東京アートブックフェアで買ってよかった雑誌と書籍の話
今年で15回目を迎えたTOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)へ行ってきました。
今回はなんと、WEEK1/2と、2週末にわたって出展者を入れ替えながらの開催という初の試みも。
年々、ものすごく多くのお客様で会場が賑わってきていましたが、今年も本当に盛り上がっていて、超絶楽しかったです。
わたしはWEEK1の最終日、12月14日(日)にお邪魔してきました。
TABFこと TOKYO ART BOOK FAIRをものすごく楽しんできました
— Naomi │ アートライター (@Naomin_N0506) December 14, 2025
大好きなインディペンデント雑誌「NEUTRAL COLORS」さんと長島有里枝さんのトークは フリーランスで働くライターとしても 雑誌で育ってきた世代としても響くものが多すぎました
文フリ行けなかった分 大人買いしたので noteに感想書きます pic.twitter.com/EXsXl3CEjk
ということで、さっそく本題を。
買ってきて良かった本をご紹介します。
1.NEUTRAL COLORS
NEUTRAL COLORS 6 : 滞在で感じた あの特別な時間はなんだ ¥3300 (tax in)

NEUTRAL COLORSとの出会いは2年前の2023年、青山ブックセンターで、でした。
店頭でたまたま見かけて手に取り、おおお!と思って、「4 : 雑誌を仕事にすると決めた運河の畔」を購入したのが最初。
詳しくはこちらに書いておりますのでぜひ。
今回は2025年に出た最新号、第6号を、このTABFの会場で編集部の方々とお会いして買いたい!と思っていたので、無事に手にでき嬉しかったです。
しかも、「特集: 滞在で感じたあの特別な時間はなんだ」っていうテーマが、まさに11月に京都に滞在していた自分にもぴったりすぎて驚きました。
今号も、内容はもちろんのこと、オフセットとリソグラフを素晴らしいバランスで組み合わせて生まれた、トリッキーかつ高度なエディトリアルデザインと印刷の仕上がりにも感動しました。
紙の雑誌ならでは、手にとる嬉しさやページをめくる楽しさをつい噛みしめてしまうくらいに、ほんとにカッコいいんですよ。
正直、お値段だけを見ると、え?雑誌なのにこの価格?と、ちょっとひるむかもしれません。が、年に一冊、丁寧に丁寧に作られていて読み応えがすごいため、納得できるし、むしろリーズナブルなのでは?なんて思っています。
で、NEUTRAL COLORSの本、実はもう2冊、買いました。
2.NEUTRAL COLORS 別冊 ほんとの本の話をしよう #1 ¥3850 (tax in)
3.NEUTRAL COLORS 別冊 ほんとの本の話をしよう #2 ¥3850 (tax in)

こちらは2冊とも、本に関わるお仕事をしている方々への膨大なインタビュー集です。登場している方々が本当にバラエティー豊か、かつ、他では決して読めないようなお話ばかり。
読み切るのがもったいなさすぎて、まだ数人分しか読めていませんが、本当に面白いです。フリーランスで活動する自分にとっても、ヒントがたくさんあるし、すでに背中を押してもらいまくっています。

さすがの人選!素敵すぎる…!と思いました
ちなみに、 #1の説明はこちら
NEUTRAL COLORSの別冊的な立ち位置の雑誌で、書店、デザイナー、リソスタジオ、出版社……24人の方々へのインタビューをまとめたもの。なぜ本をつくるのか、なぜ売るのか、ほんとの本の話をしよう、と題して、通常のインタビューではカットされるような本づくりの本音に迫る。綺麗に装飾された文字列ではなく、深夜に書きつける手書き文字のようなraw data、それはメッセージ。名古屋の書店ON READINGギャラリーで、11日間の滞在制作で編まれた。部数限定。
#2の説明はこちらです。
NEUTRAL COLORSを制作する際に出会う、書店、グラフィックデザイナー、リソスタジオ、インディペンデント出版人……25組へのインタビュー集。なぜ本をつくるのか、なぜ売るのか、どうやってやりきるのか、本当の話を聞き出しています。通常のインタビューではカットされるような生々しい葛藤やプロセスが語られています。印刷はリソグラフ2色、完全手製本。2024年のイエローブックに続き、2025年の第2号はグリーンブック。
今ならいずれもオンラインでポチれますので、ぜひ。
ちなみに、12月14日に行こう!と決めた理由も、NEUTRAL COLORSでした。
写真家の長島有里枝さんと、NEUTRAL COLORS編集長の加藤直徳さんらが登壇したトークイベントに参加したかったんです。

会場に早めに到着できたので、ちゃっかり最前列に座り、お話を前のめりで聞きました。そして改めて、ますます良い…!本当に素敵な出版活動すぎる!!!と思いました。
ぜひぜひ、多くの方に手に取ってみてほしい雑誌です。
余談ですが。
2023年にTABFを訪れた際、NEUTRAL COLORSのブースで購入した、右の真っ黒なNCも、内容・エディトリアルデザイン・印刷、全てが素敵でした。

左は、最初にABCで購入した NC 第4号「仕事特集」
NEUTRAL COLORS 4 メイキングマガジン ¥3850 (tax in)
特集: 「仕事」を特集した雑誌をつくる「仕事」
本書は、第4号「仕事特集」のスピンアウト雑誌で制作にまつわる裏話や、特別インタビュー、紙とデザインの話など本誌にはない「雑誌ができるまで」を集成。Web「BASIC by MOTION GALLERY」にて配信していた記事を紙版として印刷製本した。4号本誌が完成した印刷物(CMYK)というA面であるならば、思考と実験が入り交じった制作過程のオンラインレポートは、RGB空間のB面のようなもの。色調が反転したデザイン(黒い紙に白いリソグラフ印刷)を採用し、かつてない黒い紙束が完成した。名古屋の書店「ON READING」のギャラリーで印刷、折り、丁合、綴じまで手作業を敢行。滞在制作の形をとり、9日間で500冊を仕上げるにあたり、来場者の皆様に制作に参加してもらった。
※特別インタビュー BOOKNERD/本屋青旗/誠光社/岸田繁/小田晶房/ON READING

残念ながらすでに完売してます
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4.「Mathematical Models」Masato SHINODA ¥2750 (tax in)
数学は中学生くらいの頃、早々に手放した科目だった(と同時に、建築家になる夢も消えた)のですが、数理模型の存在はとっても好きです。
ちょっと話が逸れますが、数理模型といえば現代美術がお好きな方は、杉本博司さんの立体作品群を思い出すのでは。あちらはアルミ無垢材でできていて、工作機械で作られているそうです。
奈良女子大学研究院の篠田 正人教授による数理模型の解説が収録された、和書ではおそらく初めてとなる数理模型のガイドブック。篠田教授によるわかりやすい解説とともに、写真家 山口 明氏による美しい写真がふんだんに使われたヴィジュアルブック的な側面も持ち、文系の方でも強く知的好奇心を揺さぶられる一冊です。
STRAIGHTが作るヴィジュアルブックシリーズの第一弾で、判型もB5版変形と大きくなり、フルカラー88Pと見ごたえも十分な仕様となっています。
〈著者〉篠田 正人 Masato Shinoda
奈良女子大学研究院自然科学系教授。専攻は確率論、数理ゲームの解析。
奈良の地で数学女子の育成に携わり、すでに27年の月日が経っている。
ブースの前をたまたま通って、吸い寄せられるように手に取った一冊、でした。眺めているだけでなんだか落ち着くんですが…なぜなんでしょうか。
この世界のどこかに同じ気持ちになっている人がいたらいいなぁ、と。
流麗で美しい、幾何学的なフォルム。その影には難解な数式があります。この造形美は、鑑賞を目的したものでなく、難解な数式を目に見える形で立体化させたもの。これらの「数理模型」と呼ばれる教材は、19世紀後半からドイツで製作されていましたが、実は日本でも昭和初期より国産の数理模型が作られていました。その製作元の一つが大阪にある「加藤数物製作所」です。ドイツ製のものは石膏製でしたが、当時、木地師や建具師を多く抱えていた加藤数物製作所では、より強度が高く、重量も軽い木製にこだわり、その複雑な形状を木から削り出すというなんとも手のかかる独自の製法を採用。これにより、学生たちが手に持って観察のしやすい数理模型を実現しました。そんな加藤数物製作所に保管されていた数理模型と、加藤数物製作所による数理模型を多数収蔵している奈良女子大学のコレクションを撮影し、その造形の数学的意味を解説した書籍「Mathematical Models」を発売いたします。
ちなみに。
この出版レーベル、あのBRUTUS「珍奇鉱物」の編集を担当されていた方が個人で運営していらっしゃる、と、TABFからの帰り道で知りました。
どうりでテーマや写真が素敵なわけです。
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5.WORKSIGHT 29号 アーカイブする? Archive? ¥1980 (tax in)

数年前、たぶん都内の独立系書店か、青山ブックセンター本店か、でたまたま出会った雑誌『WORKSIGHT』。あのコクヨ株式会社が発行し、黒鳥社さんも編集に関わっていらっしゃいます。
毎週火曜日のAM8:00に届くニュースレターがいつも充実していますが、この最新号は、とにかくテーマの「アーカイブ」が気になりすぎて、手に取ってみたいなぁと思っていた一冊でした。
ヨコク研究所のオウンドメディア「WORKSIGHT」。29号を2025年11月19日に刊行しました。
巻頭では、ロンドン某所にある世界有数の個人アーカイブである〈アーカイブ・オブ・モダン・コンフリクト〉のオフィスを訪れ、主宰のティモシー・プラスにインタビュー。戦争や社会の断片を蒐集し、「語られざる歴史」を再編集する試みはなぜ行われているのか。選定基準も分類もないアーカイブの極意に迫ります。
続いては、コクヨと関わってきた個人の人生から社史をまとめ直すユニークなプロジェクト「コクヨの生活社史」にフォーカス。社会学者・岸政彦と個人の声をアーカイブする方法について考えます。そのほかにも、ヤマハ・川島織物セルコン・ポーラ文化研究所に見る企業アーカイブの現在、建築・デザイン事務所スノヘッタによる“人と知が出会う風景”としての図書館設計など、アーカイブの事例を紹介します。
さらには、作家・円城塔、人類学者・ティム・インゴルド、漫画家・今日マチ子らによる「アーカイブの哲学」では、記憶と想像、身体と記録のあいだをめぐる思索を展開。情報学者・山田奨治が読み解くデジタル時代の知の共有と著作権の課題、メディア美学者・武邑光裕が論じる「記憶の時代」の新たな文化の姿など、アーカイブをとりまく議論を多層的に掘り下げます。
いま問うべきは「何を残すか」ではなく「なぜ残すのか」。ぜひご一読ください。

TABFで編集の方々とお話しながら手に取れたので、そのままお買い上げしました。
個人的には、社会学者の岸政彦さんが登場なさっているのがうれしかったです。
『東京の生活史』から始まって、Podcast「岸政彦の20分休み」で聴ける関西弁トークと、酸いも甘いも嚙み分けたお人柄に、すっかりファンになってしまったもので。
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6.えほんzineねっこ vol.6 最終号 ¥880 (tax in)
7.A Year ¥110 (tax in)
東京・六本木と京橋にあるアートギャラリー Yutaka Kikutake Gallery さんの出版部門 YKG Publishingから出ているZINE。
いわゆる図録や写真集、所蔵アーティストらの作品集以外の書籍を、自ら作って届けている、というアートギャラリーって、わたしの知る限り、Yutaka Kikutake Gallery さん以外に存じ上げません。そのくらいレアな存在だと思います。
『えほんzineねっこ』は、かわいすぎる表紙のデザインですが、中身は単にかわいい、だけではない、とっても丁寧かつ真っ当な、ゆっくり読みたい文章がやさしく編まれています。
『A Year』は、今回のTABFへ出展するにあたって作った、という新作だそう。Yutaka Kikutake Galleryのギャラリスト、菊竹さんの2025年ハイライトが読めました。なるほど、こういうかたちも素敵だなぁ、と思った一冊。

余談ですが…
『えほんzineねっこ』のバックナンバーを、9月?10月?に、六本木のギャラリーでたまたま立ち読みして、え!かわいい!おもしろい!と、思わずまとめ買いしていました。
せっかくなので合わせて紹介させてください。
いずれもギャラリーか、公式ECからポチれます。


で、 Yutaka Kikutake Galleryさんのブースでは、他にも2冊買いました。
どっちも以前からギャラリーで見かけていて、ずーっと気になっていたのですが、今回、少々痛んでしまっている状態のものを、在庫限り・会場限定スペシャル価格で手にできました!わーい!
8.『疾駆/chic』ZINE 第1号「Youth」 ¥*** (tax in)
9.『疾駆/chic』第11号 特集・ポートレート03 藤原ヒロシ ¥*** (tax in)


Nelholの田中義久さんです!!!
第11号は、現在もギャラリーや公式ECでポチれます。
毎号とっても豪華な内容と素敵すぎるブックデザインの『疾駆/chic』なのですが、それゆえに増刷はおそらく一切しておらず、在庫がなくなったら終わり、なんです。
手に取って損のない号ばっかりなので、購入できるうちに、ぜひ。
ここで余談を少し。
個人的な『疾駆/chic』との出会い、そして、そのブックデザインがどれだけ素敵なのか、ご紹介させてください。
わたしが『疾駆/chic』の存在に気づいたのは、おそらくアートライターとしてお仕事をし始めた2020年以降のことでした。
当時(今もそうですが)、身近な人や知り合いに、現代美術のアートギャラリーへ行く、という人が一切おらず…。
ほぼ未知の領域だったアートギャラリーを、少しずつ定期的に巡るようになった最初期の頃から、わりと入りやすくて、度々訪れていたのが、六本木のYutakaKikutakeGalleryさんでした。
作品をミュージアムで観て、素敵だなぁ!と思った新里明士さんや、Nelholさんの展示を観にお邪魔しているうち、ギャラリーのWebページに『疾駆/chic』の文字をみつけて、え!本を作ってるの!?素敵!!!となったのです。
ただ、いま買える第11号の発行が、2019年7月。
つまり2020年当時はすでに、ほとんどの号が完売、入手困難な状況でした。
その後、ずーーーーっと気になっていて、特にいくつかの号を長らく探し続けていたのですが、2025年9月、突如、古書として出会えました。名古屋で!!!

疾駆 第7号 2016年7月発行

ヨーガン・レール!!!
その2週間後に同じお店を再訪すると!!!これまたずーーーーっと探していた号の古書、しかも2冊 同時に出会えて本当にびっくりしました。
正直、そんなにお安いお値段ではなかったのですが、ここで買わなかったらもう出会えない気がするし、一生後悔しそう…と思い、思い切って購入しました。

右)疾駆 第6号 特集 伊豆 2015年7月発行
そして、TABF後のつい先日のこと。
2025年、縁あってお仕事で三重県を巡り、ますます行ってみたいなぁと思っていた場所の特集号が、本当に偶然、手に入りまして、みたびびっくりしました。



『疾駆/chic』が一冊として、同じフォーマットのデザインで作られていないことや、印刷や造本にものすごくこだわっていることが伝わりましたでしょうか。。。
書籍の中身を掲載してしまうと、著作権の侵害になってしまうため、ご紹介できないのが大変もどかしいのですが、本文も毎号ものすごく凝ってるんです。
これはもう、紙の本として持つのにふさわしい、そして楽しいアートブックだな!と心の底から思っています。
もちろん、編まれている文章も写真も、連載陣のセレクトも本当に素晴らしくて大好きで、読んでいて驚きっぱなしでした。
実は2025年、縁あって、ギャラリストの菊竹さんにインタビューさせていただく機会に恵まれまして。
そこで、菊竹さんご自身のことや、この『疾駆/chic』のお話を少し伺ったら、なんと、とある大学院で文学を専攻なさっていたそうで、ものすごく納得しました。
TABFのブースにお邪魔した日も、菊竹さんが最近読んで面白かった本を教えてもらったので、年末年始に読むのが楽しみです…!
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TABFは、どんなに混んでいても行きたい
今年11月下旬に開催された、文学フリマ東京。
今回も、知人が何人も出展者として参加していたし、会場に行ったら行ったで、お客さんとして来ている知り合いとも絶対に会えたと思います。
でも、会場へ行こう!というモチベーション、元気と気力が、今回はどうしても出なかった。。。
たぶん、京都での滞在から帰ってきたばかりで、東京では当たり前の人の多さとか、せかされるような街のスピードに、ちょっとまだついて行けてなくてげんなりしてしまっていたし、原稿の締め切りが迫っている仕事も重なっていたし、
と、いろいろと言い訳をして、出かけずに終わりました。

読みたかったのでポチりました
Podcast「考えすぎフラグメンツ」愛聴してます
TABFも、会場へ入場するには、文フリ東京と同じ¥1000のチケット代がかかります。まぁまぁ混んでいます。
それでもこっちには絶対行きたい!来年も行く!と思ったのは、わたしがアートブック好きだから、の一言に尽きるのかもしれませんが・・・
とにかく、文学フリマに行かなかった分、過去最もたくさんのお買い物ができ、大満足の一日でした。


服とコーディネートしやすい色です
¥2200 (tax in)

黄色いオリジナルトートを買いました
¥2500 (tax in)
会場内、ホンマタカシさんによるブースも素晴らしかったです。


またご紹介します


SAKEROCKについて書いた先日のnoteでも
ご紹介していた、大原大次郎さん!!!
バックナンバーを大切に保管してる、ニューバランスのフリーマガジン『NOT FAR』。リニューアルしてさらに素敵になっていました。



きっと2026年の12月にもTABFは開催されるはず・・・!
ぜひぜひ、気軽に遊びに出かけてみてほしいです。


★2026年、再開します!!!
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