないと「ガンダムのような決めポーズも生まれへんかったんかな」と思いました。

そのほか、日本のマンガやアニメを思わせる描写がたくさん。今のサブカルチャーを楽しめるのは、当時の浮世絵のおかげだと実感しました。

稲光がフィン・ファンネルみたい

わらわらと一人ひとりがリアルに動いているシーンはジブリみたい

ユーモラスな妖怪は、ポケモンやドラクエを思い出す

『ウォーリーをさがせ!』のように一人ひとりが緻密

今とギャグのセンスが同じ

現代のギャグマンガでも十分通じる画力
✔ 残念な4つの「ない」
この展覧会で最も印象に残ったのは、中途半端・古い・オーソドックスな印象に加え「全体を通したメッセージがない」ことでした。
1)展覧会タイトルにセンスがない
展覧会のタイトル「浮世絵スーパークリエイター」は、普段、若者言葉を使わないおじさんが「無理して使ってみた感」をアリアリと感じました。どうせタイトルでイキるのであれば、福田美術館のように「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」くらいのセンスが必要です。
2)展示の見せ方に工夫がない
作品一つひとつは素晴らしいものの、見せ方が今一つでした。展示方法は、デパートで行う展覧会とあまり変わりません。会場内では、白い板で区切って、そこにズラズラと絵をひっかけているだけ。
展示しているものは浮世絵のみ。例えば、立体物を置くとか、図解のような解説を随所に展示するなど、メリハリのあるキュレーションを心掛けた方が良いです。その点に関して、是非、出光美術館を見習ってほしいです。
▼ 見せ方に工夫が盛り込まれた出光美術館の展覧会
なお、浮世絵を見るたびに、色使いがとてもきれいで驚きます(特に、グラデーションの描き方)。制作プロセスをパネルや動画などで説明するブースがあったらいいな、と思いました。

3)企画展とコレクション展のつながりがない
企画展(1,700円)が実施されている「展示室A」と、コレクション展(510円)の「展示室B」は、それぞれの料金が必要です。
北海道立近代美術館は「コンセプト」の2つ目に「コレクション」を掲げています。
本来であれば、企画展を呼び水にしてコレクション展を見てもらい、そこから継続的なファンベースをつくる必要があります。にもかかわらず、企画展とコレクション展のチケットを分けると、企画展だけ行って、コレクション展に行かない人が大半になってしまいます。
企画展のみの価格でコレクション展の運営を賄えないのであれば、数百円割引になる合同チケットをつくるなど、少しでも知恵を絞るべきだと思いました。別料金だと、コレクション展に行く気がイッキに失せます。
4)支払い方法にPayPayなどがない
支払いは、今どきは珍しく、PayPayが使えませんでした。そういった体制面でも、考えが古いままアップデートされていません。

✔ さらに最後の演出にがっかり

最後にイマーシブな空間が用意されていました。運営側からすれば「やったった感」があったと思います。しかし、私にとっては、流行りに乗っかっただけの「取って付けた感」を強く覚えました。


映像は面白いです。しかし、これを最後に見たからと言って、来館者に何をもって帰ってほしかったのか?企画側の意図が不明でした。


「イマーシブな見せ方もあるよ」と補足的に展示するなら分かります。しかし、重要な展覧会のフィナーレでイマーシブ映像をドーンと置くのでは、本来の趣旨が薄れてしまうため、逆効果な演出だと思いました。


北海道立近代美獣館は、札幌駅からのアクセスも良くなく、建物も古いです。そのため、いかに新しいことにチャレンジして展覧会の中身を磨いて、客数を増やし、地域に貢献することが課題だと思いました。
➤ まとめ

いかがだったでしょうか?全体を通して「古い」と感じました。建物も古い、対応や考えも古い、展覧会のキュレーションも古いです。なお、歌川国芳についての知識が増えたり、浮世絵の現代文化につながるポテンシャルを発見できたのは楽しかったです。ただし、地元の方にはオススメできる一方、時間の限られた旅行者などにはオススメしづらいと思いました。
➤ 今日の美術館飯

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