バイク浪人とオートバイ小説④
秋とオートバイの相性
片岡義男が書く〈オートバイ小説〉は〈夏〉が似合う。
Hanes白いTシャツ
Levi'sのブルージーンズ
エンジニアリングブーツ orハーネス・ブーツ
このコーディネートで、
GRIPSWANYのグローブをすれば片岡ライダーだ。
でも、この小説は〈秋〉なのだ。
「ときには星の下で眠る (著:片岡義男)」

アウト・ドアやキャン・ツーがテーマではない。
〈死〉と〈経過した時間〉を少しだけ持ち寄って、主人公たちは秋深まる信州をオートバイで走る。片岡小説だからウェット感はまったく無い。
そして〈バイク浪人〉には嬉しい、オートバイ〈機械装置〉と山岳道路を走るオートバイの挙動とシーン描写は抜群だ。
ドライサンプ式エンジンオイルの循環や機構をスマートに読ませて、オートバイを憧憬し渇望する少年を〈片岡ワールド〉に取り込んで行くのだ。
今も影響しているのは〈秋〉と〈オートバイ〉の構図だ。この2つを強くイメージとして焼き付けた事だ。
この本は、
写真家の大谷 勲による、秋の高原を疾走るカワサキW3のやライダーの写真が随所の入っている。
写真は文庫用印刷紙のせいか、セピア・カラーか水彩画のような色調。物語にマッチしている。
しかし、
とあるページを開いた瞬間、当時の〈僕〉は、
〈!〉
〈?〉
となった。
〈バイク浪人〉だった〈僕〉の困惑・違和感を、今の〈私〉はキチンと書こう。
見開きにW3に乗るおじさんのアップ。いや、それは許容範囲だ。
黒いライダースにスカーフかバンダナ。それもいい。無問題。
違和感は〈ヘルメット〉と〈サングラス〉だった。ヘルメットは顎当て付きのアメリカン・ポリスヘルメット。俗に言う〈ポリヘル〉。そこに薄いブラウンの〈レイバン〉。
(ムムム、こっ、これは??)
この被写体はW3のオーナーなのだろうか?ポリヘル&レイバンとくれば、
いつもは〈HARLEY-DAVIDSON〉なのかな・・と。
秋の信州、白樺の中を走る高原の有料道路(ターン・パイク)に遠く熊本から強い憧れを抱くと同時に、あの〈見開き〉写真の印象。それが私の「ときには星の下で眠る」となった。
