時代とともに変わる姿 映画『白雪姫』
本記事は、ネタバレを含む。
ほとんどのディズニープリンセスが実写映画化されたが、ディズニー初の長編アニメーションである白雪姫は、1937年に誕生してからこれまで実写化されていなかった。
人気もあるし、物語も分かりやすい。ではなぜ、これまで実写化がされてこなかったのか。今回の実写映画を観たことで、その理由が分かった気がした。
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「白雪姫ってこんな物語だったっけ?」と私の遠い日の記憶が違和感を訴えた。
本記事を書く前に調べてみた。やはり今回、原作となったアニメからかなり改変されているとのこと。
この改変については、一部批判がされているようだ。
しかし個人的には、とても良い変更だったと思う。
物語の展開において、加えられた大きな変更点は主に2つ。
1つ目は、王子様の存在と関係性。
原作では、王子様は王家の人間だ。関係性も、白雪姫が森に逃げる前に出会い、お互い一目惚れをしているが、それきりである。
しかし実写では、そもそも王子様が王子様ではない。かつての王にのみ忠誠を誓う山賊一味のリーダー・ジョナサン(アンドリュー・バーナップ)として登場する。二人は城で出会い、最初は白雪姫(レイチェル・ゼグラー)がジョナサンを助ける。その後白雪姫が森に逃げたとき、今度はジョナサンが白雪姫を助け、やがて惹かれ合うようになる。
2つ目は、目が覚めてからの白雪姫の行動。
原作では、王子様のキスで目覚めた後、王子様と結婚し彼の国で幸せになる。
ところが実写では、白雪姫は森から町に戻り、民たちを味方につけて女王と対峙する。

これらの改変が行われたことで、物語により深みと納得感が出たように思う。
まず、王子様との関係性についてだが、一目惚れし合っていたとはいえ、一度会ったきりの王子様にキスをされるより、友情と愛情によって育まれた関係性のある人からのキスの方が、ずっと感動できる。
さらに、「真実の愛のキス」で毒リンゴの呪いが解けるという設定にも、納得感が増す。
真実の愛さえあれば、プリンセスの相手は必ずしも王子様でなくても良いのだ。
白雪姫の目覚めてからの行動についてだが、王子の元に嫁ぎ、見知らぬ国で幸せになるよりも、自国を取り戻す方が、白雪姫にとっても幸せだろう。
そして、王家の人間が、自分の生まれ育った環境から簡単に離れるだろうか。
全く別の国のプリンセスになるよりも、自国で自分の地位を取り戻す方が、自然な流れと言える。

プリンセスは、王子様の登場を待つ時代から、自ら幸せを掴みにいく時代に変わった。女性の社会進出とともにその変化が現れたのは、1992年公開の『アラジン』の頃から。
ヒロインのジャスミンは、これまでと違い、プリンセスでありながら、自らの頭で考え、行動し、一国を収めた。
以降、ムーランやラプンツェルなどなど、たくさんのプリンセスが登場したが、いずれも行動力と知性のあるキャラクターばかりだ。
今では当たり前となっているプリンセスの勇敢さは、90年代初頭に、時代がこの変化を求めたからこそのものだろう。
記事冒頭に、白雪姫がこれまで実写化されなかった理由が、鑑賞することで分かったと書いた。
その理由とはズバリ、プリンセスに対する共感のしにくさからではないだろうか。
物語としては面白いし、見応えもある。原作通りに作っても、人は十分呼べるだろう。しかし、満足度は高いものにはならなかったかも知れない。
ただ信じて、寝て、真実の愛を待つプリンセスは、現代ではあまり流行らないだろう。女性に限らず、今を生きる人々には、刺さりにくい設定だった。

ではなぜ今、改変のうえ実写化されたか。
それは、ジャスミンが登場した時と同じ空気が、今この時代にあるからではないだろうか。
90年代、女性たちが自分の意見を持ち、自分の力で進み、ジャスミンをロールモデルとして確実に社会進出を果たした。
それから30年以上が経ち、2017年頃にMeToo運動が起こり、フェミニズムの考えが広まった。これらをきっかけとして、再び世界中の女性たちによる、自らの更なる社会進出とジェンダー平等を望む声が大きくなっている。
そんな今だからこそ、今回の白雪姫が誕生したのだろう。
故に今作では、アニメ版で歌われた名曲「いつか王子様が」は登場しない。
現代の流れを汲み、女性たちを後押しする存在が、なぜ全く新しいプリンセスではなく、白雪姫でなくてはならなかったか。それは、本作に込められたメッセージをより分かりやすくするためではないだろうか。
誰もが知る白雪姫を、誰も知らない白雪姫にすることで、その違いから我々観客はメッセージをブレなく明確に受け取ることができるのだ。
アニメ版の白雪姫が好きで、その世界観を期待していた方には、少々残念な仕上がりになっているかも知れない。
しかし、白雪姫の女性として、そして一人の人間としての尊厳を守る戦いを描いた本作は、現代に沿った新たなプリンセス像を示してくれた。
余談だが、継母を演じたガル・ガドットが美しすぎて、そっちに釘付けになってしまった。個人的に凄くタイプ。

1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。
映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。
MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。
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