株式報酬と確定申告 #2 ~株が自分のものになった年~
前回の記事で、株式報酬には「株が自分のものになった年」の給与収入、「自分の株を売った年」の譲渡益・譲渡損、の2つに分けて考えるお話をしました。
この記事ではその前半、株が自分のものになった年の確定申告についてお話ししていきたいと思います。
RSUのVest、SOのExercise、ESPPの割引購入と給与収入
株式報酬の確定申告で、まず注目すべきは「株が自分のものになった年」です。売却の有無にかかわらず、会社から経済的利益を得たタイミングで、給与収入として申告する必要があります。
ここ、最初は少し分かりにくいです。
「まだ売っていないのに、なぜ申告?」と思うかもしれません。
でも、株式報酬では、売ったかどうかとは別に、会社から経済的利益を受け取ったタイミングで、給与収入として扱う必要が出てくることがあります。
それぞれの仕組みにおける申告の考え方は以下の通りです。
RSU: Vest(権利確定)した時点の株価相当額が給与収入となります。
SO(非適格): 行使(Exercise)した際の、株価と権利行使価格との差額が給与収入となります。
ESPP: 市場価格より安く購入できた場合、その割引部分などが給与収入となります。
種類によってタイミングは異なりますが、共通しているのは「会社から受けた経済的利益を給与として申告する」という点です。会社によっては給与明細や源泉徴収票に反映されますが、海外証券口座で受け取った場合は、ご自身で金額を確認・申告する必要があります。
また、RSUがVestしたときに、税金相当分として一部の株が自動売却されるSell to Coverという仕組みもあります。
ただし、Sell to Coverが行われるかどうか、行われる場合に何の税金にどう充当されるかは、会社の制度、居住地、給与処理、証券会社の運用によって異なります。
この記事ではそこには深く踏み込まず、Sell to Coverはないものとして、自分で給与収入として申告するケースを前提にしています。
申告が必要な「真の給与額」をどう算出するか
それでは、具体的な所得税申告の手順をざっくりと整理してみましょう。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して作業を進める方が大半かと思います。
手元の源泉徴収票を転記した後、「給与所得の入力」欄で「もう1件入力する」を選んで進めていきます。
「源泉徴収票がないものを追加して大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、会社から受けた利益を給与として処理する以上、この方法で進めて構いません。ここで記載するのは、あくまで「追加分の給与総額」のみです。社会保険料などの控除項目は、すでに1件目で入力済みのはずなので、ここでは触れません。
一番の肝となる「給与として扱うべき年間の総額」は、以下のような計算式で導き出します。
RSUの場合:
取得株数 × 権利確定(Vest)時の株価 × その日の為替レート
SOやESPPの場合:
購入株数 ×(購入時の株価 ー 実際の払込金額)× 購入日の為替レート
ここで注意したいのは、「権利が確定した日」や「購入した日」の基準です。もし年に何度もこれらのイベントが発生しているなら、その都度計算を行い、最終的にすべてを合計したものが、その年の正しい申告額になります。
よくあるケースとして、給与が750万円程度の方が300万円分の株式報酬を得ると、年収が1,000万円の大台を突破します。すると所得税率のランクが上がり、結果として予想外の追加納税が発生することに。「報酬が増えてラッキー!」と喜んでいた方にとっては、少しショッキングな事実かもしれませんね。

次の記事では、その株を実際に売った年の申告について書いていきます。
※この記事は一般的な読み物です。実際の申告は税務署・税理士に確認してください
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