『人生の経営戦略』と共に社会人人生のスタートが切れる人がうらやましい
自己啓発書やキャリア論を1〜2冊読んだくらいじゃ正直、人生なんて変わんないんだよなぁ・・・
万人に向けたアドバイスって、どうしても浅くなりがちだし。かといって「俺の成功談」の類には、私には当てはまらないものも少なくないし。
そんな自己啓発書たちにちょっと飽き飽きしていた私が、ソファに寝そべり、「まぁでも有名な著者の話題作だし一応読んどくか」くらいのテンションで手にとり・・・
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気づけば姿勢を正し、大量のメモをとりながら一気読みしていたのがこちらの本。山口周さんの『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』です。
タイトルに「社会人人生のスタート」と書きましたが、本書は別に若手だけに向けた本ではありません。むしろミドルやシニア層こそ読むべき章もある。
けど、始める時期が早いほど、リターンが大きくなるものってあるじゃないですか。NISAしかり、語学しかり。
本書の「人生の経営戦略」を学ぶことも、間違いなくその一つ。だまされたと思ってぜひ手にとってみてほしいです。
理想を追うリアリストが自己啓発書を書いたら
著者の山口周さんは、とにかく徹底したリアリストなんだろうと思います。
たとえば「好きなことを究めれば道はできる」とか、「置かれた場所で頑張っていれば花は咲く」なんてことを、無責任に言ったりはしない。
でも私たちが自己啓発書を読むのって、少なからずそんな夢物語を聞いて自分を鼓舞したい時だったりするじゃないですか。
好きなことで生きていきたいとか。平凡な自分でも何者かになれるチャンスはあるはずだとか。
少なくとも・・・現状から簡単に想像がつく未来じゃなくて、それより一段も二段も上の未来をつかみ取りたい。だからこそ、自己啓発書に手が伸びるんですよね。
おそらくですが、本書の著者も「現状の延長線より上の未来をつかみ取る方法はある。その手助けをする力が自分にはある。」と真っ直ぐに信じる理想家でもあると思うんですよ。
徹底したリアリスト。だけど理想家。
一見矛盾するそんな資質を兼ね備えた著者だからこそ、出せたんだと思うんです。「あ、これ、「理想の人生」をちゃんと本気で狙いにいけるヒントだ」と思わせてくれる本を。
名物シェフがビジネスパーソン向けに用意した、戦略のフルコースをどうぞ
経営戦略論やマーケティングの知見を総動員して「人生の経営」に応用することで、「経済的・社会的成功」と「自分らしい人生」を両立させよう。それが本書の趣旨です。
筆者が次々と繰り出す知見を見ていると、そのレパートリーの幅広さに驚かされます。
「ポジショニング」「資本」「ライフ・サイクル・カーブ」「キャズム」「戦略優位性」「ダニング クルーガー効果」「ポートフォリオ」「需給バランス」「統計分布」・・・。
マーケティングや経営学ではおなじみの理論も少なくないので、「そのフレームワークなら知ってるよ」と思うこともあるかも知れません。
けど、そうした知見を組み合わせ、「人生の経営」に応用していく著者の手腕は「さすが」の一言。
それはまるで「和の食材」と「フレンチの調理法」を自由自在に組み合わせる名物シェフの手さばきをみているよう。読み進めるうちに思考がどんどんクリアになっていきます。
しかもそれは「とてつもない高みを目指す超人の口にしか合わない特殊な料理」なんかではなく。「普通の人」が「自分自身の人生」に当てはめやすいよう、ちょうど良く加工された状態で運ばれてくる。
思考のプロフェッショナルってこういう人を言うんだなぁと、思わずため息が出ます。
「戦略を学ぶ」ことは、「取捨選択の仕方を知る」こと
いや思考のプロフェッショナルとかいいから、この本読んで何が学べるか教えてよ。
著者の戦略のレパートリーがすごいのはわかったけど、だったら何なの?
そう思われるかも知れません。
実はこの記事でも、具体例を3つほどご紹介しようと準備していました。
でも消しました。すぱっと。
ざっと2000字くらい。もったいないのでどこかで使い回すかも知れません。
なぜか。
この記事を書きながら、実はちょっと検索してみたんです。他の人は本書についてどんな発信をしているのかなと。
どんな学びがあったのか。本書を読んで自分がどう変わったのか。どんな感想を抱いたのか。
そしたら、みんな見事に違ったんですよね、刺さっている箇所が。
本書では「戦略コンセプト」が20個紹介されているんですが、私が挙げようとしていた3項目についても、完全にかぶっている人はいなかった。
直面している課題、ライフステージ、置かれた状況。それぞれの事情によって、今必要とする学びは違う。
だから具体例は出しません。
それはたとえばディズニーランドの魅力を聞かれ、本来「スプラッシュ・マウンテン」が刺さる人に「パレード」を推してしまうようなものだから。
代わりにここでは「人生の経営戦略」を学ぶ意義について考えてみます。
戦略を学ぶこと。それは突き詰めてしまえば、「自分の立ち位置や武器を正しく見極め、さまざまなオプションから自分に合ったものを取捨選択できるようになる」ことなのかなと。
数ある選択肢の中で何を選ぶか。
「悪手」と「好手」はどう見分ければいいのか。
誰かにもらったアドバイスは、今の時代や自分の状況に合っているのか。
それを見誤れば、自分とはライフステージも状況も違う誰かの「成功体験」を表面だけなぞって撃沈する、みたいなことになりかねないですよね。
それを見極める目を、取捨選択に必要な考え方を、授けてくれるのが本書だと思っています。
キャリア人生の入り口で本書に出会える人はラッキーだ 〜新社会人の方へ
「これは特に、リターンが得られる期間が長くなる若い人にとって重要なことです」
「この種類の知能は20歳前後にピークに達し、40代以降は急速に低下することがわかっています。」
・・・そんな記述に、40代の私は何度苦笑したことか。
社会人人生の入り口で本書に出会える人は、とてもラッキーだなと思います。
だって本書から学んで「人生の経営戦略」を立てたとしても、途中できっと想定外が起こるから。
下記に引用した著者の言葉どおり、立てた戦略は検証し、修正し、方向転換してなんぼ。そのチャンスがたくさん待ち受けていること、うらやましく思います。
私たちの人生は「膨大な仮説の集合体」としてまずはスタートし、その仮説をひとつひとつ検証し、破棄・修正することでしか前に進んでいけない、ということなのです。であるとすれば「いかに早い段階で仮説を検証し、戦略を修正できるか」が重要な論点となってきます。
たくさん試行錯誤しながら、時に想定外の出来事も楽しみながら、実りあるキャリア人生が送れますように。
